行列式と逆行列とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 連立方程式は、係数をまとめた行列Aを使ってAx = bと1本の式で表せます。
- Aの行列式が0でなければ逆行列A−1が存在し、x = A−1bで解が1つに決まります。
- 2×2行列の行列式と逆行列の公式は、手計算で必ず使えるようにしておきたい基本です。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「行列式と逆行列による解法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (10) ベクトルと行列 |
| 協会の学習ポイント | 行列式と逆行列での行列表現の数理モデルの解法を表記できる。 |
行列式と逆行列とは
数の世界では、3x = 6 を解くとき両辺に3の逆数1/3を掛けて x = 2 とします。行列の世界でこの「逆数」にあたるのが逆行列です。正方行列Aに対して、AA−1 = A−1A = I(単位行列)となる行列A−1を、Aの逆行列といいます。
ただし、数の0に逆数がないのと同じように、すべての行列に逆行列があるわけではありません。逆行列があるかどうかを判定するのが行列式(det A または |A|)です。det A ≠ 0 なら逆行列が存在し(正則)、det A = 0 なら存在しません。
連立方程式の行列表現
たとえば「2x + y = 5、x + 3y = 10」という連立方程式は、係数行列 A = [[2, 1], [1, 3]]、未知数ベクトル x = (x, y)’、定数ベクトル b = (5, 10)’ を使って Ax = b と書けます。両辺に左からA−1を掛ければ x = A−1b となり、解が求まります。変数や式の数が増えても同じ書き方で表せるのが、行列表現の大きな利点です。
行列式が0になるとき
det A = 0 のときは、2本の式が実質的に同じ情報しか持っていない(一方が他方の定数倍になっている)ため、解が無数にあるか、解がないかのどちらかになります。回帰分析で説明変数どうしが完全に比例していると係数が推定できない(完全な多重共線性)のも、同じ仕組みです。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| det A(|A|) | 行列Aの行列式 |
| A−1 | Aの逆行列(AA−1 = I) |
| I | 単位行列 |
具体例で確認
「2x + y = 5、x + 3y = 10」を逆行列で解きます。
- 係数行列:A = [[2, 1], [1, 3]]、b = (5, 10)’
- 行列式:det A = 2×3 − 1×1 = 5(0でないので逆行列が存在)
- 逆行列:A−1 = (1/5) × [[3, −1], [−1, 2]] = [[0.6, −0.2], [−0.2, 0.4]]
- 解:x = 0.6×5 − 0.2×10 = 1、y = −0.2×5 + 0.4×10 = 3
- 検算:2×1 + 3 = 5、1 + 3×3 = 10 で、元の式を満たします。
一方、A = [[2, 4], [1, 2]] なら det A = 2×2 − 4×1 = 0 となり、逆行列は存在しません(2行目は1行目のちょうど半分です)。
試験で問われやすいポイント
- 2×2行列の行列式 ad − bcと逆行列の公式(対角を入れ替え、非対角の符号を反転)を正確に使えるかが問われます。
- det A = 0 なら逆行列が存在しないという条件と、その意味(式が独立でない)が問われやすいです。
- x = A−1b であって bA−1 ではないなど、掛ける順序(左から掛ける)に注意しましょう。
- 記述式では、連立方程式をAx = b の形に表記するところから、行列式・逆行列・解までの計算過程を示せるようにしておきましょう。
- 求めた解を元の式に代入する検算は、計算ミスを防ぐうえで有効です。
要点まとめ
- 連立方程式はAx=bと行列で表せる
- 2×2行列の行列式はad−bc。0でなければ逆行列が存在する
- 逆行列は「対角入れ替え・非対角の符号反転・行列式で割る」
- 解はx=A−1bで求まる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
