CFA®︎ Level 3「Portfolio Construction(ポートフォリオ構築)」で使われる重要用語を、学習単元(Learning Module)ごとに英語・日本語訳・意味の3点セットで整理しました。全7単元・61語を収録しています。英語の協会テキストを読むときの辞書代わりにお使いください。
単元(LM)一覧
Portfolio Construction の重要用語(LM別)
LM1 Overview of Equity Portfolio Management(株式ポートフォリオ運用の概要)
Securities Lending
貸株(セキュリティーズ・レンディング)
保有株式を一定期間ほかの市場参加者に貸し出し、貸株料や受け入れた担保の運用益を得る取引。株式ポートフォリオの追加収益源となる一方、相手方リスクや担保運用のリスクを伴う。
Dividend Capture
配当取り(ディビデンド・キャプチャー)
権利落ち日の前に株式を買い、配当を受け取る権利を得た後に売却することで配当収入を積み上げる取引戦略。株式ポートフォリオの収益源の一つ。
Cash-Secured Put Writing
キャッシュ担保付きプット売り
行使された場合の購入代金を現金で確保したうえでプット・オプションを売り、プレミアムを受け取る戦略。カバード・コールと並ぶオプションを使ったインカム戦略である。
Shareholder Engagement
株主エンゲージメント
株主が議決権行使や経営陣との対話を通じて企業に関与するプロセス。ガバナンスや業績の改善が期待される一方、費用・時間や利益相反などの欠点もある。
Free-Rider Problem
フリーライダー問題
一部の株主がコストを負担して行ったエンゲージメントの成果を、関与しなかった株主も同様に享受できること。関与の誘因を弱める要因となる。
Activist Investor
アクティビスト(物言う株主)
企業の株式を取得し、経営・戦略・資本政策などの変更を働きかけることで株価の上昇による利益を狙う投資家。
Proxy Voting
議決権(代理)行使
株主総会での議案に対し、株主が自ら、または代理人を通じて議決権を行使すること。エンゲージメントの中で最も影響力の大きい手段の一つとされる。
Equal-Weighted Index
等金額加重指数
すべての構成銘柄に同じウエイトを与える指数。時価総額加重と比べて小型株寄りの特性を持ち、リバランスの頻度が高いため運用コストが増えやすい。
LM2 Overview of Fixed-Income Portfolio Management(債券ポートフォリオ運用の概要)
Liability-Based Mandate
負債ベースのマンデート
将来の負債の支払いに資産を合わせることを目的とした債券運用の委託形態。キャッシュフロー・マッチングとデュレーション・マッチングが主な手法。
Total Return Mandate
トータル・リターン型マンデート
ベンチマークへの追随または超過を目指す債券運用の委託形態。目標とするアクティブ・リスクの大きさにより、純粋インデックス、エンハンスト・インデックス、アクティブに分かれる。
Enhanced Indexing
エンハンスト・インデックス
ベンチマークの主要なリスク特性をおおむね維持しながら、小さな乖離を認めて手数料・コスト控除後でベンチマークをわずかに上回ることを狙う運用。
Spread Duration
スプレッド・デュレーション
クレジット・スプレッドが変化したときの債券価格の変化率を示す感応度。国債利回りの変化に対する感応度とは区別して信用リスクの管理に用いる。
Duration Times Spread (DTS)
DTS(デュレーション・タイムズ・スプレッド)
スプレッド・デュレーション×スプレッド水準で求める信用リスクの指標。スプレッドの変化幅は水準に比例しやすいという性質を反映している。
Rolldown Return
ロールダウン・リターン
イールドカーブの形状が変わらないまま時間の経過で残存期間が短くなり、債券の利回りが変化することで生じる価格変化による収益。利回り収入と合わせてローリング・イールドを構成する。
Repurchase Agreement (Repo)
レポ取引(現先取引)
債券を売却し、後日あらかじめ決めた価格で買い戻すことを約する取引。実質的に債券を担保にした短期の資金調達で、債券ポートフォリオのレバレッジ手段となる。
Liability-Driven Investing (LDI)
負債主導型投資(LDI)
将来の負債の支払いを確実にすることを主目的に資産を運用する手法。資産と負債の金利感応度を合わせ、積立状況の変動を抑える。
Cash Flow Matching
キャッシュフロー・マッチング
債券のクーポンと償還金を負債の支払時期と金額に合わせて組む手法。再投資リスクや金利リスクをほぼ排除できるが、コストが高く柔軟性に欠ける。
Laddered Portfolio
ラダー型ポートフォリオ
元本を短期から長期まで複数の満期に均等に配分した債券ポートフォリオ。定期的に満期が到来して流動性を生み、再投資の時期も分散される。
LM3 Asset Allocation to Alternative Investments(オルタナティブ投資へのアロケーション)
Risk-Based Approach (Risk Factor Approach)
リスク・ベース・アプローチ
資産を資産クラス名ではなく株式、デュレーション、インフレ、クレジットなど共通のリスク・ファクターへのエクスポージャーで捉える方法。資産間のリスクの重複を把握しやすい。
Lockup Period
ロックアップ期間
ファンドへの投資後、一定期間解約が認められない期間。オルタナティブ投資の流動性を制約する主要な要因の一つ。
Unsmoothing
アンスムージング(平滑化の補正)
鑑定評価などで平滑化されたリターン系列を補正し、実際に近いボラティリティや相関を推定する処理。平均分散最適化にオルタナティブを組み込む際に用いる。
Capital Call
キャピタル・コール
プライベート・ファンドの運用者が、投資先の実行などに合わせて投資家に約束済み資金(コミットメント)の払込みを求めること。時期と金額は事前に確定しない。
Unfunded Commitment
未払込コミットメント
プライベート・ファンドへの出資約束額のうち、まだ払込みを求められていない部分。将来のキャピタル・コールに備えた流動性の確保が必要となる。
Overcommitment
オーバー・コミットメント
分配金の再投資などを見込み、目標配分額を上回る金額をプライベート・ファンドにコミットすること。目標配分の達成を早めるが、資金不足のリスクを伴う。
Commitment Pacing
コミットメント・ペース計画
目標とするプライベート資産の配分を実現・維持するため、年ごとの新規コミットメント額を計画的に決めること。払込みと分配の予測に基づいて行う。
Style Drift
スタイル・ドリフト
運用会社の実際の運用内容が、当初表明した戦略やスタイルから徐々に逸れていくこと。オルタナティブ投資プログラムのモニタリングで確認すべき項目の一つ。
LM4 An Overview of Private Wealth Management(プライベート・ウェルス・マネジメントの概要)
Net Worth
純資産
個人が保有するすべての資産の価値から負債を差し引いた額。税引後所得の蓄積や相続などの世代間の資産移転によって形成される。
Human Capital
人的資本
個人が将来得る労働所得の現在価値。若いうちに大きく年齢とともに減少し、その性質(債券的か株式的か)が金融資本の配分に影響する。
Financial Capital
金融資本
個人が保有する金融資産と非金融資産(個人資産・投資資産)の総称。ライフサイクルが進むにつれ、貯蓄を通じて人的資本が金融資本に転換されていく。
Economic Net Worth
経済的純資産
金融資本に人的資本や年金受給権などを加えた拡張バランスシート上の資産から負債を差し引いた額。個人の富の全体像を表す。
Ability to Bear Risk
リスク負担能力
資産規模、所得の安定性、投資期間、負債の状況などから客観的に判断される、損失を受け入れられる余力。心理的なリスク負担意思とは区別される。
Willingness to Bear Risk
リスク負担意思
損失や変動を受け入れようとする投資家の心理的な姿勢。リスク負担能力と食い違う場合は、一般に低い方を基準にリスク許容度を判断する。
Wealth Transfer Taxes
資産移転税
相続や贈与によって資産が他者に移転する際に課される税。所得税、キャピタル・ゲイン税、富裕税などと並び、個人の実質的な税引後リターンに影響する。
Gini Coefficient
ジニ係数
所得や富の分配の不平等度を0から1の値で示す指標。0は完全に平等、1に近いほど一部に集中していることを表す。
LM5 Portfolio Management for Institutional Investors(機関投資家のポートフォリオ運用)
Principal–Agent Problem
プリンシパル・エージェント問題
受益者(プリンシパル)のために行動すべき運用担当者や理事(エージェント)が、自らの利益を優先するなど両者の利害が一致しないことから生じる問題。
Norway Model
ノルウェー・モデル
上場株式・債券など伝統的資産を中心に、ベンチマークに近いパッシブ寄りの低コスト運用を行う機関投資家の運用モデル。
Canada Model
カナダ・モデル
参照ポートフォリオを基準に、リスク・ファクターに基づく配分と内部運用の比率の高さを特徴とする機関投資家の運用モデル。
Defined Benefit (DB) Plan
確定給付年金
スポンサー企業が将来の給付額を約束する年金制度。運用成果にかかわらず給付を支払う義務があるため、投資リスクは主にスポンサーが負う。
Defined Contribution (DC) Plan
確定拠出年金
拠出額だけが定められ、将来の給付額は運用成果で決まる年金制度。投資リスクは加入者自身が負う。
Vesting
受給権の確定(ベスティング)
一定の勤続期間などを満たすことで、年金給付を受ける権利が従業員に確定すること。DB年金の負債の大きさを左右する要因の一つ。
Sovereign Wealth Fund (SWF)
ソブリン・ウェルス・ファンド
政府が所有する投資ファンド。目的により予算安定化、開発、貯蓄(世代間)、準備金運用、年金準備などのタイプに分かれ、投資期間と流動性ニーズが大きく異なる。
Spending Rule
支出ルール
大学基金や財団が毎年どれだけ支出するかを定めるルール。過去の資産額の移動平均に一定率を掛ける方式などがあり、支出の安定化に役立つ。
Intergenerational Equity
世代間の公平
現在の受益者への支出と、将来の受益者のための長期的な購買力の維持を両立させるという考え方。大学基金や財団の運用目標の基礎となる。
Duration Gap
デュレーション・ギャップ
資産と負債のデュレーションの差。銀行などで金利変化が自己資本の価値に与える影響の大きさと方向を示し、金利リスク管理に用いる。
LM6 Trading Costs and Electronic Markets(取引コストと電子市場)
Explicit Trading Costs
明示的取引コスト
売買手数料、取引税、印紙税、取引所手数料など、取引に伴って直接支払い金額が確認できるコスト。
Implicit Trading Costs
暗黙的取引コスト
ビッド・アスク・スプレッド、マーケット・インパクト、遅延コスト、未約定の機会費用など、価格への影響として現れるコスト。直接観測できず推定が必要となる。
Effective Spread
実効スプレッド
約定価格と取引直前の仲値との差を2倍したもので、1回の取引で実際に負担したスプレッドを表す。気配スプレッドより小さければ価格改善があったことを示す。
Volume-Weighted Average Price (VWAP)
出来高加重平均価格(VWAP)
一定期間の約定価格を出来高で加重平均した価格。自らの約定の平均価格と比べて取引コストを推定するが、マーケット・インパクトを過小評価しやすい。
Implementation Shortfall
インプリメンテーション・ショートフォール
投資判断時点の価格で全量を売買できたと仮定したペーパー・ポートフォリオと、実際のポートフォリオの成果の差。明示的・暗黙的コストをすべて捉える。
Market Fragmentation
市場の分断化
同じ銘柄が複数の取引所や代替取引システム、ダークプールなどで取引され、流動性が分散している状態。市場を横断して注文を執行する技術が必要になる。
Latency
レイテンシー
ある事象が起きてから、それに応じて取引などの行動を取るまでの経過時間。低レイテンシーの取引者は他者より早く情報に反応できる。
Front Running
フロント・ランニング
顧客など他者の注文を事前に察知し、その注文による価格変動から利益を得るために先回りして行う取引。
Spoofing
見せ玉(スプーフィング)
約定させる意図のない注文を出して需給を偽装し、他の参加者を誘導したうえで注文を取り消す相場操縦の手口。
Circuit Breaker
サーキット・ブレーカー
価格が短時間に一定幅を超えて変動した場合に、取引を一時停止する仕組み。暴走アルゴリズムや誤発注などによる市場の混乱を抑える規制上の対策。
LM7 Case Study in Portfolio Management: Institutional (SWF)(ケーススタディ:機関投資家(SWF))
Physical Climate Risk
気候変動の物理的リスク
異常気象や海面上昇など、気候変動による物理的な影響で資産が毀損したり価値が低下したりするリスク。
Transition Risk
移行リスク
低炭素経済への移行に伴う規制・技術・需要の変化によって、資産や事業の価値が損なわれるリスク。
Stranded Asset
座礁資産
規制や市場環境の変化により、耐用期間が終わる前に経済的価値を失ったり、早期の減損を迫られたりする資産。化石燃料関連資産が代表例。
Enterprise Risk Management (ERM)
全社的リスク管理(ERM)
組織全体の財務・非財務のリスクを統合的に特定・測定・管理する仕組み。リスク選好の明確化、独立したリスク管理機能、取締役会による監督が要となる。
Risk Appetite
リスク選好
組織が目標を達成するために取る意思のあるリスクの種類と量。ERMの出発点として明文化され、投資方針やリスク限度の基準となる。
Three Lines of Defense
3つの防衛線
リスクを取る事業部門、独立したリスク管理・コンプライアンス機能、内部監査の3層で責任を分担するリスク管理の組織モデル。
Co-Investment
共同投資
ファンドを通じた投資と並行して、または他の投資家とともに、特定の案件に直接出資すること。長期の直接投資でリスクを分担し、手数料を抑える手段となる。
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