ひとことで言うと

  • 貸借対照表(B/S)は、決算日の資産・負債・純資産を示す計算書で、資産と負債はそれぞれ流動と固定に分けて表示します。
  • 流動・固定の区分は、まず正常営業循環基準、それに当てはまらないものに1年基準を適用します。
  • 日本では、流動性の高い項目から並べる流動性配列法が原則です。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「貸借対照表の表示区分」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (2) 主要財務諸表と企業活動
協会の学習ポイント 貸借対照表の表示区分を理解する。

貸借対照表の表示区分とは

貸借対照表は、決算日時点で企業がどのような資産を持ち、その資金をどのように調達したか(負債と純資産)を示す財務諸表です。左側(借方)に資産、右側(貸方)に負債と純資産を記載し、資産合計 = 負債合計 + 純資産合計 が成り立ちます。

表示区分の全体像

  • 資産の部:流動資産、固定資産(有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産)、繰延資産
  • 負債の部:流動負債、固定負債
  • 純資産の部:株主資本、評価・換算差額等(連結ではその他の包括利益累計額)、新株予約権など

流動と固定を分ける2つの基準

正常営業循環基準は、「現金 → 仕入 → 製品・商品 → 販売 → 売上債権 → 現金」という通常の営業サイクルの中にある資産・負債を流動項目とする基準です。売掛金、受取手形、棚卸資産、買掛金、支払手形などは、回収や支払いまで1年を超える場合でも流動項目になります。

営業サイクルに入らない項目(貸付金、借入金、預金など)には1年基準(ワン・イヤー・ルール)を適用し、決算日の翌日から1年以内に回収・支払期限が来るものを流動、1年を超えるものを固定とします。このため、長期借入金のうち1年以内に返済するものは流動負債(1年内返済予定の長期借入金)に振り替えて表示します。

配列法と主な注意点

日本では、流動資産・流動負債を先に並べる流動性配列法が原則で、電力会社など固定資産の比重が大きい業種では固定資産を先に並べる固定性配列法も認められています。また、税効果会計で生じる繰延税金資産は投資その他の資産に、繰延税金負債は固定負債に表示します。

整理しておきたいポイント

項目 適用される基準 表示区分
売掛金(回収まで1年超でも) 正常営業循環基準 流動資産
熟成期間の長い商品などの棚卸資産 正常営業循環基準 流動資産
貸付金(返済期限2年後) 1年基準 固定資産(投資その他の資産)
長期借入金のうち1年以内返済分 1年基準 流動負債
定期預金(満期が1年超) 1年基準 固定資産(投資その他の資産)
繰延税金資産/繰延税金負債 基準による区分はしない 投資その他の資産/固定負債

具体例で確認

ある製造業の会社が、決算日に次の項目を持っていたとします。

  • 得意先への売掛金(回収は14か月後):営業取引から生じたものなので、正常営業循環基準により流動資産です。
  • 取引先への貸付金(返済は18か月後):営業サイクル外なので1年基準により固定資産(投資その他の資産)です。
  • 銀行からの長期借入金500のうち、100が決算日から1年以内に返済予定:100を流動負債、400を固定負債に分けて表示します。
  • 工場の建物と機械:有形固定資産、ソフトウェア:無形固定資産です。

このように、同じ「1年超」の項目でも、営業取引から生じたかどうかで表示区分が変わります。流動比率などの安全性分析は流動・固定の区分に依存するため、区分の考え方を理解しておくことが分析の正確さにもつながります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「貸借対照表の表示区分と純資産・株主資本の構成要素を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 正常営業循環基準を先に適用し、営業循環外の項目に1年基準を適用するという順序。
  • 回収まで1年を超える売掛金や、長期間保有する棚卸資産でも流動資産になること。
  • 長期借入金や長期貸付金のうち1年以内に期限が到来する部分は流動項目へ振り替えること。
  • 固定資産の3区分(有形・無形・投資その他の資産)と、繰延資産の位置づけ。
  • 流動性配列法が原則で、固定性配列法は一部業種で認められること。

要点まとめ

  • 貸借対照表は資産 = 負債 + 純資産で、資産・負債を流動と固定に分けて表示する。
  • 営業循環内の項目は期間にかかわらず流動、それ以外は1年基準で区分する。
  • 固定資産は有形・無形・投資その他の資産に分かれる。
  • 日本では流動性配列法が原則。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。