ひとことで言うと

  • マネジャー・ストラクチャーとは、ひとつの資産クラス(例:国内株式)の運用を、どのタイプの運用会社(マネジャー)に、どれだけずつ任せるかという組み合わせの設計です。
  • パッシブを中心にアクティブを組み合わせるコア・サテライトなどの形があり、全体のアクティブ・リスクとコストのバランスをとります。
  • マネジャーのベンチマークを合成したものと資産クラスのベンチマークとのズレ(ミスフィット)の管理が重要です。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「マネジャー・ストラクチャー」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント マネジャー・ストラクチャーの基本概念・理論と実務上の留意点について理解する。

マネジャー・ストラクチャーとは

年金基金などの大規模な投資家は、資産配分(どの資産クラスに何%投資するか)を決めたあと、各資産クラスの中身を複数の運用会社に分けて委託するのが一般的です。このとき「どのスタイル・手法のマネジャーを何社、どの割合で採用するか」を決めることをマネジャー・ストラクチャーの構築といいます。

基本の考え方は、資産配分と同じく分散です。運用スタイル(バリュー/グロース、大型/小型など)や運用手法の異なるマネジャーを組み合わせると、各マネジャーのアクティブ・リターン(ベンチマークとの差)の相関が低ければ、全体のアクティブ・リスクは小さくなり、アクティブ・リスクあたりの超過収益(インフォメーション・レシオ)を高めることが期待できます。

代表的な構成

  • コア・サテライト:資産の大部分をパッシブ運用や低リスクのアクティブ運用(コア)で固め、残りを高い超過収益を狙うアクティブ運用(サテライト)に配分します。全体のコストとアクティブ・リスクを抑えつつ、付加価値を狙う形です。
  • スタイル分散型:バリューとグロースなど、異なるスタイルのマネジャーを組み合わせ、特定スタイルへの偏りを抑えます。

ミスフィット・リスク

各マネジャーには、それぞれのスタイルに合ったベンチマーク(マネジャー・ベンチマーク、ノーマル・ポートフォリオ)が設定されます。これらを配分比率で合成したものが、資産クラス全体のベンチマーク(例:TOPIX)と一致しないと、各マネジャーが自分のベンチマークどおりに運用していても、全体として資産クラスのベンチマークからずれます。このズレをミスフィットといい、そのリスクをミスフィット・リスクといいます。スタイルの偏りを補正するため、補完ポートフォリオを組み入れることもあります。

実務上の留意点

マネジャーの数を増やしすぎると、互いの銘柄選択が打ち消し合って全体がインデックスに近づくのに、アクティブ運用の報酬だけは払い続ける状態(実質的なパッシブ化)になりかねません。また、マネジャーの評価・監視や入れ替えのコスト、運用の規模に応じた報酬体系なども考慮する必要があります。

押さえておきたい公式

全体のアクティブ・リターン = ミスフィット + マネジャーの真のアクティブ・リターンミスフィット = 合成マネジャー・ベンチマーク − 資産クラス・ベンチマーク、真のアクティブ = 実際のリターン − 合成マネジャー・ベンチマーク
全体のアクティブ・リスク = √(Σ(wi × TEi2各マネジャーのアクティブ・リターンが互いに無相関と仮定した場合(wi:配分比率、TEi:各マネジャーのトラッキングエラー)

具体例で確認

国内株式を、パッシブ運用(コア)60%、バリュー型アクティブ20%、グロース型アクティブ20%に分けたとします。アクティブ2社のトラッキングエラーはともに5%で、互いのアクティブ・リターンは無相関と仮定します。

  • 各サテライトの寄与:0.2×5%=1%
  • 全体のアクティブ・リスク:√(12+12)≒1.41%(完全に相関していれば2%)
  • バリュー型とグロース型を同じ比率で組み合わせているため、合成マネジャー・ベンチマークはスタイルの偏りが相殺されやすく、ミスフィットを抑えられます。

試験で問われやすいポイント

  • マネジャー・ストラクチャーの目的(アクティブ・リスクの分散と、リスクあたりの超過収益の向上)。
  • コア・サテライトの構成と、コスト・アクティブ・リスクの観点からの利点。
  • ミスフィット(合成マネジャー・ベンチマークと資産クラス・ベンチマークの差)の意味と、アクティブ・リターンの分解。
  • マネジャー数を増やしすぎたときの問題(実質パッシブ化と報酬の割高化)。
  • 2次の記述式では、全体のアクティブ・リスクを計算過程とともに求めさせたり、構成の問題点を説明させたりする形が考えられます。

要点まとめ

  • マネジャー・ストラクチャーは、資産クラス内で複数のマネジャーをどう組み合わせるかの設計。
  • コア・サテライトはパッシブ中心にアクティブを加え、コストとリスクを管理する形。
  • 合成マネジャー・ベンチマークと資産クラス・ベンチマークのズレがミスフィット。
  • マネジャーの分散しすぎは、報酬に見合わない実質パッシブ化を招く。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。