キャップ付き・フロア付き変動利付債とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・債券分析
ひとことで言うと
- キャップ付き変動利付債はクーポンに上限が、フロア付き変動利付債はクーポンに下限が設けられた変動利付債です。
- キャップ付きは「通常の変動利付債 − キャップ」、フロア付きは「通常の変動利付債 + フロア」とオプションの組み合わせで評価できます。
- 価格は金利ツリー(二項モデル)を使い、各ノードで上限・下限を反映したクーポンを割り引いて求めます。
この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「キャップ付き・フロア付き変動利付債」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (6) オプション内蔵型債券の仕組みと評価 |
| 協会の学習ポイント | キャップ付き・フロア付き変動利付債の仕組みと、価格評価の手法を理解する。 |
キャップ付き・フロア付き変動利付債とは
変動利付債(FRN)は、TIBORやSOFRなどの参照金利に連動してクーポンが見直される債券です。クーポンが市場金利に追随するため、利払日ごとに価格が額面近くに戻りやすく、金利リスクが小さいのが特徴です。
この変動利付債に、クーポンの上限(キャップ)を付けたものがキャップ付き変動利付債です。金利がどれだけ上がってもクーポンは上限までしか増えないため、発行体が金利上昇から守られる一方、投資家はその分不利になります。投資家は発行体にキャップ(金利コール・オプションの束)を売っているのと同じ立場です。
反対に、クーポンの下限(フロア)を付けたものがフロア付き変動利付債です。金利が下がってもクーポンは下限を下回らないため、投資家が金利低下から守られます。投資家はフロア(金利プット・オプションの束)を買っていることになります。上限と下限の両方を付けたものはカラー付き変動利付債と呼ばれます。
価格評価の手法
オプションの価値は金利の経路によって変わるため、金利ツリーを使って評価します。各ノードの金利でその期のクーポンが決まり(期初に決定・期末に支払い)、上限・下限を反映したクーポンと元本を、そのノードの金利で1期ずつ後ろ向きに割り引きます。上限・下限がない通常の変動利付債は、この方法で評価すると(スプレッドがなければ)額面100になります。
押さえておきたい公式
具体例で確認
残存2年、年1回利払い、クーポン=1年金利の変動利付債(額面100)を考えます。金利ツリーは、現在の1年金利3.0%、1年後の1年金利が上昇ノード5.5%・下落ノード3.8%(確率は各50%)です。
キャップ4.5%の場合
- 1年後・上昇ノード:クーポンは5.5%ではなく上限の4.5% → (100 + 4.5) ÷ 1.055 ≒ 99.05
- 1年後・下落ノード:クーポン3.8%(上限以下) → (100 + 3.8) ÷ 1.038 = 100.00
- 現在:クーポン3.0% → {0.5 ×(99.05 + 3)+ 0.5 ×(100 + 3)} ÷ 1.03 ≒ 99.54
通常の変動利付債の価値は100なので、キャップの価値は100 − 99.54 ≒ 0.46です。
フロア4.0%の場合
- 1年後・上昇ノード:クーポン5.5% → 105.5 ÷ 1.055 = 100.00
- 1年後・下落ノード:クーポンは下限の4.0% → 104 ÷ 1.038 ≒ 100.19
- 現在:クーポンは下限の4.0% → {0.5 ×(100 + 4)+ 0.5 ×(100.19 + 4)} ÷ 1.03 ≒ 101.06
フロアの価値は101.06 − 100 ≒ 1.06です。現在の金利3.0%が下限4.0%を下回っているため、1年目から下限が効いています。
試験で問われやすいポイント
- キャップ付きは投資家がキャップを売っている(価値は通常のFRNより低い)、フロア付きは投資家がフロアを買っている(価値は高い)という関係が問われやすいです。
- 金利ツリーでは、期初のノード金利でクーポンが決まり期末に支払われるというタイミングを間違えないようにしましょう。
- 金利ボラティリティが上がるとキャップ・フロアの価値はともに上がるため、キャップ付きFRNの価格は下がり、フロア付きFRNの価格は上がるという方向に注意しましょう。
- キャップ・フロアの価値=(オプション付きFRNの価値)と(通常のFRNの価値)の差として求める手順が計算問題の定番です。
- 2次の記述式では、ツリー上の各ノードのクーポンと価値を示しながら計算する過程を書かせる形が考えられます。
要点まとめ
- キャップ=クーポンの上限(発行体に有利)、フロア=クーポンの下限(投資家に有利)
- キャップ付きFRN=通常FRN−キャップ、フロア付きFRN=通常FRN+フロア
- 金利ツリーで各ノードのクーポンに上限・下限を反映して後ろ向きに割り引く
- ボラティリティ上昇はキャップ付きFRNに不利、フロア付きFRNに有利
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
