ひとことで言うと

  • 価値関数は、参照点からの損益に価値をつける関数で、利益側で凹、損失側で凸、損失側の傾きが急(損失回避)という形をしています。
  • 確率ウェイト付け関数は、客観確率を主観的な重みに変換する関数で、小さな確率を過大に、中程度から大きな確率を過小に評価する逆S字型になります。
  • 意思決定ウェイト付け関数は、確率ウェイトから各結果に実際にかける重み(決定ウェイト)を求めるもので、プロスペクトの価値はこの重みと価値関数の積の合計で表されます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「価値関数と確率ウェイト付け関数」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (8) 行動ファイナンスの意義と応用
協会の学習ポイント プロスペクト理論における価値関数、確率ウェイト付け関数、意思決定ウェイト付け関数について理解する。

価値関数と確率ウェイト付け関数とは

プロスペクト理論では、選択肢(プロスペクト)の評価を「結果の評価」と「確率の評価」に分けて考えます。結果を評価するのが価値関数、確率を評価するのが確率ウェイト付け関数と意思決定ウェイト付け関数です。

価値関数

価値関数 v(x) は、参照点からの損益 x に主観的な価値を割り当てます。主な特徴は次の3つです。

  • 参照点依存:最終的な富ではなく損益で評価し、参照点で v(0) = 0 となる。
  • 感応度逓減:利益側では凹(リスク回避的)、損失側では凸(リスク追求的)。
  • 損失回避:損失側の傾きが利益側より急で、参照点で折れ曲がる。

確率ウェイト付け関数

確率ウェイト付け関数 w(p) は、客観確率 p を主観的な重みに変換します。グラフは45度線に対して逆S字型になり、確率0と1の近くで傾きが急です。そのため、1%や5%といった小さな確率は実際より大きく感じられ(過大評価)、中程度から大きな確率は小さく感じられます(過小評価)。「不可能」から「わずかに可能」、「ほぼ確実」から「確実」への変化が特に重く感じられることを表しており、確実性効果の説明にもなります。

意思決定ウェイト付け関数

当初のプロスペクト理論では、確率 p にかける決定ウェイトを π(p) で表しました。その後の累積プロスペクト理論では、結果を良い順(損失側は悪い順)に並べ、「その結果以上になる確率」に確率ウェイト付け関数を適用し、その差として各結果の決定ウェイトを求めます。こうすることで、決定ウェイトの合計が必ずしも1にならないという性質を保ちながら、理論上の不都合を避けています。

押さえておきたい公式

V = Σ πi × v(xi)プロスペクトの価値。πi:決定ウェイト、v:価値関数
w(p) = pγ ÷ {pγ + (1 − p)γ}1/γトベルスキー=カーネマンの確率ウェイト付け関数。推定値の例は利益でγ = 0.61、損失でγ = 0.69
v(x) 価値関数(例:x0.88、損失は −2.25 × (−x)0.88
w(p) 確率ウェイト付け関数
πi 各結果にかける決定ウェイト

具体例で確認

上の関数(利益γ = 0.61)で確率ウェイトを計算すると、w(0.01) ≒ 0.055、w(0.5) ≒ 0.42、w(0.99) ≒ 0.91 となります。1%は約5.5%のように重く感じられ、99%は約91%に割り引かれます。

  • 宝くじ:「1%の確率で1万円」と「確実に100円」を比べます。期待値は同じ100円ですが、くじの価値は 0.055 × 100000.88183、確実な100円の価値は 1000.8857.5。小さな確率の過大評価によって、くじを選びます(リスク追求)。
  • 保険:「1%の確率で1万円の損失」と「確実に100円払う(保険料)」を比べます。損失側(γ = 0.69)では w(0.01) ≒ 0.0397 なので、損失の価値は 0.0397 × (−2.25 × 100000.88) ≒ −296、保険料の価値は ≒ −129.5。保険に入ることを選びます(リスク回避)。

試験で問われやすいポイント

  • 価値関数の3つの特徴(参照点依存、感応度逓減、損失回避)とグラフの形を説明・図示できるようにしましょう。
  • 確率ウェイト付け関数が小さな確率を過大、大きな確率を過小に評価する逆S字型であることは頻出です。
  • 宝くじ(低確率の利益でリスク追求)と保険(低確率の損失でリスク回避)を、価値関数と確率ウェイトの組み合わせで説明させる問題に備えましょう。
  • プロスペクトの価値 V = Σπ × v(x) の計算手順と、期待効用との違い(確率をそのまま使わない)。
  • 決定ウェイトは確率ではないので合計が1になるとは限らない点に注意しましょう。

要点まとめ

  • 価値関数は利益で凹、損失で凸、損失側が急で参照点で折れ曲がる。
  • 確率ウェイト付け関数は逆S字型で、小さな確率を過大評価する。
  • 意思決定ウェイトは確率ウェイトから各結果の重みを求めるもの。
  • 両者を組み合わせると宝くじと保険の同時購入などを説明できる。

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