アメリカン・オプションとヨーロピアン・オプションとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- アメリカン・オプションは満期までいつでも権利行使でき、ヨーロピアン・オプションは満期日にしか行使できません。
- 選択肢が多い分、アメリカンの価格は同じ条件のヨーロピアン以上になります(C ≧ c、P ≧ p)。
- 配当のない株式のアメリカン・コールは早期行使が得にならないのでC = c、一方アメリカン・プットは深いITMで早期行使が有利になることがあります。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「アメリカンとヨーロピアン」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (3) オプション取引の仕組みと評価 |
| 協会の学習ポイント | アメリカン・オプションとヨーロピアン・オプションの価格相違について理解する。 |
アメリカン・オプションとヨーロピアン・オプションとは
2つの違いは権利を行使できるタイミングだけです。アメリカンは「満期日まで好きなときに行使できる」、ヨーロピアンは「満期日にだけ行使できる」オプションです。名前は地域を表すものではなく、どちらのタイプも世界中で取引されています。
アメリカンはヨーロピアン以上の価値を持つ
アメリカンの保有者は、満期まで待ってから行使することもできるので、ヨーロピアンでできることはすべてできます。さらに途中で行使する選択肢も持っているため、価格はヨーロピアンを下回りません。また、アメリカンはいつでも行使できるので、その価格は本源的価値を下回りません。
配当のない株式のアメリカン・コールは早期行使しない
配当のない株式のコールを満期前に行使すると、①行使価格を早く支払うことで金利分を失い、②その後の株価下落に対する保険(プレミアムの時間価値)も失います。行使するより、コールを市場で売るほうが有利です。そのため早期行使の価値はなく、アメリカン・コールの価格はヨーロピアン・コールと等しくなります。ただし、配当がある場合は、配当落ち直前に行使して配当を受け取るほうが有利になることがあります。
アメリカン・プットは早期行使が有利になりうる
プットを行使すると行使価格Kを受け取れます。株価が大きく下がって深いITMになると、今すぐKを受け取って運用したほうが、満期まで待つより有利になる場合があります。株価はゼロより下がらないので、待っても得られる追加の利益は小さいからです。このため、アメリカン・プットは一般にヨーロピアン・プットより価値が高くなります。
整理しておきたいポイント
| 比較項目 | アメリカン | ヨーロピアン |
|---|---|---|
| 行使できる時期 | 満期日までいつでも | 満期日のみ |
| 価格の関係 | C ≧ c、P ≧ p | アメリカン以下 |
| 下限 | 本源的価値を下回らない | 本源的価値を下回ることがある(深いITMのプットなど) |
| 配当なし株式のコール | 早期行使は不利。C = c | アメリカンと同じ価格 |
| プット | 深いITMで早期行使が有利になりうる | プット・コール・パリティが成り立つ |
具体例で確認
株価が10円まで急落した銘柄について、行使価格100円・残存1年のプットを考えます。金利は5%です。
- アメリカン・プットなら、いま行使して90円(100 − 10)を受け取り、運用することができます。
- ヨーロピアン・プットは満期まで行使できません。同じ条件のコールがほぼ無価値とすると、プット・コール・パリティから p ≒ 100 ÷ 1.05 − 10 ≒ 85.24円です。
今すぐ行使できるアメリカンは少なくとも90円の価値があり、ヨーロピアンを上回ります。この差が、早期行使できる権利の価値です。
試験で問われやすいポイント
- C ≧ c、P ≧ pという大小関係と、その理由(行使の選択肢が多い)が基本です。
- 配当のない株式のアメリカン・コールは早期行使が最適にならず、C = cとなる点が頻出です。
- アメリカン・プットは深いITMで早期行使が有利になりうる点と、コールとの違いを整理しておきましょう。
- 配当がある場合は、アメリカン・コールでも配当落ち直前の早期行使が有利になりうる点がひっかけになりやすいです。
- プット・コール・パリティはヨーロピアンで成り立つ関係であり、アメリカンにはそのまま使えません。
要点まとめ
- アメリカンはいつでも、ヨーロピアンは満期日だけ行使できる
- アメリカンの価格はヨーロピアン以上で、本源的価値も下回らない
- 配当のない株式のアメリカン・コールは早期行使せず、ヨーロピアンと同じ価格
- アメリカン・プットは深いITMで早期行使が有利になりうる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
