主成分分析の多変数への一般化とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 3変数以上の主成分分析も、分散共分散行列(または相関行列)の固有値・固有ベクトルを求めるという同じ枠組みで行えます。
- p個の変数からはp個の主成分が得られ、固有値の大きい順に第1、第2…主成分となります。
- 行列で書くと Σ = PΛP’(スペクトル分解)で、少数の主成分で多数の変数の動きを要約できます。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「多変数への一般化」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (12) 多変量解析 |
| 協会の学習ポイント | 主成分分析の共分散行列での定式化による多変数への一般化について理解する。 |
主成分分析の多変数への一般化とは
p個の変数をまとめたベクトルを x、その分散共分散行列を Σ(p×p の対称行列)とします。重みベクトル a による合成変数 z = a’x の分散は a’Σa と書けるので、2変数のときと同様に「a’a = 1 の制約のもとで a’Σa を最大化する」問題を解けば、第1主成分が得られます。ラグランジュ乗数法で解くと Σa = λa、つまり固有値問題になり、最大固有値 λ1 に対応する固有ベクトルが第1主成分の重みです。
第2主成分以降は、それまでの主成分と無相関(固有ベクトルが直交)という条件を加えて分散を最大化したもので、2番目、3番目…に大きい固有値の固有ベクトルが順に対応します。Σは対称行列なので、固有値はすべて0以上の実数、固有ベクトルは互いに直交するようにとれます。
スペクトル分解との関係
固有ベクトルを並べた直交行列を P、固有値を対角に並べた行列を Λ とすると、Σ = PΛP’ = Σ λkakak‘ と分解できます。主成分ベクトル z = P’x の分散共分散行列は Λ(対角行列)となり、主成分どうしが無相関であることが確認できます。大きな固有値の項だけを残せば、少ない数の主成分で元の共分散構造を近似できます。
証券分析での応用
代表的な例がイールドカーブの主成分分析です。多数の年限の金利変化を分析すると、第1主成分は全年限がそろって動く「水準(レベル)」、第2主成分は短期と長期が逆に動く「傾き(スロープ)」、第3主成分は中期だけが動く「曲率」と解釈されることが多く、少数の主成分で金利変動の大部分を説明できます。株式リターンから統計的ファクターを取り出す場合にも使われます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
標準化した3変数で、どの2変数間の相関係数も0.5という相関行列を考えます。
- a =(1, 1, 1)÷ √3 とすると、相関行列×a の各成分は(1 + 0.5 + 0.5)÷ √3 = 2 ÷ √3 なので、Ra = 2a。よって λ1 = 2。
- 固有値の合計は変数の数3なので、残り2つの固有値の合計は1で、この行列では λ2 = λ3 = 0.5 になります。
- 第1主成分の寄与率は 2 ÷ 3 ≒ 66.7%。第1主成分は3変数の等ウエイト合成で、「全体に共通する動き」を表します。
- 各変数と第1主成分の相関(主成分負荷量)は √2 × 1/√3 ≒ 0.816 です。
試験で問われやすいポイント
- 多変数でも「a’a=1のもとでa’Σaを最大化→固有値問題」という定式化は同じであること。
- p変数から得られる主成分はp個で、互いに無相関、分散は固有値である点。
- スペクトル分解 Σ=PΛP’ と、主成分の分散共分散行列が対角行列Λになることの意味。
- イールドカーブの主成分(水準・傾き・曲率)など、証券分析への応用と各主成分の解釈。
- 記述式では、与えられた固有値・固有ベクトルから寄与率を計算し、主成分の意味を説明させる形に備えましょう。
要点まとめ
- 多変数の主成分分析は、分散共分散行列の固有値問題 Σa=λa として定式化されます。
- 固有値の大きい順に主成分が並び、互いに無相関です。
- Σ=PΛP’ のスペクトル分解で、少数の主成分による近似ができます。
- 金利の期間構造分析や統計的ファクター・モデルに応用されます。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
