客観確率と主観確率とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 客観確率は、サイコロの目のような理論的な確率や、過去の頻度から求められる、誰にとっても共通の確率です。
- 主観確率は、ある出来事がどれくらい起こりそうかについて個人が抱く信念の度合いで、情報や経験、心理的な要因によって人ごとに異なります。
- 実際の人の主観確率は、ヒューリスティックや曖昧さ回避の影響で、客観確率や合理的な推論からずれることがあります。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「客観確率と主観確率」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (8) 行動ファイナンスの意義と応用 |
| 協会の学習ポイント | 不確実性に関する客観確率と個人の主観確率について理解する。 |
客観確率と主観確率とは
投資判断は、将来どうなるかわからないという不確実性のもとで行われます。そのとき意思決定に使われる「確率」には、大きく分けて客観確率と主観確率の2つの考え方があります。
客観確率
客観確率には、サイコロやコインのように起こりうる結果が同じ程度に確からしいと考えて求める古典的確率と、多数回の試行や過去データの相対頻度から求める頻度論的確率があります。誰が計算しても同じ値になる点が特徴です。
主観確率
一方、企業の新製品が成功するか、来年景気後退が起こるかといった一度きりの出来事には、頻度に基づく確率を当てはめにくいものです。こうした場合に個人が持つ「起こりそうな度合い」が主観確率です。伝統的な理論(主観的期待効用理論)では、合理的な個人の主観確率は確率の公理を満たし、新しい情報が入るとベイズの定理に従って修正されると考えます。
リスクと不確実性(曖昧さ)
経済学者ナイトは、確率分布がわかっている状況をリスク、確率分布自体がわからない状況を不確実性と区別しました。行動ファイナンスでは、人は確率がわからない状況(曖昧な状況)を特に嫌う曖昧さ回避の傾向があることが知られています。これを示したのがエルスバーグのパラドックスです。
主観確率のゆがみ
実際の人の主観確率は、合理的な推論どおりにはなりません。自分の予測の精度を過信して確率分布を狭く見積もる自信過剰、思い出しやすい出来事の確率を高く見積もる利用可能性ヒューリスティック、基準となる割合(ベースレート)を無視する代表性ヒューリスティックなどが代表例です。プロスペクト理論の確率ウェイト付け関数も、確率の感じ方のゆがみを表しています。
整理しておきたいポイント
| 観点 | 客観確率 | 主観確率 |
|---|---|---|
| 決まり方 | 理論や過去の頻度から決まる | 個人の信念・判断で決まる |
| 人による違い | 誰にとっても同じ | 人によって異なる |
| 主な対象 | くじ、繰り返し起こる事象 | 一度きりの事象、将来の経済・企業業績 |
| 合理的な前提 | — | 確率の公理を満たし、ベイズの定理で更新 |
| 実際のずれ | — | 自信過剰、ヒューリスティック、曖昧さ回避 |
具体例で確認
エルスバーグのパラドックス:2つの壺があります。壺1には赤玉50個と黒玉50個、壺2には赤玉と黒玉が合わせて100個入っていますが、内訳はわかりません。「赤が出たら賞金」という賭けでも、「黒が出たら賞金」という賭けでも、多くの人は壺1を選びます。
もし壺2で赤が出る主観確率をpとすると、赤の賭けで壺1を選ぶのは p < 0.5、黒の賭けで壺1を選ぶのは 1 − p < 0.5、つまり p > 0.5 を意味します。この2つを同時に満たすpは存在しません。人は確率そのものではなく、「確率がわからないこと」自体を嫌っていると考えられ、これが曖昧さ回避です。投資では、なじみのない外国市場や新しい資産クラスを避ける行動(ホーム・バイアスなど)の説明にも使われます。
試験で問われやすいポイント
- 客観確率(古典的・頻度論的)と主観確率(個人の信念の度合い)の定義の違いを押さえましょう。
- ナイトによるリスク(確率分布が既知)と不確実性(確率分布が未知)の区別がよく問われます。
- エルスバーグのパラドックスが示す曖昧さ回避と、主観確率では説明できない理由を式で示せるようにしましょう。
- 合理的な主観確率はベイズの定理で更新されるという前提と、自信過剰やヒューリスティックによるずれ。
- 記述式では、主観確率のゆがみが投資判断にどう影響するかを説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- 客観確率は理論や頻度から決まり、誰にとっても共通。
- 主観確率は個人の信念の度合いで、人によって異なる。
- 確率分布がわからない状況を嫌う曖昧さ回避がエルスバーグのパラドックスで示される。
- 実際の主観確率は自信過剰やヒューリスティックでゆがみやすい。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
