CAPMとアノマリーとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- CAPMの世界では、投資家の売買を通じて価格が調整され、すべての資産の期待リターンが証券市場線(SML)上に並ぶように市場価格が決まります。
- しかし実際には、小型株効果やバリュー株効果など、ベータだけでは説明できないリターンの差(アノマリー)が観察されています。
- その理由として、CAPMのリスク指標が不十分という見方と、投資家の行動や市場の制約による価格のゆがみという見方があります。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「CAPMと価格形成・アノマリー」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (1) 現代ポートフォリオ理論 |
| 協会の学習ポイント | CAPMと市場価格の形成、アノマリーの存在について理解する。 |
CAPMとアノマリーとは
CAPMは、市場が均衡しているときの期待リターンと価格の決まり方を示すモデルです。一方で、現実の市場には、CAPMだけでは説明しきれないリターンのパターン(アノマリー)が存在することも知られています。ここでは両者の関係を整理します。
CAPMのもとでの価格形成
株式の現在の価格は、将来受け取るキャッシュフロー(配当と売却価格)の期待値を、リスクに見合った要求収益率で割り引いたものと考えられます。CAPMはその要求収益率を「安全利子率+ベータ×市場リスク・プレミアム」として与えます。
ある銘柄の価格が安すぎると、その価格で買った場合の期待リターンはSMLが示す水準より高くなり(SMLより上)、投資家の買いが集まります。買いによって価格が上がると期待リターンは下がり、やがてSML上に戻ります。逆に高すぎる銘柄は売られて価格が下がります。このように、CAPMでは売買を通じた価格調整によって、すべての資産がSML上に並ぶ均衡価格が形成されると考えます。
CAPMで説明しきれないアノマリー
実証研究では、ベータで調整した後でも、時価総額の小さい銘柄(小型株効果)や、PBRが低い割安な銘柄(バリュー株効果)が高いリターンをあげる傾向や、過去に上昇した銘柄がさらに上がる傾向(モメンタム)などが報告されてきました。また、ベータと平均リターンの関係が理論ほど明確でないという結果も知られています。
アノマリーが存在する理由
1つ目の見方は、リスク指標の問題です。CAPMの市場ポートフォリオは観測できず、株価指数で代用するしかありません。また、小型株や割安株は、ベータでは捉えきれない景気悪化時の倒産リスクなどを抱えている可能性があります。この見方では、アノマリーは「未知のリスク」への対価であり、ファーマ=フレンチの3ファクター・モデルのように、規模やバリューをリスク要因(ファクター)として加えることで説明しようとします。
2つ目の見方は、価格のゆがみです。投資家の過剰反応や過小反応などの行動上の偏りや、空売りの制約・取引コストなどによって、価格が理論値からずれた状態が残るという考え方です。
どちらが正しいかは簡単には決められません。市場の効率性を検証するには、何らかの期待リターンのモデル(CAPMなど)を前提にする必要があり、「市場が非効率なのか、モデルが誤っているのか」を区別できないためです。これを結合仮説の問題といいます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
ある株式の1年後の株価と配当の合計の期待値が1,070円、CAPMで求めた期待リターン(要求収益率)が7%とします。
- CAPMのもとでの均衡価格:1,070 ÷ 1.07 = 1,000円
- 現在の市場価格が950円なら、この価格で買ったときの期待リターンは 1,070 ÷ 950 − 1 ≒ 12.6%で、7%を上回ります(SMLより上=割安)。
- 投資家の買いが集まり価格が1,000円に近づくにつれ、期待リターンは7%に近づきます。
- もし小型株などで、このような「割安」状態が長く続くように見えるなら、それはCAPMで捉えきれないリスクへの対価なのか、価格のゆがみなのか、という問題が生じます。
試験で問われやすいポイント
- CAPMのもとでは売買を通じて価格が調整され、すべての資産がSML上に並ぶという価格形成の考え方が問われやすいです。
- 期待リターンがSMLより高い=価格が割安で、買われて価格が上がり期待リターンが下がる、という方向を押さえましょう。
- 代表的なアノマリー(小型株効果・バリュー株効果・モメンタム)がCAPMで説明しきれない現象である点がよく確認されます。
- アノマリーの解釈としてリスクの説明(ファクター)と価格のゆがみ(行動・制約)の2つの見方を区別しましょう。
- 結合仮説の問題や、市場ポートフォリオが観測できないことによるCAPM検証の難しさも問われやすいです。
要点まとめ
- CAPMでは、価格調整によりすべての資産がSML上に並ぶ
- 小型株効果・バリュー株効果などはCAPMで説明しきれないアノマリー
- 解釈にはリスクの見落としと価格のゆがみの2つの見方がある
- 結合仮説の問題のため、どちらかを簡単には決められない
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
