ひとことで言うと

  • レバレッジとは、借入やデリバティブを使って、自己資金以上の規模の債券ポジションを持つことです。
  • 債券運用では、レポ取引(債券を担保にした資金調達)、債券先物、金利スワップなどが代表的な手段です。
  • 投資収益率が調達金利を上回ればリターンは増えますが、下回れば損失も拡大します。さらに、担保の追加や資金繰りのリスクも生じます。

この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「レバレッジの利用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析
大分類 (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略
協会の学習ポイント 債券ポートフォリオにおけるレバレッジの利用手法とその効果を理解する。

債券ポートフォリオのレバレッジとは

債券は株式に比べて価格変動が小さいため、目標とするリターンやデュレーションを達成するためにレバレッジが使われることがあります。自己資金だけで保有するよりも大きな額の債券に投資すれば、利回りと調達コストの差(キャリー)や、金利低下による値上がり益を増幅できます。

主な手段

レポ取引は、保有する債券を担保に差し入れて短期資金を借り、その資金でさらに債券を買う方法です。債券の利回りがレポ金利を上回っていればプラスのキャリーが得られます。担保には、債券の時価より少なく資金が貸される(ヘアカットがかかる)のが一般的で、担保価値が下がれば追加の担保を求められます。

債券先物は、証拠金を差し入れるだけで、その何倍もの想定元本のポジションを持てます。金利スワップの固定受けは、元本の受け渡しなしに長期債を持つのと似た金利感応度を得られます。ほかに、証券貸借(債券の貸出しで受け取る担保資金の再投資)などもレバレッジの手段になります。

レバレッジのリスク

レバレッジは損益を両方向に拡大します。加えて、担保価値の下落による追加担保(マージン・コール)への対応、短期の借入を借り換えられなくなる資金調達(ロールオーバー)リスク、市場が混乱したときに不利な価格での売却を迫られるリスク、取引相手の信用リスクなどが生じます。市場全体でレバレッジが解消される局面では、価格下落と担保要求が連鎖しやすい点にも注意が必要です。

押さえておきたい公式

rP = [rI × VE + (rI − rB) × VB] ÷ VE自己資金に対するレバレッジ後のリターン
rP = rI + (VB ÷ VE) × (rI − rB)上の式を変形した形:借入比率 × 利ざやが上乗せされる
記号 意味
rP 自己資金に対するポートフォリオのリターン
rI 投資した債券全体のリターン
rB 借入(調達)コスト
VE、VB 自己資金の額、借入の額

具体例で確認

自己資金100億円に加え、レポ取引で50億円を金利1.0%で調達し、合計150億円の債券に投資したとします。

  1. 債券のリターンが3.0%の場合:rP = [3.0 × 100 + (3.0 − 1.0) × 50] ÷ 100 = 4.0%。レバレッジなしの3.0%を1.0%上回ります。
  2. 債券のリターンが−2.0%の場合:rP = [−2.0 × 100 + (−2.0 − 1.0) × 50] ÷ 100 = −3.5%。レバレッジなしの−2.0%より損失が1.5%大きくなります。
  3. 債券のリターンが調達金利と同じ1.0%なら、rP = 1.0%で、レバレッジの効果はゼロです。

試験で問われやすいポイント

  • レバレッジ後のリターンの公式を使い、自己資金・借入額・調達金利から計算させる問題が考えられます。
  • 投資収益率が調達金利を上回ればリターンが増え、下回れば損失が拡大するという方向を押さえましょう。
  • レポ取引、債券先物、金利スワップ、証券貸借など手段ごとの仕組みが問われやすいです。
  • 損益の拡大だけでなく、マージン・コール、借り換えリスク、投げ売りといったレバレッジ特有のリスクも説明できるようにしましょう。
  • 2次の記述式では、計算過程を示したうえで、レバレッジの利用に伴うリスクへの注意点を書かせる形が考えられます。

要点まとめ

  • レバレッジは借入やデリバティブで自己資金以上のポジションを持つこと
  • 主な手段はレポ取引、債券先物、金利スワップ、証券貸借など
  • rP = rI + (VB ÷ VE) × (rI − rB)
  • 利益だけでなく損失も拡大し、追加担保や資金調達のリスクが生じる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。