ひとことで言うと

  • ポリシーミックスとは、金融政策と財政政策を組み合わせて運営し、景気・物価・金利などの目標を達成しようとする考え方です。
  • 財政拡大は金利を押し上げる方向、金融緩和は金利を押し下げる方向に働くため、組み合わせ方で金利や為替への影響が変わります
  • IS-LM分析で「ISとLMがそれぞれどちらへシフトするか」を考えるのが基本です。

この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「ポリシーミックス」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/経済
大分類 (6) 金融政策と財政政策
協会の学習ポイント 金融政策と財政政策のポリシーミックスについて説明できる。

ポリシーミックスとは

政府は財政政策(政府支出や税)を、中央銀行は金融政策(政策金利や資金供給)を担っています。2つの政策はそれぞれ単独でも景気に影響しますが、実際には同時に動いており、その組み合わせ(ポリシーミックス)によって、生産・金利・為替・民間投資への効果が大きく変わります。

IS-LM分析での考え方

閉鎖経済のIS-LMモデルでは、財政拡大はIS曲線を右へ金融緩和はLM曲線を右へシフトさせます。財政拡大だけを行うと、生産は増えますが金利が上がり、民間投資の一部が押し出されるクラウディング・アウトが起こります。ここで同時に金融緩和を行えば、金利の上昇を抑えながら生産を大きく押し上げることができます。これが典型的な「財政拡大+金融緩和」のポリシーミックスです。

生産の構成も変わる

同じだけ生産を増やす場合でも、財政主導で行うと金利が上がり、民間投資の比率が下がりやすくなります。金融主導で行うと金利が下がり、民間投資や住宅投資が中心になります。長期的には、投資が多いほど資本蓄積が進み潜在成長力を高めやすいため、どちらの組み合わせを選ぶかは中長期の成長にもかかわります。

開放経済と為替

資本移動がある開放経済では、金利の変化が資本の流出入を通じて為替レートを動かします。財政拡大で金利が上がれば資本が流入して自国通貨高、金融緩和で金利が下がれば資本が流出して自国通貨安になりやすいです。1980年代前半の米国のように「財政拡大+金融引締め」が続くと、高金利とドル高、経常収支の赤字拡大が同時に進むといった組み合わせが生じえます。

整理しておきたいポイント

組み合わせ 生産(GDP) 金利 自国通貨(資本移動あり)
財政拡大+金融緩和 大きく増加 どちらとも言えない(上昇を抑制) どちらとも言えない
財政拡大+金融引締め どちらとも言えない 大きく上昇 増価(通貨高)
財政緊縮+金融緩和 どちらとも言えない 大きく低下 減価(通貨安)
財政緊縮+金融引締め 大きく減少 どちらとも言えない どちらとも言えない

2つの政策が同じ方向に効く変数は方向がはっきりし、逆方向に効く変数は「どちらの効果が大きいか」で決まる、という読み方がコツです。

具体例で確認

景気が弱く、同時に政府債務の拡大も心配されている国を考えます。政府は財政赤字を減らすために財政緊縮を進めたいものの、それだけでは需要が落ち込み景気がさらに悪化しかねません。そこで中央銀行が金融緩和を行えば、金利が下がって民間投資が刺激され、通貨安で輸出も後押しされます。その結果、財政健全化を進めながら生産の落ち込みを和らげることが期待できます。

ただし、政策金利がすでにゼロ近辺にある場合は、金融緩和の余地が限られます。このときは財政政策の役割が相対的に大きくなり、財政拡大に対して中央銀行が金利上昇を抑える形の協調が重視されやすくなります。

試験で問われやすいポイント

  • 財政政策はIS曲線、金融政策はLM曲線を動かすという対応関係と、組み合わせごとの生産・金利の方向が問われやすいです。
  • 財政拡大によるクラウディング・アウトを金融緩和で抑えられる理由を、記述式で説明できるようにしましょう。
  • 2つの政策が逆方向に働く変数は「どちらとも言えない」になる点がひっかけになりやすいです。
  • 開放経済では金利の変化が資本移動を通じて為替に波及することまで含めて問われます。
  • ゼロ金利制約下での政策の役割分担など、前提条件によって結論が変わる点にも注意しましょう。

要点まとめ

  • ポリシーミックス=金融政策と財政政策の組み合わせ
  • 財政拡大はISを右へ、金融緩和はLMを右へシフトさせる
  • 同方向に効く変数は方向が確定し、逆方向の変数は相対的な大きさ次第
  • 金利の変化は資本移動を通じて為替レートにも影響する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。