ひとことで言うと

  • 主成分合成とは、2つの変数を重み付けして足し合わせ、1つの合成変数 z = a1x1 + a2x2 を作ることです。
  • 重みの2乗和を1とする条件のもとで、zの分散が最大になる重みを選んだものが第1主成分です。
  • その重みは分散共分散行列の最大固有値に対応する固有ベクトルで、第1主成分の分散はその固有値に等しくなります。

この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「2変数の主成分合成」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計
大分類 (12) 多変量解析
協会の学習ポイント 2変数での主成分合成の原理を理解し具体的な計算ができる。

主成分合成(2変数の主成分分析)とは

主成分分析は、互いに相関する複数の変数がもつ情報を、できるだけ少ない数の合成変数(主成分)に要約する手法です。2変数の場合、データを散布図に描くと、点は相関の方向に細長く広がります。この「最も広がっている方向」に軸を取り直し、その軸上の座標を新しい変数とするのが第1主成分の考え方です。

合成変数 z = a1x1 + a2x2 の分散は、重みを大きくすればいくらでも大きくなってしまうので、a12 + a22 = 1 という制約を置きます。この制約のもとで分散を最大化すると(ラグランジュ乗数法)、条件は Σa = λa となり、重みベクトルaは分散共分散行列Σの固有ベクトル、そのときのzの分散は固有値λになります。分散を最大にしたいので、大きいほうの固有値を選びます。

第2主成分は、第1主成分と無相関(重みベクトルが直交)という条件のもとで分散を最大にするもので、小さいほうの固有値と固有ベクトルが対応します。2変数なら主成分は2つで、2つの固有値の合計は元の2変数の分散の合計(Σのトレース)に等しくなります。

標準化するかどうか

単位や大きさが異なる変数(例:売上高と利益率)をそのまま使うと、分散の大きい変数が第1主成分を支配します。そのため、各変数を標準化し、相関行列で主成分を求めることもよくあります。相関係数がr(>0)の2変数を標準化した場合、固有値は 1+r と 1−r、第1主成分の重みは(1/√2, 1/√2)となり、2変数の単純な平均に比例する形になります。

押さえておきたい公式

Var(z) = a12σ12 + 2a1a2σ12 + a22σ22 = a’Σa制約 a12 + a22 = 1 のもとで最大化
Σa = λa、 det(Σ − λI) = 0固有方程式:λ2 − (σ12 + σ22)λ + (σ12σ22 − σ122) = 0
記号 意味
Σ 2変数の分散共分散行列
λ1(大きいほう) 第1主成分の分散
a 主成分の重み(固有ベクトル、長さ1に正規化)

具体例で確認

x1の分散4、x2の分散1、共分散1.2とします。

  • 固有方程式:λ2 − 5λ +(4×1 − 1.22)= λ2 − 5λ + 2.56 = 0
  • 解:λ =(5 ± √(25 − 10.24))÷ 2 → λ14.421、λ20.579
  • 固有ベクトル:(4 − 4.421)a1 + 1.2a2 = 0 より a2 ≒ 0.351a1。長さを1にすると a ≒(0.944, 0.331
  • 第1主成分:z1 ≒ 0.944x1 + 0.331x2。検算すると 0.9442×4 + 2×0.944×0.331×1.2 + 0.3312×1 ≒ 4.421 で、固有値に一致します。
  • 第1主成分で全分散5のうち 4.421 ÷ 5 ≒ 88.4%を説明できます。

試験で問われやすいポイント

  • 「重みの2乗和=1」の制約をおく理由(ないと分散がいくらでも大きくなる)。
  • 2×2の固有方程式を解いて固有値を求め、最大固有値の固有ベクトルを正規化する計算手順。
  • 第1主成分の分散=最大固有値、固有値の合計=元の分散の合計、という関係。
  • 標準化(相関行列)する場合としない場合(分散共分散行列)で結果が変わる点。相関rのときの固有値1±r。
  • 記述式では計算過程を示す必要があるので、固有方程式→固有値→固有ベクトル→正規化の順に書けるようにしておきましょう。

要点まとめ

  • 主成分合成は、重みの2乗和1の制約のもとで合成変数の分散を最大化する方法です。
  • 重みは分散共分散行列の固有ベクトル、主成分の分散は固有値です。
  • 第1主成分は最大固有値、第2主成分はもう一方の固有値に対応し、両者は無相関です。
  • 単位の違う変数は標準化して相関行列で分析することが多いです。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。