ひとことで言うと

  • 証券アナリスト職業行為基準は、日本証券アナリスト協会が定めた、CMAなど協会の会員が業務で守るべき行動のルールです。
  • 目的は、投資家(顧客)の信頼を確保し、資本市場の公正さと健全な発展に貢献することにあります。
  • 中心にあるのは、顧客に対する信任義務(忠実義務と注意義務)という考え方です。

この記事では、証券アナリスト1次「職業倫理・行為基準」の学習ポイントのひとつ「職業行為基準の概要と目的」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/職業倫理・行為基準
大分類 (1) 証券アナリスト職業行為基準の意義
協会の学習ポイント 証券アナリスト職業行為基準の概要と目的・意義について説明できる。

証券アナリスト職業行為基準とは

証券アナリストは、企業や市場を分析して投資情報を提供したり、投資の推奨や運用を行ったりする職業的専門家です。その判断は顧客の資産や市場の価格形成に大きな影響を与えます。そのため、高度な知識や分析技術だけでなく、高い倫理観にもとづいた行動が求められます。日本証券アナリスト協会は、会員が守るべき行動の基準として証券アナリスト職業行為基準を定めています。

職業行為基準の目的と意義

投資家は、アナリストの分析や助言が誠実で公正なものだと信頼できて初めて、それを投資判断に役立てることができます。もし一部のアナリストが自分の利益のために顧客をないがしろにしたり、根拠のない情報を流したりすれば、アナリスト全体への信頼が失われ、ひいては資本市場への信頼も損なわれてしまいます。職業行為基準は、会員一人ひとりが職業的専門家としてふさわしい行動をとることで、顧客の利益を守り、職業全体への社会的信頼を確保し、資本市場の健全な発展に寄与することを目指しています。

職業行為基準の考え方と構成

職業行為基準の根底には、顧客から信頼されて業務を任された専門家として負う信任義務があります。信任義務は、顧客の利益を最優先する忠実義務と、専門家として十分な注意を払う注意義務から成ります。そのうえで、利益相反の防止や開示、投資情報の合理的根拠、顧客の公平な取扱い、重要な未公表情報の取扱い、守秘義務など、具体的な場面での行動のあり方が示されています。

職業行為基準は協会の会員に適用され、違反した場合には協会の規則にもとづく処分の対象となり得ます。また、法令で禁止されていないことであっても、職業的専門家としてより高い水準の行動が求められる点が特徴です。

整理しておきたいポイント

定めている団体 日本証券アナリスト協会
適用される人 協会の会員(CMAなど)
目的 顧客の利益の保護、職業への信頼の確保、資本市場の公正・健全な発展
中心となる考え方 信任義務(忠実義務・注意義務)
法令との関係 法令の遵守は当然の前提で、それを上回る倫理的な行動水準が求められる

具体例で確認

ある会員が、ある銘柄について「買い推奨」のレポートを書こうとしています。本人はその株式を多く保有しており、株価が上がれば個人的に得をする立場です。仮にこの事実を伏せたまま、十分な分析もせずに強気のレポートを出したとすると、法令違反に直ちにあたるかどうかは別として、顧客の信頼を裏切る行為になりかねません。

職業行為基準の観点からは、利益相反の可能性がある事実を適切に開示し、合理的な根拠にもとづいて独立・客観的に判断することが求められます。このように、職業行為基準は「法律に触れなければよい」ではなく、「顧客と市場の信頼に応えるにはどう行動すべきか」を示すものです。

試験で問われやすいポイント

  • 職業行為基準の目的(顧客の利益保護、職業への信頼確保、資本市場の健全な発展)。
  • 職業行為基準の中心が信任義務であり、それが忠実義務と注意義務から成ること。
  • 「法令に違反していなければ問題ない」という考え方は誤りで、より高い倫理水準が求められる点。
  • 事例問題では、どの行動が基準に照らして適切かを判断させる形が多いので、基準の趣旨から考える習慣をつけましょう。
  • 職業倫理・行為基準は足切りがある分野なので、基本事項の取りこぼしは避けたいところです。

要点まとめ

  • 職業行為基準は、日本証券アナリスト協会が定めた会員の行動ルール。
  • 目的は顧客の利益の保護と、職業・資本市場への信頼の確保。
  • 根底にあるのは信任義務(忠実義務・注意義務)。
  • 法令遵守を前提に、それ以上の倫理的な行動が求められる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。