ひとことで言うと

  • 為替レートの予測には、物価差に注目する購買力平価(PPP)、金利差に注目する金利平価、経常収支や資産残高などを見るファンダメンタルズ分析、過去の値動きを使うテクニカル分析などがあります。
  • PPPは長期の方向性、金利平価は先物レートや短中期の目安として使われることが多いです。
  • ただし、短期の為替予測は非常に難しく、「明日も今日と同じ」というランダムウォークに勝つのは容易ではないことが知られています。

この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「為替レートの予測」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/経済
大分類 (10) 市場の分析・予測と経済的要因
協会の学習ポイント 為替レートの予測手法を利用した予測ができる。

為替レートの予測とは

為替レートは、海外資産のリターン、輸出入企業の業績、輸入物価を通じたインフレなどに大きく影響します。そのため、外国資産への投資や企業分析では、為替の見通しが欠かせません。為替の予測手法は、どの要因を重視するかによっていくつかに分かれます。

購買力平価(PPP)

同じ商品は、どの国でも同じ価格で買えるはずだという考え方です。変化率で考える相対的購買力平価では、インフレ率が高い国の通貨は、インフレ率の差だけ減価すると考えます。短期的には大きく外れることが多いものの、長期的には為替レートがPPPの方向に戻る傾向があるとされ、長期予測や通貨の割高・割安の判断に使われます。

金利平価

カバー付き金利平価は、裁定取引によって先物(先渡し)為替レートが内外金利差で決まるという関係で、実際の市場でおおむね成り立ちます。一方、カバーなし金利平価は、将来の予想為替レートの変化率が金利差に等しい(高金利通貨は将来減価する)という関係ですが、実際には高金利通貨がむしろ上昇する期間も多く、成り立ちにくいことが知られています(この乖離がキャリー取引の収益源になります)。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

ファンダメンタルズ分析では、経常収支、対外純資産、実質金利差、成長率、金融政策の見通し、リスク回避の度合いなどから、為替の方向を判断します。ポートフォリオ・バランス・モデルのように、資産の需給から為替を説明するモデルもあります。テクニカル分析は、移動平均やトレンドなど価格の動きそのものから短期の動きを探る手法です。

押さえておきたい公式

予想為替レート = 現在の為替レート × (1 + 自国のインフレ率) ÷ (1 + 外国のインフレ率)相対的購買力平価(為替レートは外貨1単位あたりの自国通貨額)
先物為替レート = 直物為替レート × (1 + 自国金利) ÷ (1 + 外国金利)カバー付き金利平価(期間1年の場合)
予想為替変化率 ≒ 自国金利 − 外国金利カバーなし金利平価(実証的には成り立ちにくい)

具体例で確認

ドル円の直物レートが1ドル=150円、日本のインフレ率2%、米国のインフレ率3%、日本の1年金利0.5%、米国の1年金利4.0%とします。

  1. 相対的購買力平価による1年後の予想:150 × 1.02 ÷ 1.03 ≒ 148.54円(インフレ率の高いドルが約1%減価)
  2. カバー付き金利平価による1年物の先物レート:150 × 1.005 ÷ 1.04 ≒ 144.95円
  3. 先物レートは直物より約3.4%円高水準で、ドルは先物ディスカウントになります。

カバーなし金利平価が成り立つなら、1年後の直物の予想は約145円になります。しかし実際には、金利の高いドルが下がらず、円を借りてドルで運用する取引(キャリー取引)が利益を上げる期間も少なくありません。どの手法を使うかで予測値が変わることを理解しておきましょう。

試験で問われやすいポイント

  • 相対的購買力平価とカバー付き金利平価を使った予想レート・先物レートの計算と、その過程を示す問題に備えましょう。式の分子・分母を自国と外国で取り違えないことが大切です。
  • インフレ率が高い国の通貨は減価、金利が高い国の通貨は先物でディスカウントになる、という方向が問われやすいです。
  • カバー付き金利平価は裁定でおおむね成立するが、カバーなし金利平価は成り立ちにくいという違いと、キャリー取引との関係に注意しましょう。
  • PPPは長期、金利要因や需給は短中期、という予測期間による使い分けを記述で説明できるようにしておきましょう。
  • 短期予測ではランダムウォークに勝ちにくいという限界も押さえておきましょう。

要点まとめ

  • 為替の予測手法はPPP・金利平価・ファンダメンタルズ分析・テクニカル分析
  • 相対的PPP:インフレ率の高い国の通貨は減価する
  • カバー付き金利平価で先物レートが決まり、高金利通貨は先物ディスカウント
  • カバーなし金利平価は成り立ちにくく、短期予測はランダムウォークに勝ちにくい

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。