ひとことで言うと

  • テーラー展開は、ある点のまわりで関数を微分係数を使った多項式で近似する方法です。
  • x=0のまわりで展開したものをマクローリン展開といい、ex=1+x+x2/2!+x3/3!+…が代表例です。
  • 債券価格の変化をデュレーション(1次の項)とコンベクシティ(2次の項)で近似する考え方の土台です。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「テーラー展開とマクローリン展開」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (8) 微分の基礎
協会の学習ポイント テーラー展開について理解し簡単な関数に応用できる。指数関数のマクローリン展開を使った応用ができる。

テーラー展開とマクローリン展開とは

複雑な関数でも、ある点のすぐ近くだけを見れば、直線や放物線でかなりよく近似できます。この考え方を体系的にしたのがテーラー展開です。点aでの関数の値、1階微分(傾き)、2階微分(曲がり具合)…の情報を使って、f(x)をxの多項式で表します。

1次近似と2次近似

1次の項まででとめると f(a+Δx)≒f(a)+f′(a)Δx で、これは接線による近似(1次近似)です。2次の項まで加えると +(1/2)f′′(a)Δx2 が付き、曲がり具合も反映した2次近似になります。Δxが小さいほど、少ない項数でも近似の精度が高くなります。

マクローリン展開

a=0のまわりでのテーラー展開をとくにマクローリン展開と呼びます。exは何回微分してもexで、x=0での値はすべて1なので、ex=1+x+x2/2!+x3/3!+…というきれいな形になります。log(1+x)=x-x2/2+x3/3-…もよく使われます。

ファイナンスでの応用

債券価格Pを利回りyの関数と見てテーラー展開し、両辺をPで割ると、ΔP/P≒-DmodΔy+(1/2)CΔy2 が得られます。1次の項が修正デュレーション、2次の項がコンベクシティによる調整です。また、ex≒1+xから、金利が小さいときは連続複利と単利・年複利の差が小さいこと、log(1+r)≒rから対数リターンと単純リターンがほぼ等しいことも説明できます。

押さえておきたい公式

f(a+Δx) ≒ f(a) + f′(a)Δx + (1/2) f′′(a)Δx2 + …テーラー展開(2次の項まで)
ex = 1 + x + x2/2! + x3/3! + …指数関数のマクローリン展開
ΔP/P ≒ - Dmod Δy + (1/2) C Δy2デュレーションとコンベクシティによる債券価格変化率の近似
記号 意味
n! nの階乗(3!=3×2×1=6)
Dmod 修正デュレーション(-P′/P)
C コンベクシティ(P′′/P)
Δy 利回りの変化幅

具体例で確認

例1:e0.05の近似

1+0.05=1.05(1次近似)、1+0.05+0.052/2=1.05125(2次近似)、3次まで加えると約1.0512708です。真の値は約1.0512711なので、2次近似でもかなり正確です。

例2:割引債の価格変化の近似

額面100円・残存5年の割引債で、利回りが4%から5%へ1%ポイント上昇した場合を考えます。修正デュレーションは5÷1.04≒4.808、コンベクシティは30÷1.042≒27.74です。

  1. デュレーションのみ:-4.808 × 0.01 ≒ -4.81%
  2. コンベクシティ調整:(1/2) × 27.74 × 0.012 ≒ +0.14%
  3. 合計:約-4.67%
  4. 実際:82.19円 → 78.35円で約-4.67%

2次の項まで入れると、実際の変化率とほぼ一致することがわかります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「テーラー展開、マクローリン展開を使った応用ができる」)。

試験で問われやすいポイント

  • テーラー展開の2次の項に1/2(一般にはn次の項に1/n!)が付くことを忘れるミスが狙われやすいです。
  • exのマクローリン展開を書けるか、それを使って近似値を計算できるかが問われやすいです。
  • 1次近似=接線、2次の項で曲がり具合を補正する、という意味づけを理解しておきましょう。
  • 債券価格の近似で、1次の項がデュレーション、2次の項がコンベクシティに対応すること、コンベクシティ項は利回りの上昇・低下どちらでも価格にプラスに働くことがよく問われます。
  • 変化幅Δxが大きいほど近似の誤差が大きくなる点にも注意しましょう。

要点まとめ

  • テーラー展開=微分係数を使った多項式による関数の近似
  • a=0での展開がマクローリン展開、ex=1+x+x2/2!+…
  • 1次近似は接線、2次の項は(1/2)f′′Δx2
  • 債券価格変化はデュレーション+コンベクシティで近似できる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。