仮説検定と片側・両側検定とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 仮説検定は、母数についての仮説(帰無仮説)が、標本のデータと矛盾するかどうかを確率で判断する方法です。
- 対立仮説が「≠」なら両側検定、「>」や「<」なら片側検定で、棄却域の置き方が変わります。
- 有意水準5%の場合、Z検定の棄却域の境界は両側で±1.96、片側で1.645です。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「仮説検定の手順と片側・両側検定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 推定と検定 |
| 協会の学習ポイント | 仮説検定の方法と手順を理解し、片側検定と両側検定について、設定すべき仮説や有意水準と棄却域との関係を理解する。 |
仮説検定と片側・両側検定とは
仮説検定は、「このファンドの平均超過収益率は0である」といった仮説を立て、得られた標本がその仮説のもとでどれくらい起こりにくいかを調べることで、仮説を棄却するかどうかを判断する方法です。
帰無仮説と対立仮説
否定したい(棄却したい)仮説を帰無仮説H0、帰無仮説が棄却されたときに採用する、主張したい仮説を対立仮説H1といいます。たとえば「平均超過収益率はプラスだ」と主張したいなら、H0:μ = 0、H1:μ > 0と設定します。
仮説検定の手順
- 帰無仮説H0と対立仮説H1を設定する
- 有意水準α(通常5%や1%)を決める
- 検定統計量(Z値やt値など)を選び、標本から計算する
- 有意水準と対立仮説の形に応じて棄却域を定める
- 検定統計量が棄却域に入ればH0を棄却し、入らなければ棄却しない
H0を棄却できないときは「H0が正しいと証明された」のではなく、「H0を否定するだけの証拠がなかった」と解釈します。
片側検定と両側検定
対立仮説がH1:μ ≠ 0のように「どちらの方向でもよいから違う」という形なら両側検定です。有意水準αを左右に半分ずつ(α/2ずつ)割り振り、分布の両端に棄却域を置きます。対立仮説がH1:μ > 0(またはμ < 0)のように方向を特定する形なら片側検定で、その方向の端だけにαすべてを置きます。
同じ有意水準でも、片側検定の境界値(5%で1.645)は両側検定(5%で1.96)より小さいため、想定した方向に対しては片側検定のほうが帰無仮説を棄却しやすくなります。
押さえておきたい公式
| 対立仮説 | 検定の種類 | 棄却域(有意水準5%、Z検定) |
|---|---|---|
| μ ≠ μ0 | 両側検定 | Z < −1.96 または Z > 1.96 |
| μ > μ0 | 右片側検定 | Z > 1.645 |
| μ < μ0 | 左片側検定 | Z < −1.645 |
具体例で確認
あるファンドの月次超過収益率について、36カ月分のデータから標本平均0.9%を得ました。母標準偏差は3%とわかっているものとし、有意水準5%で検定します。
- 検定統計量:Z = (0.9 − 0) ÷ (3 ÷ √36) = 0.9 ÷ 0.5 = 1.8
- 片側検定(H1:μ > 0):1.8 > 1.645なので、H0を棄却します。超過収益率はプラスといえます。
- 両側検定(H1:μ ≠ 0):1.8 < 1.96なので、H0を棄却できません。
同じデータでも、対立仮説の立て方によって結論が変わることがあります。どちらの検定を使うかは、データを見る前に、分析の目的に応じて決めておく必要があります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「仮説検定の方法と手順・片側検定と両側検定・p値・第一種過誤と第二種過誤・検定力を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 帰無仮説と対立仮説の立て方(主張したいことを対立仮説に置く)が問われやすいです。
- 対立仮説が「≠」なら両側、「>」「<」なら片側という検定の選び方と、棄却域の位置を押さえましょう。
- 有意水準5%の境界値両側1.96・片側1.645、1%なら両側2.576・片側2.326を混同しないよう注意しましょう。
- H0を棄却できないことはH0が正しいと証明されたわけではない、という解釈が問われます。
- 有意水準を小さくすると棄却域は狭くなり、帰無仮説は棄却されにくくなるという関係も確認しておきましょう。
要点まとめ
- 仮説検定は帰無仮説がデータと矛盾するかを確率で判断する方法
- 手順は仮説設定→有意水準→検定統計量→棄却域→判定
- 対立仮説が≠なら両側、>・<なら片側検定
- 5%水準の境界値は両側±1.96、片側1.645
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
