ひとことで言うと

  • グリークスとは、オプション価格が各要因の変化にどれだけ反応するかを表す感応度指標の総称です。
  • 株価に対するデルタ、デルタの変化を表すガンマ、時間経過のセータ、金利のロー、ボラティリティのベガの5つが基本です。
  • オプションを売買・ヘッジする際に、ポジションがどのリスクにどれだけさらされているかを把握するために使います。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「感応度指標(グリークス)」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (3) オプション取引の仕組みと評価
協会の学習ポイント ブラック=ショールズ・モデルの感応度指標(デルタ、ガンマ、セータ、ロー、ベガ)について理解する。

グリークス(オプションの感応度)とは

オプション価格は、株価・残存期間・金利・ボラティリティなど複数の要因で動きます。それぞれの要因が少し変化したときにオプション価格がどれだけ変わるかを、ギリシャ文字(またはそれに似た名前)で表したものがグリークスです。数学的には、オプション価格を各要因で偏微分したものにあたります。

5つの指標の意味

  • デルタ(Δ):株価が1円動いたときのオプション価格の変化。BSモデルではコールがN(d1)で0〜1、プットがN(d1) − 1で−1〜0。
  • ガンマ(Γ):株価が1円動いたときのデルタの変化。買いポジションなら正で、アット・ザ・マネーかつ満期が近いほど大きくなります。コールとプットで同じ値です。
  • セータ(Θ):時間の経過によるオプション価格の変化。オプションの買い手にとっては通常マイナスで、時間価値が日々減っていくこと(タイム・ディケイ)を表します。
  • ロー(ρ):無リスク金利の変化に対する感応度。金利が上がると権利行使価格の現在価値が下がるため、コールは正、プットは負です。
  • ベガ(ν):ボラティリティの変化に対する感応度。コール・プットともに買いなら正で、コールとプットで同じ値です。

ガンマとセータのトレードオフ

オプションの買い手は正のガンマを持つため、株価が大きく動くと有利になりますが、その代わりに時間の経過で価値が減る(負のセータ)という代償を払います。売り手はその逆です。このように、ガンマとセータは基本的に反対の符号をとる関係にあり、ヘッジ戦略を考えるうえで重要な視点になります。

押さえておきたい公式

ΔC ≒ Δ × ΔS + (1 ÷ 2) × Γ × (ΔS)2 + Θ × Δt + ν × Δσ + ρ × Δrグリークスによるオプション価格変化の近似(テイラー展開)
コールのΔ = N(d1)  プットのΔ = N(d1) − 1BSモデル(配当なし)の場合
指標 何に対する感応度か コールの買い プットの買い
デルタ 株価 +(0〜1) −(−1〜0)
ガンマ 株価(デルタの変化)
セータ 時間経過 通常 − 通常 −
ロー 無リスク金利
ベガ ボラティリティ

具体例で確認

株価100円、権利行使価格100円、残存1年、無リスク金利5%、ボラティリティ20%のコール(BS価格約10.45円)について、グリークスを計算すると次のとおりです。

  • デルタ ≒ 0.637(同条件のプットは ≒ −0.363)
  • ガンマ ≒ 0.0188
  • ベガ ≒ 37.5(ボラティリティ1%ポイント上昇で約0.375円上昇)
  • ロー ≒ 53.2(金利1%ポイント上昇で約0.53円上昇)
  • セータ ≒ −6.41(年当たり。1日あたりでは約−0.018円)

株価が100円から101円に上がると、デルタとガンマによる近似では0.637 × 1 + 0.5 × 0.0188 × 12 ≒ 0.646円の上昇となり、BS式で再計算した値(約0.646円)とほぼ一致します。

試験で問われやすいポイント

  • 各グリークスが何に対する感応度かという定義と、コール・プット、買い・売りでの符号がよく問われます。
  • ガンマとベガはコールとプットで同じ値(同じ条件なら)、デルタはコールとプットで1だけ差がある、という関係が確認されやすいです。
  • ガンマはアット・ザ・マネーで満期が近いほど大きくなる、セータは時間価値の減少を表す、といった性質を押さえましょう。
  • デルタとガンマを使った価格変化の近似計算や、ポジション全体のグリークスを数量で足し合わせる計算が出題されやすいです。
  • 記述式では、ガンマとセータのトレードオフや、どのグリークスをどうヘッジするかを説明できるようにしておくと安心です。

要点まとめ

  • グリークス=オプション価格の各要因に対する感応度(偏微分)
  • デルタ:株価、ガンマ:デルタの変化、セータ:時間、ロー:金利、ベガ:ボラティリティ
  • 買いポジションはガンマ・ベガが正、セータは通常負
  • ポジションのグリークスは数量を掛けて足し合わせられる

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