金利オプションの二項モデルとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- 金利の二項モデルでは、各期に金利が「上がる」か「下がる」かの2通りに分かれる金利ツリーを作ります。
- 金利オプションの価値は、満期のペイオフから出発し、各ノードの金利で1期ずつ割り引きながら現在まで逆算して求めます。
- 株式の二項モデルとの違いは、割引に使う金利がノードごとに異なる点です。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「二項モデルによる金利オプション評価」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 金利・通貨を対象としたデリバティブ |
| 協会の学習ポイント | 2期間二項モデルによる金利オプションの評価手法を理解する。 |
二項モデルによる金利オプション評価とは
金利オプションは、金利の水準(あるいは金利で価格が決まる債券)を原資産とするオプションです。代表例には、金利が一定水準を上回ったときに差額を受け取れるキャップ(を構成する1回分のキャップレット)や、金利が一定水準を下回ったときに差額を受け取れるフロア、債券を原資産とする債券オプションがあります。
これらを評価する基本的な道具が金利の二項ツリーです。現在の1期間金利を出発点に、1期後には金利が上昇した状態(u)と低下した状態(d)、2期後にはuu・ud・ddの3つの状態に分かれる木を描きます。各分岐の確率は、無裁定の条件を満たすように設定されたリスク中立確率として扱い、試験では0.5などと与えられることが一般的です。
評価の手順(後ろ向き帰納法)
評価は、株式オプションの二項モデルと同じく満期から現在へ逆算します。まず満期の各ノードでオプションのペイオフを計算し、1期前のノードでは「上昇側の価値×確率+下降側の価値×確率」を求めて、そのノードの1期間金利で割り引きます。これを現在まで繰り返します。
株式の二項モデルとの違い
株式の場合は無リスク金利が一定と仮定されることが多いのに対し、金利モデルでは金利そのものが変動します。そのため、どのノードでどの金利を使って割り引くかを正しく対応させることが、計算の最大のポイントになります。債券オプションの場合は、まずツリー上で債券価格を満期から逆算して求め、そのうえでオプションのペイオフを計算するという2段階の手順になります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| q | 金利が上昇する側へ進むリスク中立確率 |
| Vu、Vd | 1期後の上昇ノード・下降ノードでのオプション価値 |
| r | いま計算しているノードの1期間金利 |
| K | 行使金利(キャップ・レート、フロア・レート) |
具体例で確認
次の金利ツリーで、2期後の金利を対象とする行使金利4.5%のキャップレット(想定元本100、ペイオフは2期後に受け取ると単純化)を評価します。上昇・下降の確率はそれぞれ0.5です。
| 時点 | ノードの1期間金利 | オプションの価値 |
|---|---|---|
| 2期後 | uu 6.0%/ud 4.0%/dd 2.0% | 1.5/0/0 |
| 1期後 | u 5.0%/d 3.0% | 0.7143/0 |
| 現在 | 4.0% | 0.3434 |
- 満期のペイオフ:uuでは100 × (6.0% − 4.5%) = 1.5、ud・ddでは金利が4.5%以下なので0です。
- 1期後の上昇ノード:(0.5 × 1.5 + 0.5 × 0) ÷ 1.05 ≒ 0.7143(このノードの金利5.0%で割り引く)
- 1期後の下降ノード:どちらの先もペイオフが0なので0です。
- 現在:(0.5 × 0.7143 + 0.5 × 0) ÷ 1.04 ≒ 0.3434
上昇ノードでは5.0%、現在は4.0%と、割り引く金利がノードごとに違うことを確認してください。
試験で問われやすいポイント
- 金利ツリーを使い、満期から逆算してオプション価値を求める計算問題が中心です。
- 割引にはそのノードの1期間金利を使うことがポイントで、一律の金利で割り引くミスが典型的な誤りです。
- キャップ(金利上昇で価値が出る)とフロア(金利低下で価値が出る)のペイオフの向きを取り違えないようにしましょう。
- 債券オプションでは、金利が上がると債券価格は下がるため、債券のコール・プットと金利の上下の関係が逆になる点に注意が必要です。
- 問題文で、ペイオフを受け取る時点(満期時か1期後か)がどう設定されているかを必ず確認しましょう。
要点まとめ
- 金利の二項ツリーは、各期に金利が上昇・低下の2通りに分かれる木です。
- オプション価値は満期のペイオフから、確率で加重平均し各ノードの金利で割り引いて逆算します。
- 株式の二項モデルと異なり、割引金利がノードごとに変わります。
- キャップ・フロア・債券オプションで、ペイオフの向きを正しく押さえることが大切です。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
