プライシングとバリュエーションとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- プライシング(価格決定)とは、契約を結ぶ時点で、先渡価格やスワップの固定金利など「契約条件として適正な価格」を決めることです。
- バリュエーション(価値評価)とは、契約を結んだ後、相場の変化によってその契約がいくらの価値を持つようになったかを測ることです。
- 先渡やスワップは、適正にプライシングされていれば契約時点の価値はゼロで、その後の相場変動でプラスやマイナスの価値が生まれます。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「プライシングとバリュエーション」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (1) デリバティブの種類と機能 |
| 協会の学習ポイント | プライシングとバリュエーションとの違いを理解する。 |
プライシングとバリュエーションとは
日常の感覚では「価格」と「価値」はほぼ同じ意味ですが、デリバティブ、とくに先渡・先物やスワップでは、この2つをはっきり区別します。
プライシング:契約条件の「価格」を決める
先渡の先渡価格は、将来の受渡しのときに支払う金額として契約に書き込まれる数字です。プライシングとは、この先渡価格を「どちらにとっても損得のない水準」に決めることです。無裁定条件のもとでは、配当などがない場合の先渡価格はF0=S0×(1+r)Tになります。スワップの場合も、変動金利と交換する固定金利(スワップ・レート)を、契約時の価値がゼロになる水準に決めることがプライシングにあたります。
バリュエーション:契約の「価値」を測る
一度結んだ契約の先渡価格は満期まで変わりません。しかし原資産価格や金利は日々変化するため、同じ満期の先渡を今新たに結ぶなら先渡価格は変わっています。その結果、既存の契約には含み益・含み損が生じます。この契約の価値を測るのがバリュエーションです。時価会計やリスク管理、途中解約の清算金の計算などで必要になります。
オプションとの違い
オプションは、買い手がプレミアムを支払う取引です。プレミアムはオプションの価値そのものなので、契約時点の価値はゼロではなく、プライシングとバリュエーションがほぼ重なります。「契約時の価値がゼロ」というのは、先渡・先物・スワップのように双方が義務を負う取引の特徴です。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| F0 | 契約時に決めた先渡価格 |
| St | 時点tの原資産価格 |
| r | 無リスク金利(年率) |
| T − t | 満期までの残存期間(年) |
| Vt | 時点tにおける先渡契約(買い)の価値。売りの価値は符号が逆 |
具体例で確認
配当のない株式の現在価格が10,000円、金利が年2%で、1年後に受け渡す先渡契約を買ったとします。
- プライシング:先渡価格は10,000 × 1.02 = 10,200円。この価格で契約すれば、契約時点の価値は10,000 − 10,200 ÷ 1.02 = 0円です。
- 半年後のバリュエーション(株価10,500円):V = 10,500 − 10,200 ÷ 1.020.5 ≒ 10,500 − 10,099.50 ≒ +400.50円。買い手に含み益が生じています。
- 半年後のバリュエーション(株価9,800円):V = 9,800 − 10,099.50 ≒ −299.50円。今度は含み損です。
別の見方として、半年後に同じ満期の先渡を新たに結ぶ場合の先渡価格は10,500 × 1.020.5 ≒ 10,604.48円です。既存の契約は10,200円で買えるので、その差額404.48円を満期まで割り引いた404.48 ÷ 1.020.5 ≒ 400.50円が価値になり、上の計算と一致します。
試験で問われやすいポイント
- プライシング=契約時の適正な条件(価格)を決めること、バリュエーション=契約後の価値を測ること、という定義の区別が問われやすいです。
- 先渡・先物・スワップは契約時点の価値がゼロになるように価格が決まる点を押さえましょう。先渡価格そのものがゼロになるわけではない点がひっかけです。
- 途中の価値は「現在の原資産価格 − 先渡価格の現在価値」で求め、残存期間で割り引くことを忘れないようにしましょう。
- 原資産価格が上がれば買い持ちの価値はプラス、売り持ちはマイナスという方向も確認しておきましょう。
要点まとめ
- プライシング=契約時に先渡価格やスワップ・レートなどの条件を決めること
- バリュエーション=契約後、相場変動により生じた契約の価値を測ること
- 先渡・スワップは契約時の価値がゼロ、その後の変動でプラス・マイナスになる
- 先渡の買いの価値=St − F0の現在価値
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
