先渡と先物の違いとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- 先渡(フォワード)は相対で条件を自由に決め、損益は満期にまとめて決済されます。相手方の信用リスクが残ります。
- 先物(フューチャーズ)は取引所で標準化され、清算機関が間に入り、毎日の値洗いで損益が証拠金を通じてやり取りされます。
- どちらも「将来の売買価格をいま決める」取引で、金利が一定などの条件のもとでは理論価格は同じになります。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「先渡と先物の違い」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (2) 先物・先渡取引の仕組みと評価 |
| 協会の学習ポイント | 先渡取引、先物取引の仕組みと特徴、相違点(仕組みや価格形成)を理解する。 |
先渡と先物の違いとは
先渡取引と先物取引は、どちらも「将来の決められた日に、決められた価格で原資産を売買する」ことを約束する取引です。経済的な中身はほぼ同じですが、取引の場と決済の仕組みが異なり、それによって信用リスク・流動性・損益の実現タイミングに違いが生まれます。
先渡取引の仕組みと特徴
先渡取引は、銀行と企業などの当事者どうしが相対で契約します。金額・受渡日・受渡方法などを自由に決められるため、ヘッジ対象にぴったり合わせられるのが長所です。為替予約が代表例です。損益は満期に一度に決済され、それまでは原則としてお金のやり取りはありません。そのため、満期に相手方が支払えなくなるカウンターパーティ・リスクが残り、途中で解約・転売することも容易ではありません。
先物取引の仕組みと特徴
先物取引は取引所で行われ、取引単位や限月などが標準化されています。取引が成立すると清算機関が買い手と売り手の相手方となり、参加者は証拠金を差し入れます。建玉は毎日その日の清算価格で評価され、前日からの損益が証拠金に加減されます。これを値洗い(日々の値洗い、マーク・トゥ・マーケット)といいます。損失が膨らんで証拠金が不足すると追加の差入れが必要になり、支払えなければ建玉は強制的に決済されます。この仕組みにより、先物では信用リスクがほぼ排除され、反対売買で満期前に簡単に手じまいできます。
価格形成の違い
先渡価格も先物価格も、無裁定条件から「現物価格 ×(1+金利)」を基本に決まります。金利が一定(確定的)であれば、先渡価格と先物価格は等しくなります。ただし先物は値洗いで途中の資金が出入りするため、金利が変動し、かつ原資産価格と金利の動きに相関がある場合には、両者にわずかな差が生じます。原資産価格と金利が正の相関を持つ場合、値洗いで受け取った利益を高い金利で運用できるため、先物の買いが有利になり、先物価格は先渡価格より高くなる傾向があります。
整理しておきたいポイント
| 比較項目 | 先渡取引 | 先物取引 |
|---|---|---|
| 取引の場 | 相対(店頭) | 取引所 |
| 契約条件 | 自由に設計できる | 標準化されている |
| 損益の決済 | 満期に一括 | 毎日の値洗いで日々清算 |
| 信用リスク | 相手方の信用リスクがある | 清算機関と証拠金でほぼない |
| 満期前の解消 | 難しい | 反対売買で容易 |
| 満期の受渡し | 現物の受渡しが多い | 反対売買や差金決済で終わることが多い |
具体例で確認
原資産を1,000円で買う先渡と先物を、それぞれ1単位契約したとします。その後の清算価格が1日目1,020円、2日目990円、3日目(満期)1,030円だったとします。
| 日 | 先物の値洗い損益 |
|---|---|
| 1日目(1,020円) | 1,020 − 1,000 = +20円を受け取る |
| 2日目(990円) | 990 − 1,020 = −30円を支払う |
| 3日目(1,030円) | 1,030 − 990 = +40円を受け取る |
| 合計 | +20 − 30 + 40 = +30円 |
先渡では、満期に1,030 − 1,000 = +30円をまとめて受け取ります。損益の合計は同じ30円ですが、先物では途中で資金が出入りし、2日目には30円の支払い(証拠金の減少)に対応する必要がありました。これが「損益の実現タイミング」の違いです。
試験で問われやすいポイント
- 先物=取引所・標準化・清算機関・証拠金・日々の値洗い、先渡=相対・自由な条件・満期一括決済という対応が問われやすいです。
- 信用リスクが問題になるのは先渡の方である、という方向を逆にしたひっかけに注意しましょう。
- 値洗いの計算では、前日の清算価格との差を使う点がポイントです。損益の合計は先渡と同じになります。
- 金利が一定なら先物価格=先渡価格、原資産と金利が正の相関なら先物価格の方が高くなる傾向がある点も押さえておきましょう。
要点まとめ
- 先渡は相対取引で条件自由、損益は満期に一括、信用リスクが残る
- 先物は取引所取引で標準化、清算機関と証拠金・日々の値洗いで信用リスクがほぼない
- 損益の合計は同じでも、先物は途中で資金が出入りする
- 金利が一定なら先物価格と先渡価格は等しい
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
