ひとことで言うと

  • 資産運用会社は、年金や投資信託などから資金の運用を受託し、主に運用資産残高に一定率を掛けた報酬で収益を上げます。
  • ヘッジファンドは、空売りやレバレッジ、デリバティブなどを柔軟に使って市場の方向に左右されにくい収益(絶対リターン)をめざすファンドで、管理報酬+成功報酬という報酬体系が一般的です。
  • 成功報酬には、過去の最高値を超えた部分にだけ報酬がかかるハイウォーターマークなどのルールが設けられます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「運用会社とヘッジファンド」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (4) 機関投資家の資産運用
協会の学習ポイント 資産運用会社、ヘッジファンドの仕組みや特性について理解する。

資産運用会社とヘッジファンドとは

資産運用会社の仕組み

資産運用会社(運用機関)は、年金基金などの機関投資家から投資一任契約で運用を受託したり、投資信託を設定・運用したりする会社です。収益の中心は、運用資産残高(AUM)に一定の料率を掛けた運用報酬です。そのため、運用成績だけでなく、資金を集める販売力や顧客サービスもビジネスを左右します。パッシブ運用は料率が低く規模の経済が働きやすい一方、アクティブ運用は料率が高い代わりに、ベンチマークを上回る成果が求められます。

運用会社には、顧客の利益を最優先する受託者責任があり、自社や系列会社の利益と顧客の利益がぶつかる利益相反の管理が重要です。また、同じ運用戦略でも残高が大きくなりすぎると、売買による市場への影響が大きくなり、超過収益を上げにくくなる(キャパシティの問題)点にも注意が必要です。

ヘッジファンドの仕組みと特徴

ヘッジファンドは、主に富裕層や機関投資家を対象とした私募形式のファンドで、一般の投資信託に比べて運用手法の制約が少なく、空売り、レバレッジ、デリバティブ、裁定取引などを組み合わせて、市場全体の上げ下げに左右されにくい絶対リターンをめざします。代表的な戦略には、株式ロング・ショート、グローバル・マクロ、イベント・ドリブン、相対価値(アービトラージ)などがあります。

運用上の特徴として、解約できる時期が限られていたり、一定期間解約できないロックアップ期間が設けられていたりと、流動性が低いことが多い点が挙げられます。また、運用内容の開示が限られること(透明性の低さ)、レバレッジによる損失の拡大、運用者個人への依存度の高さなども、投資する際のリスクとして確認が必要です。

押さえておきたい公式

管理報酬 = 運用資産残高 × 管理報酬率ヘッジファンドでは年1〜2%程度とされることが多い
成功報酬 = (期末NAV − ハイウォーターマーク) × 成功報酬率期末NAVがハイウォーターマークを下回る場合は0。ハードルレートを設ける場合もある

具体例で確認

管理報酬2%(期初残高に対して)、成功報酬20%(管理報酬控除後の利益のうちハイウォーターマーク超過分)のファンドに100億円を投資したとします。

  • 1年目:運用で120億円に増加。管理報酬2億円を引いて118億円。成功報酬 = (118 − 100) × 20% = 3.6億円。投資家の残高は114.4億円で、これが新しいハイウォーターマークになります。
  • 2年目:管理報酬控除後の残高が105億円に減少。ハイウォーターマーク(114.4億円)を下回るため、成功報酬は0です(管理報酬はかかります)。
  • 3年目:管理報酬控除後の残高が120億円に回復。成功報酬は (120 − 114.4) × 20% = 1.12億円で、100億円からの増加分ではなく、最高値を超えた部分だけにかかります。

ハイウォーターマークがなければ、2年目の損失を取り戻すだけの回復にも成功報酬を払うことになり、投資家に不利です。なお、成功報酬には「利益が出れば報酬が大きく、損失は負担しない」という非対称性があり、運用者が過大なリスクを取る誘因になりうる点も指摘されます。

試験で問われやすいポイント

  • 資産運用会社の収益は運用資産残高に連動する報酬が中心で、ヘッジファンドは管理報酬+成功報酬が一般的、という違いが基本です。
  • ハイウォーターマークやハードルレートの意味と、それを使った成功報酬の計算が問われやすいです。
  • ヘッジファンドの特徴(空売り・レバレッジ・デリバティブの活用、絶対リターン志向、流動性の低さ、透明性の低さ)を押さえましょう。
  • 成功報酬の非対称性がリスクテイクを促す可能性や、運用会社の利益相反・キャパシティの問題も論点になります。
  • 記述式では、報酬控除後の投資家リターンを段階的に計算させたり、報酬体系の長所・短所を説明させたりする形が考えられます。

要点まとめ

  • 資産運用会社は運用資産残高に応じた報酬で収益を上げ、受託者責任と利益相反の管理が重要。
  • ヘッジファンドは空売りやレバレッジを使い、絶対リターンをめざす。
  • 報酬は管理報酬+成功報酬が一般的で、ハイウォーターマークで二重取りを防ぐ。
  • 流動性・透明性の低さやレバレッジのリスクに注意する。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。