スポットレートとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- スポットレートは、今からt年後までの割引債の利回りで、期間ごとに異なる割引率です。
- 利付債の価格は、各時点のキャッシュフローをその時点に対応するスポットレートで割り引いて合計することで求められます。
- すべての期間に同じ利回りを使う方法より理論的に一貫しており、債券の割高・割安の判断の基礎になります。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「スポットレートによる価格算出」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (2) 金利と債券価格評価 |
| 協会の学習ポイント | スポットレートによる債券価格の算出方法を理解する。 |
スポットレートとは
最終利回りで債券価格を求める方法では、1年後のクーポンにも5年後の元本にも同じ割引率を使います。しかし実際の市場では、1年のお金を借りる金利と5年のお金を借りる金利は通常異なります。そこで、期間ごとの金利で割り引くのがスポットレートによる価格算出です。
スポットレート=割引債の利回り
t年のスポットレートstは、「今からt年後に1回だけキャッシュフローがある債券」、つまりt年の割引債の複利利回りにあたります。利付債は、クーポンと元本という複数の割引債を束ねたものと見ることができるので、それぞれを対応するスポットレートで評価して足し合わせれば、利付債全体の価格になります。
ディスカウント・ファクター
1 ÷ (1+st)t をディスカウント・ファクター(割引係数)といい、「t年後の1円の現在価値」を表します。ディスカウント・ファクターがわかれば、キャッシュフローに掛けて合計するだけで価格が求められます。
最終利回りとの関係
スポットレートで求めた価格を、最終利回りで表し直すこともできます。その最終利回りは、各スポットレートをキャッシュフローの大きさで重み付けしたような値になり、利付債では元本を受け取る最終年のスポットレートに近い値になります。右上がりのスポットレートのもとでは、利付債の最終利回りは同じ満期のスポットレートより少し低くなります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| P | 債券価格 |
| CFt | t年後のキャッシュフロー(クーポン、最終年はクーポン+額面) |
| st | t年のスポットレート(年率・複利) |
| dt | t年のディスカウント・ファクター |
具体例で確認
1年・2年・3年のスポットレートがそれぞれ1.0%、1.5%、2.0%のとき、クーポンレート3%(年1回払い)、残存3年の債券の価格を求めます。
- 1年後のクーポン:3 ÷ 1.01 ≒ 2.970円
- 2年後のクーポン:3 ÷ 1.0152 ≒ 2.912円
- 3年後のクーポン+元本:103 ÷ 1.023 ≒ 97.059円
- 合計:2.970 + 2.912 + 97.059 ≒ 102.94円
この価格102.94円に対応する複利最終利回りは約1.98%で、3年のスポットレート(2.0%)をわずかに下回ります。途中のクーポンが、より低い1年・2年のスポットレートで割り引かれているためです。
試験で問われやすいポイント
- 各キャッシュフローを対応する年数のスポットレートで割り引く計算が問われやすいです。すべてを同じレートで割り引かないよう注意しましょう。
- スポットレート=割引債の利回りという定義を押さえましょう。
- ディスカウント・ファクターが与えられた場合は、キャッシュフローに掛けて合計するだけでよい点も確認しておきましょう。
- 右上がりのスポットレートのもとで、利付債の最終利回りは同じ満期のスポットレートより低くなる、といった関係が問われることがあります。
- スポットレートで求めた理論価格と市場価格を比べて、割高・割安を判断させる問題にもつながります。
要点まとめ
- スポットレート=期間ごとの割引債の利回り
- 債券価格=各キャッシュフローを対応するスポットレートで割り引いた合計
- ディスカウント・ファクター = 1 ÷ (1+st)t
- 利付債の最終利回りは、スポットレートを合成したような値になる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
