所有期間利回りとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 所有期間利回り(トータルリターン)は、投資期間中に得たインカム(配当・利息)とキャピタル(値上がり・値下がり)を合わせた収益を、投資額で割ったものです。
- 1期間の場合は(期末価格 − 期首価格 + 期中の収入)÷ 期首価格で計算します。
- 複数期間では各期の(1+収益率)を掛け合わせてつなぎ、必要に応じて年率に換算します。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「所有期間利回り」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (2) リターン、利回り |
| 協会の学習ポイント | 所有期間利回り(トータルリターン)の計算手法について理解する。 |
所有期間利回り(トータルリターン)とは
株式や債券に投資したときの成果は、配当や利息といったインカム・ゲインと、価格の変化によるキャピタル・ゲイン(ロス)の両方から生まれます。所有期間利回りは、この2つを合計した「実際に持っていた期間でどれだけ儲かったか」を、当初の投資額に対する割合で表したものです。このためトータルリターンとも呼ばれます。
インカムとキャピタルに分解できる
1期間の所有期間利回りは、「インカム÷期首価格」(配当利回りなど)と「価格変化÷期首価格」(値上がり率)の和に分けられます。配当利回りが高くても、株価が大きく下がればトータルリターンはマイナスになり得ます。
複数期間をつなぐときは掛け算
1年目+10%、2年目−10%のとき、2年間の合計リターンは0%ではありません。1.10 × 0.90 = 0.99 なので−1%です。期ごとのリターンをつなぐときは、単純に足すのではなく(1+R)を掛け合わせるのが正しい方法です。複数年の所有期間利回りを1年あたりにそろえる場合は、年数のべき根をとって年率(幾何平均)に換算します。
期中の収入の扱い
期中に受け取った配当や利息は、その時点で同じ資産に再投資したと仮定するのが一般的です。これにより、各期のリターンを掛け合わせた結果が全期間のトータルリターンと一致します。日本の債券の世界では、単利ベースで「1年あたりの利息+1年あたりの値上がり益」を購入価格で割る所有期間利回りもよく使われます(詳しくは「金融商品の利回り計算」で扱います)。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| P0 / P1 | 期首価格 / 期末価格 |
| D | 期中に受け取った配当・利息 |
| Rt | t期のリターン |
具体例で確認
例1:1年間の株式投資
株価1,000円で購入し、1年間で配当30円を受け取り、1年後の株価が1,050円になりました。
- インカム・リターン:30 ÷ 1,000 = 3%
- キャピタル・リターン:(1,050 − 1,000) ÷ 1,000 = 5%
- トータルリターン:3% + 5% = 8%
もし1年後の株価が940円なら、(940 − 1,000 + 30) ÷ 1,000 = −3%となります。
例2:2年間をつなぐ
1年目8%、2年目−5%なら、2年間の所有期間利回りは 1.08 × 0.95 − 1 = 2.6%、年率換算すると √1.026 − 1 ≒ 1.29%です。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「所有期間利回り(トータルリターン)と金額加重収益率・時間加重収益率を計算できる」)。
試験で問われやすいポイント
- トータルリターンにはインカムとキャピタルの両方を含める、という定義が基本として問われます。
- 分母は期首価格(購入価格)であり、期末価格ではない点がひっかけになりやすいです。
- 複数期間のリターンは足し算ではなく掛け算でつなぐ点を確認しましょう。
- 複数年のリターンを年率に換算する計算(べき根・幾何平均)に慣れておきましょう。
要点まとめ
- トータルリターン=(期末価格−期首価格+期中収入)÷期首価格
- インカム・リターンとキャピタル・リターンに分解できる
- 複数期間は(1+R)を掛け合わせてつなぐ
- 年率換算には(1+R)1/n−1を使う
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
