証券アナリスト(CMA)2次試験の勉強法を、2027年6月の受験を目指す方に向けてまとめました。協会から届くテキストをどの順番で、いつまでに読むか、2月以降に何をするか、記述式の答案をどう書くか、過去問をどう使うかまで、配本スケジュールに沿って具体的に解説します。

この記事の結論

  • 2次は「知っている」ではなく「知識を使って書ける」ことが問われる記述式の試験。1次と同じ読むだけの勉強から切り替える
  • スケジュールは3段階。8月〜1月は配本に合わせたインプット期、2〜4月は分野横断の総復習期、5月〜6月上旬は過去問で答案を書く練習
  • 合否は4科目の総合点で決まる相対評価。ただし職業倫理・行為基準には足切りがあるので、早めに一周して最後に仕上げる

2次試験の制度・科目・勉強法は、動画でも解説しています(約24分)。

勉強を始める前に押さえたい2次試験の特徴

勉強法を考える前に、試験の仕組みのうち学習計画に直結する点だけ確認しておきましょう。制度の全体像は2次試験の概要で詳しく解説しています。

実施回数 年1回(例年6月上旬の日曜日)。2027年の日程は2026年10月末ごろに協会が公表予定
出題形式 筆記の記述式。計算の過程を書かせる問題と、理由や考え方を説明させる問題が中心
試験時間と配点 午前3時間・午後3時間の計6時間で360点満点。午前・午後の両方を受けないと採点されない
合否の決まり方 上位一定割合の受験者の平均得点を基準にした相対評価。4科目の総合点で判定
足切り 職業倫理・行為基準の得点が一定水準に届かないと、総得点にかかわらず不合格
教材 協会の2次レベル講座のテキスト。8月・10月・12月・1月の4回に分けて届く

勉強法に一番効いてくるのは、最後の「テキストが4回に分けて届く」点です。全部そろってから始めるのではなく、届いた順に読み進めるのが2次の基本の進め方になります。

1次と何を変えるか:「読んでわかる」から「書ける」へ

1次試験はマーク式で、正しい選択肢を選べれば得点できました。2次試験は記述式なので、同じ知識でも問われ方が変わります。

1次試験 2次試験
選択肢から正解を選ぶ 答えを自分で導き、過程を書く
公式を知っていれば解ける どの公式を使うかを自分で判断し、前提も書く
用語の意味がわかればよい 用語や考え方を自分の言葉で説明する
科目ごとに独立して合否判定 4科目の総合点で合否判定(職業倫理は足切りあり)

つまり2次の勉強では、テキストを読んで「わかった」と感じた段階で止めず、何も見ずに紙に書いて再現できるかまで確かめることが大切です。記述式では、最終的な数値が違っても途中の式や考え方が合っていれば部分点が入ることがあります。書く練習をしてきたかどうかが、そのまま点差になります。

教材は「テキスト・学習ポイント・過去問」+解説動画

① 協会の講座テキスト

2次試験の受験資格は、協会の2次レベル講座を受講していることです。講座のテキストがそのまま試験の土台になるので、市販の参考書を先に探すより、届いたテキストを読み切ることを最優先にしましょう。各章の例題・練習問題は、読むだけでなく手を動かして解くのが前提です。

② 「主要学習事項と学習ポイント」

協会が公表している「CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」は、出題範囲の公式な一覧です。2次の学習ポイントは全370項目あります。テキストを読むときは、いま読んでいる箇所がどの学習ポイントにあたるかを意識してください。各項目の意味は用語解説の目次(2次タブ)から確認できます。

試験科目 学習ポイントの数
証券分析とポートフォリオ・マネジメント 209項目(株式39・債券38・デリバティブ32・ポートフォリオ・マネジメント100)
コーポレート・ファイナンスと企業分析 76項目(財務分析28・コーポレート・ファイナンス48)
市場と経済の分析 77項目(経済44・数量分析と確率・統計33)
職業倫理・行為基準 8項目

出所:日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」から集計

③ 過去問と解答例

2次試験は、受講者マイページで直近5回分の試験問題と解答例を閲覧できます。直近3回分は冊子でも10月に届きます。使い方は後ほど「過去問の使い方」で説明します。

④ 解説動画

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、2次の学習ポイントに沿った論点解説を毎日配信しています。現在は株式分析債券分析を公開中で、ほかの分野も順次追加していきます。テキストで引っかかった論点を動画で確認する、という使い方がおすすめです。

2次テキストの配本スケジュール(2026年度)

2026年度講座のテキストは、次の順で届きます。学習の順番はこの表がそのまま基準になります。

配本月 証券分析とPM コーポレートと企業分析 市場と経済 職業倫理
8月 第1回 株式分析 財務分析 第1回・第2回 経済 第1回(マクロ経済・金融市場と財政) 実務ハンドブック
10月 第2回 債券分析
第3回 デリバティブ分析
財務分析 第3回 経済 第2回(ミクロ経済)
数量分析と確率・統計
12月 第4回・第5回 ポートフォリオ・マネジメント コーポレート・ファイナンス 第1回 経済 第3回(国際貿易と国際金融)
経済 第4回(計量経済分析と資本市場の予測)
1月 第6回 オルタナティブ投資 コーポレート・ファイナンス 第2回

出所:日本証券アナリスト協会「2026年度 証券アナリスト(CMA)講座 第2次レベル配本スケジュール」(2026年5月現在)。過去3回分の試験問題・解答例の冊子は10月に届きます。

見てのとおり、どの配本にも複数の科目が入っています。配本に合わせて読んでいけば、自然と4科目を並行して進める形になります。反対に、コーポレート・ファイナンスは12月と1月、ポートフォリオ・マネジメントの後半は12月以降に届くため、年明けは読む量が増えます。秋のうちに前倒しで進めておくと、年明けが楽になります。

学習スケジュール(2027年6月受験の例)

2027年6月の試験から逆算して、次の3段階で進めます。

時期 やること
第1期 インプット期
8月〜1月
届いたテキストを配本順に読み、例題・練習問題を自分で解く
第2期 総復習期
2月〜4月
分野をまたいで2周目。公式と論点を「白紙から書ける」状態にする
第3期 過去問期
5月〜6月上旬
過去問を本番と同じ時間で解き、記述答案を書く練習を重ねる

第1期 インプット期(8月〜1月):配本に合わせて1周する

目標は、次の配本が届くまでに、前の配本分を1周し終えることです。これを守るだけで、1月末にはほぼ全範囲を1周できます。

いつまでに 1周し終えるテキスト
10月末 8月配本分:株式分析、財務分析 第1回・第2回、マクロ経済・金融市場と財政、職業倫理の実務ハンドブック
12月末 10月配本分:債券分析、デリバティブ分析、財務分析 第3回、ミクロ経済、数量分析と確率・統計
1月末 12月配本分:ポートフォリオ・マネジメント 第4回・第5回、コーポレート・ファイナンス 第1回、国際貿易と国際金融、計量経済分析
2月前半 1月配本分:オルタナティブ投資、コーポレート・ファイナンス 第2回

この時期のポイントは3つです。

  • 例題・練習問題は必ず手で解く。読んで理解したつもりでも、式を自分で書くと手が止まる箇所が見つかります。そこが本番で点を落とす箇所です
  • 職業倫理は8月配本のうちに一度読んでおく。足切りがある分野なので、最後に詰め込むのは危険です。まず全体を一周し、仕上げは第2期で行います
  • 1次の知識があやしい箇所は、その場で戻る。2次は1次の応用です。デュレーションやCAPMの基本があいまいなまま進むと、2次の応用論点が理解できません。1次の内容は用語解説の目次(1次タブ)から確認できます

必要な学習時間は、仕事の内容や1次の理解度によって人それぞれです。時間の目安にとらわれるより、上の表の期限を守ることを目標にしてください。9月以降に講座を申し込んだ方も、まずは8月配本分を10月の配本までに読み終えれば十分追いつけます。

第2期 総復習期(2月〜4月):分野をまたいで2周目

全範囲を1周したら、2周目は分野のつながりを意識しながら復習します。2次試験は1つの大問のなかで複数の分野の知識を組み合わせて問うこともあるので、分野ごとの知識を横につなげておくことが大切です。

  • 公式と論点を白紙から書けるようにする。テキストの例題を、解答を見ずにもう一度解きます。間違えた問題は「間違いノート」にまとめておくと、第3期の見直しに使えます
  • 学習ポイントを1項目ずつ説明してみる。370項目のうち、自分の言葉で説明できないものに印をつけ、テキストに戻ります
  • 分野のつながりを整理する。たとえば企業価値の評価は株式分析とコーポレート・ファイナンスの両方で学びます。回帰分析などの数量分析は、証券分析の計算の土台になっています
  • 職業倫理を仕上げる。実務ハンドブックのケースを読み、「どの行為基準に照らして、なぜ問題になるのか」を説明できるようにします

なお、受験の申込は例年3月中旬〜4月中旬です(2026年試験は3月15日〜4月14日)。この時期に申込を忘れないようにしましょう。

第3期 過去問期(5月〜6月上旬):時間を計って答案を書く

最後の1か月あまりは、過去問を使って本番と同じ形で答案を書く練習をします。

  • 午前3時間・午後3時間を時間どおりに解く。6時間の試験は体力勝負でもあります。一度は午前と午後を同じ日に通して解いておきましょう
  • 解答例と見比べて、足りなかった部分を書き出す。答えの数値だけでなく、途中の式や説明の書き方も比べます
  • 直前の1週間は新しい教材に手を出さない。間違いノートと公式の見直し、職業倫理の最終確認に絞ります

科目別の勉強法

証券分析とポートフォリオ・マネジメント

学習ポイントの半分以上(209項目)を占める、2次試験の中心となる科目です。テキストは8月・10月・12月・1月のすべての配本に分かれて届くので、1年を通して触れ続けることになります。

分野 勉強のポイント
株式分析 配当割引モデル、残余利益モデル、ROEの分解など。計算の答えだけでなく、前提と途中式まで書けるようにする
債券分析 イールドカーブ、デュレーションとコンベクシティ、信用リスク。ポートフォリオ戦略の説明問題にも備える
デリバティブ分析 オプションの評価、先物・スワップを使ったヘッジ。ペイオフ図を自分で描きながら理解する
ポートフォリオ・マネジメント 学習ポイントが100項目と最も多い分野。資産配分、リスク管理、パフォーマンス評価、行動ファイナンスまで幅広い

ポートフォリオ・マネジメントは第4回〜第6回の3冊が12月以降に届きます。量が多いので、届いたらすぐに読み始めましょう。

コーポレート・ファイナンスと企業分析

財務分析は8月と10月、コーポレート・ファイナンスは12月と1月に届きます。財務分析では会計処理の理解と財務諸表の分析、コーポレート・ファイナンスでは資本コスト、投資の意思決定、企業価値の評価などを学びます。「数値を計算し、その意味を説明する」形の問題と相性がよいので、計算結果に一言コメントを添える練習をしておくと得点につながります。

市場と経済の分析

経済(マクロ・ミクロ・国際・計量)と数量分析と確率・統計で構成されます。経済は経済情勢と結びつけて問われることもあり、基本の考え方を自分の言葉で説明できるかがポイントです。数量分析は10月に届きます。回帰分析や確率・統計は証券分析の計算にも使うので、早めに固めておくとほかの科目の理解も進みます。

職業倫理・行為基準

学習ポイントは8項目と少ないものの、足切りがあるため、合否を左右する科目です。配点は40点台半ば(協会のスタディ・ガイドでは44点前後)です。ここで差をつけるというより、確実に基準を超えるために仕上げる科目と考えてください。8月配本の実務ハンドブックで一周し、第2期でケースへの当てはめを繰り返し、第3期の過去問で最終確認します。

記述式の答案を書くときの5つのコツ

コツ 内容
結論から書く 先に結論(答えや判断)を書き、次に理由や計算を書く。採点者に伝わりやすい
計算過程を残す 使った式と前提を書く。最終的な数値が違っても部分点が入ることがある
空欄を作らない 完全に解けなくても、関連する知識や途中までの計算を書けば得点の可能性がある
用語は正確に 「説明せよ」の問題は、定義を正確に書いたうえで、具体例や意味を添える
時間配分を決めておく 1問あたりの目安時間を決め、解けない問題に時間を使いすぎない

2次の勉強を一人で続けるのが不安な方へ

証券アナリストアカデミーのコミュニティでは、これまでに公開した学習ポイントごとの解説動画を視聴でき、学習の進め方も相談できます(解説動画は順次追加中です)。

コミュニティの詳細を見る

過去問の使い方

2次試験は、受講者マイページで直近5回分の過去問と解答例を見ることができます。過去問は、出題の傾向をつかみ、自分の答案の書き方を確かめるための教材です。

  • 本格的に解くのは第3期(5月〜)。テキストの理解が浅いうちに過去問を解くと、解答例を覚えるだけになりがちです。10月に冊子が届いたら、どんな形で問われるのかを一度眺める程度にとどめましょう
  • 1回分を午前・午後に分けて、時間を計って解く。時間内に書き切れなかった問題は、どこで時間を使ったかも記録しておきます
  • 解答例と比べて、自分の答案に足りない要素を書き出す。数値が合っているかだけでなく、説明に必要なキーワードが入っているかを確認します
  • 同じ問題を丸暗記しない。本番で同じ問題が出るわけではありません。「なぜこの式を使うのか」を説明できるかを確かめる使い方をしてください

出題の形式や配点が変わることもあるので、受験する年の案内は協会の公式サイトで必ず確認してください。

やりがちな失敗パターン

  • テキストが全部そろってから始める。最後の配本は1月です。それを待っていては間に合いません。届いた分から読み始めましょう
  • 読むだけで書かない。記述式では、読んでわかることと書けることは別物です。例題は必ず手で解きます
  • 年明けに失速する。12月・1月の配本は量が多く、仕事の繁忙期とも重なりがちです。秋のうちに前倒しで進めておくと崩れにくくなります
  • 職業倫理を後回しにする。足切りがあるので、直前の詰め込みに頼るのは危険です
  • 苦手な分野を捨てる。相対評価の試験なので、満点は必要ありません。ただし、どの分野でも基本的な問題で部分点を拾えるようにしておくことが大切です

分野別:各分野で学ぶ内容

2次の各分野で学ぶ内容を学習ポイントに沿って整理した記事です。テキストを読む前の全体像づかみに使ってください。

よくある質問

Q. 2次試験の勉強はいつから始めればよいですか?

2次レベル講座を申し込み、最初のテキスト(8月配本)が届いたら始めましょう。9月以降に申し込んだ方も、10月の配本が届くころまでに8月配本分を1周できれば、この記事のスケジュールに追いつけます。

Q. 1次の知識はどのくらい必要ですか?

2次は1次の応用なので、1次の基本はそのまま前提になります。ただし、1次の復習から始める必要はありません。2次のテキストを読んでいて、わからない箇所が出てきたときに1次の内容に戻れば十分です。

Q. 過去問は何回分解けばよいですか?

受講者マイページで直近5回分を見ることができます。5月以降に、この5回分を午前・午後それぞれ時間を計って解き、解答例と見比べるのがおすすめです。回数よりも、1回ごとに答案の書き方を見直すことを重視してください。

Q. 職業倫理の足切りは何点ですか?

足切りの具体的な点数は公表されていません。職業倫理・行為基準の配点は40点台半ば(協会のスタディ・ガイドでは44点前後)です。基準ぎりぎりを狙うのではなく、高い得点を取るつもりで仕上げておきましょう。

Q. 仕事が忙しくても合格できますか?

2次試験の受験者には、金融機関などで働きながら学ぶ社会人が多くいます。まとまった時間を取るよりも、配本ごとの期限を決め、平日に少しずつでも毎日テキストに触れることが続けるコツです。

2次合格の先へ:CFA®へのチャレンジ

2次試験まで学んだ知識は、世界で通用する資格であるCFA®(米国証券アナリスト)の学習内容と重なる部分が多くあります。2次に合格したら、次の目標としてCFA®へのチャレンジもぜひ検討してみてください。

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※記載の情報は2026年9月時点で日本証券アナリスト協会が公表している内容にもとづきます。最新情報は協会の公式サイトでご確認ください。