株式市場の参加者と役割とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・株式分析
ひとことで言うと
- 証券会社は、株式の発行を手伝い(引受)、投資家の注文を取り次ぎ、自らも売買する、市場の中心的な仲介者です。
- 証券取引所は、売買の「場」を提供し、上場審査や売買の監視などで公正な取引を支えます。
- 機関投資家(銀行・保険会社・年金基金・投資信託など)は、多くの人から預かった大きな資金を運用する市場の主要な買い手・売り手です。
この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「市場の参加者と役割」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/株式分析 |
|---|---|
| 大分類 | (1) 資本市場の仕組みと株式投資 |
| 協会の学習ポイント | 株式の発行・流通に関わる機関や参加者(証券会社、証券取引所、銀行・保険会社などの機関投資家)の種類と役割を理解する。 |
株式市場の参加者と役割とは
株式が発行され、売買され、決済されるまでには、さまざまな機関が関わっています。誰がどの段階で何をしているのかを整理すると、市場の全体像がぐっと見えやすくなります。
証券会社:4つの基本業務
証券会社(金融商品取引法上の第一種金融商品取引業者)の代表的な業務は、次の4つです。
- 引受業務(アンダーライティング):企業が新たに発行する株式などを、販売する目的でいったん買い取る業務です。売れ残った場合のリスクを負います。
- 募集・売出しの取扱い(セリング):発行される株式などを、投資家に販売する業務です。売れ残りのリスクは負いません。
- 委託売買業務(ブローカレッジ):投資家から受けた売買注文を取引所などに取り次ぎ、手数料を受け取る業務です。
- 自己売買業務(ディーリング):自社の資金で株式などを売買し、利益を狙う業務です。
証券取引所と関連機関
証券取引所は、多数の売り注文と買い注文を集めて公正な価格で売買を成立させる場を提供します。あわせて、上場審査・上場廃止の判断、売買の監視、適時開示のルール整備など、市場の信頼性を保つための自主規制も担っています。日本では、日本取引所グループのもとで東京証券取引所が現物株式の主要な市場を運営しています。
売買が成立した後の決済を支える機関も重要です。取引の相手方に代わって決済を保証する清算機関や、株式の権利の移転を帳簿上の記録(振替)で行う振替機関があり、株券を実際に受け渡さなくても売買が完了する仕組みになっています。
投資家:機関投資家と個人投資家
機関投資家とは、顧客や加入者から集めた資金を組織として運用する投資家です。銀行、生命保険会社・損害保険会社、年金基金、投資信託や投資顧問会社などの資産運用会社が代表例です。運用額が大きく、専門的な分析にもとづいて投資するため、株価形成や企業との対話(エンゲージメント)に大きな影響力を持ちます。
これに対して、自分の資金を自分で運用するのが個人投資家です。また、海外の年金基金やファンドなどの海外投資家も、日本の株式市場で重要な存在となっています。
整理しておきたいポイント
| 参加者 | 主な役割 | 関わる市場 |
|---|---|---|
| 証券会社 | 引受・販売、注文の取次ぎ、自己売買 | 発行市場・流通市場の両方 |
| 証券取引所 | 売買の場の提供、上場審査、売買監視などの自主規制 | 流通市場 |
| 清算機関・振替機関 | 決済の保証、株式の権利移転の記録 | 流通市場(売買成立後) |
| 機関投資家 | 預かった資金の大口運用、議決権行使・対話 | 発行市場・流通市場の両方 |
| 個人投資家 | 自己資金による投資 | 発行市場・流通市場の両方 |
具体例で確認
Z社が公募増資を行い、その後、株式が取引所で売買される流れを追ってみましょう。
- 発行:証券会社がZ社の新株を引き受け、投資家に販売します。生命保険会社や投資信託などの機関投資家、個人投資家が新株を取得し、代金はZ社に払い込まれます。
- 売買:その後、ある年金基金が資産運用会社を通じてZ社株の買い注文を出します。注文は証券会社から取引所に取り次がれ(ブローカレッジ)、売り注文と突き合わされて売買が成立します。
- 決済:清算機関が決済を保証し、代金の支払いと株式の振替によって、Z社株の持ち主が売り手から年金基金へと移ります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「株式の発行・流通に関わる機関や参加者(証券会社・証券取引所・銀行・保険会社などの機関投資家)の種類と役割を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 証券会社の4業務(引受・セリング・ブローカレッジ・ディーリング)の内容の取り違えが狙われやすいです。
- 引受は「売れ残りリスクを負う」、募集・売出しの取扱いは「負わない」という違いは混同しやすい論点です。
- 取引所は売買の場の提供だけでなく、上場審査や売買監視などの自主規制機能も担う点が問われやすいです。
- 機関投資家の範囲(銀行・保険会社・年金基金・投資信託など)と、その運用資金が顧客や加入者から預かったものである点。
- 売買成立後の清算・振替の仕組み(決済の保証、株券を受け渡さない権利移転)も押さえておきましょう。
要点まとめ
- 証券会社は引受・販売・取次ぎ・自己売買を通じて発行と流通の両方を仲介する。
- 証券取引所は売買の場と自主規制で公正な価格形成を支える。
- 清算機関・振替機関が売買成立後の決済を支える。
- 機関投資家は大口の資金を運用し、株価形成に大きな影響力を持つ。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
