ひとことで言うと

  • 景気循環には周期の長さの違う波があり、キチン(在庫)・ジュグラー(設備投資)・クズネッツ(建設)・コンドラチェフ(技術革新)の4つが代表的です。
  • 景気変動が起きる理由は、需要側の要因を重視するケインズ派の理論(乗数・加速度原理など)と、技術などの供給ショックを重視する実物的景気循環理論などで説明が分かれます。
  • 貨幣供給の変動を重視する貨幣的景気循環論もあります。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「景気循環の主要な理論」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (4) 景気循環と経済成長とその要因
協会の学習ポイント 景気循環の主要な理論について説明できる。

景気循環の主要な理論とは

景気循環の理論は、大きく「どんな周期の波があるか」という循環の類型と、「なぜ景気が変動するのか」という発生メカニズムの2つの観点から整理できます。

周期による4つの循環

キチン循環は約40か月の短い波で、企業の在庫の積み増し・取り崩しが原因とされます(在庫循環)。ジュグラー循環は約10年の波で、設備投資の更新や拡大が原因とされます(設備投資循環)。クズネッツ循環は約20年の波で、住宅や建物などの建設投資が原因とされます。コンドラチェフ循環は約50年の長い波で、技術革新(蒸気機関、鉄道、電気・自動車など)が原因と考えられています。

需要側の理論:乗数・加速度原理

ケインズ派は、投資や消費など総需要の変動が景気を動かすと考えます。投資が増えると乗数効果で所得が増え、所得の増加が加速度原理(投資は所得の水準ではなく所得の増加分に比例する)を通じてさらに投資を増やします。この2つが組み合わさると、所得の伸びが鈍るだけで投資が減り、景気が反転するという循環が生まれます(サミュエルソンの乗数・加速度モデル)。

供給側・貨幣側の理論

実物的景気循環理論(RBC)は、技術進歩の変動などの実物的な供給ショックに、家計や企業が合理的に反応した結果として景気変動が起きると考えます。価格は伸縮的で、景気変動は均衡の変化とみなすため、景気安定化政策の必要性には否定的です。一方、マネタリストは貨幣供給の変動が短期的な景気変動の主因と考えます。ニュー・ケインジアンは、価格や賃金の硬直性を前提に、需要ショックが実体経済に影響すると説明します。

整理しておきたいポイント

循環の名称 周期の目安 主な要因
キチン循環 約40か月 在庫投資
ジュグラー循環 約10年 設備投資
クズネッツ循環 約20年 建設投資
コンドラチェフ循環 約50年 技術革新

具体例で確認

加速度原理で、投資I=2×(所得の増加分)とします(2は資本係数)。所得が100→110→120→125と推移すると、

  1. 100→110(増加10):投資 = 2 × 10 = 20
  2. 110→120(増加10):投資 = 2 × 10 = 20
  3. 120→125(増加5):投資 = 2 × 5 = 10

所得はまだ増えているのに、伸びが鈍っただけで投資は半分に減ります。投資の減少は乗数効果で所得を押し下げるため、景気が後退局面に入るきっかけになります。

試験で問われやすいポイント

  • 4つの循環の名称・周期・要因の組み合わせが問われやすいです(キチン=在庫、ジュグラー=設備投資など)。
  • 加速度原理は投資が所得の水準ではなく増加分に比例するという点が狙われやすいです。
  • 実物的景気循環理論は供給ショック(技術ショック)を重視し、景気変動を均衡の変化とみる点を押さえましょう。
  • ケインズ派(需要要因・価格硬直性)とRBC(供給要因・価格伸縮性)の政策への見方の違いに注意しましょう。

要点まとめ

  • キチン約40か月(在庫)、ジュグラー約10年(設備投資)、クズネッツ約20年(建設)、コンドラチェフ約50年(技術革新)
  • 乗数・加速度原理は需要側から景気循環を説明する
  • 実物的景気循環理論は技術ショックなど供給側から説明する
  • マネタリストは貨幣供給の変動を重視する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。