金額加重収益率・時間加重収益率とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 金額加重収益率は、資金の追加・引き出しのタイミングと金額の影響を含んだ収益率で、投資家自身の実際の運用成果を表します(IRRと同じ考え方)。
- 時間加重収益率は、資金の出し入れの影響を取り除いた収益率で、運用者(ファンドマネージャー)の実力の評価に使われます。
- 資金の出し入れがない場合、2つの収益率は一致します。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「金額加重と時間加重の収益率」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (2) リターン、利回り |
| 協会の学習ポイント | ポートフォリオの金額加重収益率と時間加重収益率の計算ができる。 |
金額加重収益率・時間加重収益率とは
年金基金や投資信託では、運用の途中で資金が追加されたり引き出されたりします。このとき「ポートフォリオの収益率」をどう測るかによって、結果が大きく変わることがあります。そこで目的に応じて2種類の収益率を使い分けます。
金額加重収益率(MWR)
期首の資産額、期中の資金の出し入れ、期末の資産額をキャッシュフローとみなし、それらの現在価値が釣り合う割引率を求めたものです。つまりポートフォリオのIRR(内部収益率)です。多くの資金が入っている時期の成績ほど大きく反映されるため、「投資家が実際にいくら増やせたか」を表します。ただし、資金の出し入れのタイミングは通常、運用者ではなく委託者(投資家)が決めるため、運用者の評価には向きません。
時間加重収益率(TWR)
資金の出し入れがあるたびに期間を区切り、各区間の収益率を計算して(1+R)を掛け合わせる方法です。各区間の収益率は資金量に関係なく同じ重みで扱われるため、資金の出し入れの影響が消え、運用者の腕前だけを測ることができます。このため、ファンドの運用成績の評価には時間加重収益率が標準的に使われます。正確に計算するには、資金の出し入れがあるたびに時価評価が必要です。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| V0 / VT | 期首 / 期末の資産額 |
| Ct | t時点の資金の追加(+)・引き出し(−) |
| Ri | i番目の区間の収益率 |
具体例で確認
年初に100万円で運用を始め、1年目末に120万円になりました。そこで投資家が100万円を追加し(資産220万円)、2年目末に198万円になったとします。
時間加重収益率
- 1年目:120 ÷ 100 − 1 = +20%
- 2年目:198 ÷ 220 − 1 = −10%
- 2年間:1.20 × 0.90 = 1.08 → 年率 √1.08 − 1 ≒ +3.92%
金額加重収益率
100 × (1 + r)2 + 100 × (1 + r) = 198 を満たすrを求めると、r ≒ −0.67%です。
運用者は「+20%、−10%」という成績を上げましたが、投資家は成績の悪い2年目の直前に資金を増やしたため、投資家全体の資金で見ると損失になっています。この差は運用者の責任ではなく、資金を入れたタイミングによるものです。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「所有期間利回り(トータルリターン)と金額加重収益率・時間加重収益率を計算できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 運用者の評価には時間加重収益率を使う、という使い分けが最もよく問われます。
- 金額加重収益率はIRRと同じ考え方で、資金の出し入れのタイミングの影響を受ける点を押さえましょう。
- 成績の良い時期の前に資金が増えると金額加重収益率が時間加重収益率を上回り、悪い時期の前なら下回るという方向の関係に注意しましょう。
- 時間加重収益率の計算で、区間の分母に追加資金を含めることを忘れないようにしましょう。
- 資金の出し入れがなければ両者は一致します。
要点まとめ
- 金額加重収益率=ポートフォリオのIRR、投資家の実際の成果
- 時間加重収益率=区間ごとの収益率の積、運用者の実力の評価
- 違いは資金の出し入れのタイミングと金額から生まれる
- 出し入れがなければ両者は一致する
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
