ひとことで言うと

  • キーレート・デュレーションは、2年・5年・10年など特定の年限の金利だけが動いたときの価格の感応度です。
  • ポートフォリオのキーレート・デュレーションをベンチマークと年限ごとに比べることで、どの年限の金利変化に強いか・弱いかがわかります。
  • 全体のデュレーションが同じでも、年限ごとの配分が違えば、カーブの形が変わったときの損益は大きく変わります。

この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「キーレート・デュレーションの活用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析
大分類 (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略
協会の学習ポイント キーレート・デュレーションの債券ポートフォリオの金利感応度分析への適用手法を理解する。

キーレート・デュレーションの活用とは

通常のデュレーション(実効デュレーション)は、イールドカーブ全体が同じ幅だけ動く平行移動を前提にした感応度です。しかし実際のカーブは、短期だけ、長期だけといった形で動くことが多く、平行移動の感応度だけではリスクを十分に捉えられません。

キーレート・デュレーションは、カーブ上のいくつかの代表年限(キーレート)を選び、その1点の金利だけを動かしたときの価格変化率を測るものです。各キーレート・デュレーションを合計すると、おおむね実効デュレーションに一致します。つまり、全体のデュレーションを年限ごとに分解したものと考えることができます。

ポートフォリオ分析への使い方

ポートフォリオとベンチマークのキーレート・デュレーションを年限ごとに並べ、その差(アクティブ・キーレート・デュレーション)を見ると、どの年限にオーバーウェイト・アンダーウェイトしているかがわかります。全体のデュレーションをベンチマークと一致させていても、年限ごとの差があれば、スティープ化やフラット化によってベンチマークとのリターン差が生まれます。

これを使って、想定されるカーブの変化(シナリオ)ごとにポートフォリオとベンチマークの損益を試算したり、意図しない年限のリスクを見つけて解消したりします。逆に、カーブの変化について見通しがある場合は、その年限のキーレート・デュレーションを意図的にずらすことで、見通しをポジションに反映できます。オプションが組み込まれた債券やMBSのように、キャッシュフローが金利によって変わる証券を含む場合にも、金利ツリーなどで評価した実効ベースのキーレート・デュレーションを使って分析できます。

押さえておきたい公式

ΔP ÷ P ≒ −Σ KRDk × Δyk各キーレートの金利変化による価格変化率を合計する
Σ KRDk ≒ 実効デュレーションキーレート・デュレーションの合計は全体のデュレーションにおおむね一致する
記号 意味
KRDk k年のキーレート・デュレーション
Δyk k年の金利の変化幅

具体例で確認

ポートフォリオとベンチマークのキーレート・デュレーションが次のとおりだとします。

年限 ポートフォリオ ベンチマーク
2年 1.0 1.5 −0.5
5年 2.0 2.5 −0.5
10年 3.0 2.0 +1.0
合計 6.0 6.0 0
  1. 全年限が+0.1%動く平行移動:どちらも −6.0 × 0.1% = −0.6%で差はありません。
  2. スティープ化(2年 −0.1%、5年 不変、10年 +0.2%):ポートフォリオは −(1.0 × (−0.1) + 3.0 × 0.2) = −0.5%、ベンチマークは −(1.5 × (−0.1) + 2.0 × 0.2) = −0.25%
  3. ポートフォリオはベンチマークを約0.25%下回ります。10年ゾーンのオーバーウェイトが、長期金利の上昇で不利に働いたためです。

試験で問われやすいポイント

  • キーレート・デュレーションの定義(特定年限だけを動かしたときの感応度)と、合計が実効デュレーションにおおむね一致することが問われやすいです。
  • 全体のデュレーションが同じでも、年限配分の違いでカーブ変化時の損益が変わることを説明できるようにしましょう。
  • カーブのシナリオが与えられ、各年限の金利変化×キーレート・デュレーションを合計して損益を計算させる問題が考えられます。
  • 符号(金利上昇で価格は下落)と、ベンチマークとの差をとる向きのミスに注意しましょう。
  • 2次の記述式では、分析結果からどの年限を売買してリスクを調整するかを説明させる形が考えられます。

要点まとめ

  • キーレート・デュレーションは、全体のデュレーションを年限ごとに分解したもの
  • ベンチマークとの年限ごとの差から、カーブ変化に対する強み・弱みがわかる
  • 損益は各年限の金利変化×キーレート・デュレーションの合計で近似できる
  • 平行移動では差がなくても、スティープ化・フラット化で差が生じる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。