ひとことで言うと

  • 感応度分析は、金利・株価・為替などのリスク・ファクターが一定量動いたときに、ポートフォリオの価値がどれだけ変わるかを測る方法です。
  • 代表的な尺度は、債券のデュレーション(BPV)、株式のベータ、オプションのデルタガンマなどです。
  • 確率は扱わないため直感的でわかりやすい一方、損失の起こりやすさや複数要因の同時変動は別の手法で補います。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「さまざまな定量分析手法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (3) ポートフォリオの構築とリスク管理
協会の学習ポイント ポートフォリオ・リスクの様々な定量分析手法(感応度分析等)について理解する。

感応度分析とは

ポートフォリオのリスクを数量的にとらえる方法は、VaRだけではありません。「金利が0.01%(1ベーシス・ポイント)上がると債券ポートフォリオの価値はいくら下がるか」「日経平均が10%下落したら株式部分はいくら減るか」といったように、リスク・ファクターの変化に対する価値の変化(感応度)を測るのが感応度分析です。

感応度分析の強みは、計算がシンプルで、どのファクターにどれだけさらされているか(リスク・エクスポージャー)が一目でわかることです。ヘッジ量の決定や、運用担当者ごとのリスク枠(「金利感応度は○億円まで」など)の設定にも使いやすく、実務で広く利用されています。

主な感応度の尺度

  • デュレーション・BPV:金利変化に対する債券価格の感応度。BPV(ベーシス・ポイント・バリュー)は金利が1bp動いたときの価格変化額です。大きな金利変化ではコンベクシティによる修正も考えます。
  • ベータ:市場全体(株価指数)の変化に対する株式ポートフォリオの感応度です。
  • デルタ・ガンマ・ベガ:オプションの価格が原資産価格、デルタの変化、ボラティリティの変化にどう反応するかを表します。
  • 為替エクスポージャー:外貨建て資産の円換算額で、為替が1%動いたときの影響を測ります。

感応度分析の限界

感応度は「もしこれだけ動いたら」という条件付きの数字であり、その変化がどれくらいの確率で起きるかは示しません。また、基本的に1つのファクターだけを動かすため、金利と株価が同時に動くような複合的な影響や相関は反映されません。さらに、変化が大きいと線形近似の誤差(オプションや長期債の凸性など)が広がります。そのため、確率を扱うVaR、複数要因を同時に動かすシナリオ分析・ストレス・テストと組み合わせて使うのが一般的です。

押さえておきたい公式

価格変化 ≒ − 修正デュレーション × 価格 × 金利変化BPV = 修正デュレーション × 価格 × 0.0001(1bpあたりの価格変化額)
株式ポートフォリオの変化 ≒ β × 市場リターン × 時価
オプション価値の変化 ≒ Δ × 原資産の変化 + ½ × Γ × (原資産の変化)2

具体例で確認

時価50億円の債券ポートフォリオ(修正デュレーション6)と、時価30億円の株式ポートフォリオ(ベータ1.2)を保有しているとします。

  • 債券のBPV:6 × 50億円 × 0.0001 = 300万円(金利1bp上昇で約300万円の値下がり)
  • 金利が1%上昇した場合:− 6 × 50億円 × 0.01 = 約−3億円(コンベクシティを考慮すると損失はこれよりやや小さくなります)
  • 株式市場が10%下落した場合:1.2 × (−10%) × 30億円 = 約−3.6億円

このように、ファクターごとのエクスポージャーが金額で見えるため、「金利リスクを半分にしたい」といった場合に必要なヘッジ量(例:債券先物の売り枚数)も逆算しやすくなります。ただし、金利上昇と株安が同時に起きる確率や、そのときの合計損失の大きさは、感応度だけでは判断できません。

試験で問われやすいポイント

  • デュレーション・BPV、ベータ、デルタといった感応度の意味と、それを使った価値変化の計算が基本です。
  • 感応度分析は「確率を示さない」「単一ファクターが前提で相関を反映しにくい」「大きな変化では線形近似の誤差が出る」という限界が問われやすいです。
  • VaR(確率的な損失の目安)、シナリオ分析・ストレス・テスト(複数要因の同時変化)との違いと補完関係を押さえましょう。
  • 債券ではコンベクシティ、オプションではガンマが、線形近似の誤差を補う尺度であることも確認しておきましょう。
  • 記述式では、感応度の数値から損益を計算させたうえで、その手法の限界や補完手段を説明させる形が考えられます。

要点まとめ

  • 感応度分析は、リスク・ファクターの一定の変化に対する価値の変化を測る。
  • 債券はデュレーション・BPV、株式はベータ、オプションはデルタ・ガンマが代表的な尺度。
  • わかりやすくヘッジやリスク枠の設定に使いやすいが、確率や相関は反映しない。
  • VaRやストレス・テストと組み合わせて使う。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。