債券のリターン源泉とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- 債券のリターンは、クーポン収入(インカム)と価格変動(キャピタル)の2つが大きな源泉です。
- 価格変動には、満期に向けて価格が額面に近づく時間の経過による変化と、金利の変化による変化があります。
- 複利で考える場合は、受け取ったクーポンを運用して得る再投資収益も加わります。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「債券のリターン源泉」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (2) 金利と債券価格評価 |
| 協会の学習ポイント | 債券のリターン源泉(クーポンと価格変動)について理解する。 |
債券のリターン源泉とは
債券に投資して得られる収益は、「利息をもらう」ことと「価格が動く」ことの組合せです。満期まで保有する場合と途中で売却する場合で、どの源泉がどれだけ効くかが変わります。
クーポン収入(インカム・ゲイン)
クーポンは額面×クーポンレートで決まり、保有している限り毎期受け取れます。価格の変動に関係なく安定して得られる収益で、債券のリターンの土台です。
価格変動(キャピタル・ゲイン/ロス)
満期まで保有すれば、購入価格と額面の差が償還差損益になります。途中で売却すれば、購入価格と売却価格の差が売却損益です。価格の変化は、さらに次の2つに分けて考えられます。
- 時間の経過による変化:金利が変わらなくても、額面より安く買った債券は満期に向けて価格が上がり、高く買った債券は下がって、やがて額面に収束します。右上がりの利回り曲線のもとでは、残存期間が短くなるにつれて適用される利回りが下がり、価格が上がる効果(ロールダウン)も生じます。
- 金利の変化による変化:市場金利が上がれば価格は下がり、下がれば価格は上がります。これが金利変動リスクの源です。
再投資収益
途中で受け取ったクーポンを運用すれば、その利息も収益になります。複利の利回りは、この再投資収益を含めて計算されます。再投資できる金利が高いほど、再投資収益は大きくなります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| C | 年間クーポン |
| PB | 購入価格 |
| PS | 売却価格(満期まで保有なら額面) |
| t | 保有年数 |
具体例で確認
クーポンレート2%の債券を98円で購入しました。
ケース1:1年後に99円で売却
- クーポン収入:2円 → 2 ÷ 98 ≒ 2.04%
- 売却益:99 − 98 = 1円 → 1 ÷ 98 ≒ 1.02%
- 所有期間利回り:(2 + 1) ÷ 98 ≒ 3.06%
ケース2:金利が上昇し、2年後に97円で売却
- 1年あたりの売却損:(97 − 98) ÷ 2 = −0.5円
- 所有期間利回り:(2 − 0.5) ÷ 98 ≒ 1.53%
クーポン収入は同じでも、価格変動によってリターンが大きく変わることがわかります。
試験で問われやすいポイント
- リターンをクーポン収入・価格変動(償還差損益・売却損益)・再投資収益に分解して考えられるかが問われやすいです。
- 所有期間利回りの計算では、売却損益を保有年数で割り、購入価格で割るという手順を押さえましょう。
- 金利が変わらなくても、アンダーパーの債券は時間の経過とともに価格が上がる(額面に近づく)点がひっかけになりやすいです。
- 金利上昇は価格を下げる一方で、再投資収益を増やすという逆方向の効果に注意しましょう。
要点まとめ
- 債券のリターン=クーポン収入+価格変動(+再投資収益)
- 価格変動は、時間の経過による変化と金利変化による変化に分けられる
- 所有期間利回り = {C + (売却価格 − 購入価格) ÷ 年数} ÷ 購入価格
- 金利上昇は価格下落と再投資収益の増加を同時にもたらす
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
