乗法定理・加法定理・全確率の定理とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 加法定理は「AまたはB」の確率、乗法定理は「AかつB」の確率を求めるルールです。
- 全確率の定理は、景気が良い・悪いのように場合分けして、それぞれの確率を足し合わせて全体の確率を求める方法です。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「乗法定理・加法定理・全確率の定理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 確率変数 |
| 協会の学習ポイント | 確率の乗法定理、加法定理、全確率の定理について理解する。 |
乗法定理・加法定理・全確率の定理とは
加法定理
「AまたはBが起こる」確率は、P(A)とP(B)を足してから、両方が同時に起こる部分P(A∩B)を引いて求めます。単純に足すだけだと、重なった部分を2回数えてしまうためです。AとBが排反(同時に起こらない)ならP(A∩B)=0なので、単純な足し算になります。
乗法定理
「AかつBが起こる」確率は、まずAが起こる確率P(A)に、Aが起こったという条件のもとでBが起こる確率P(B|A)を掛けて求めます。P(B|A)を条件付き確率といいます。AとBが独立(Aが起きてもBの確率が変わらない)ならP(B|A)=P(B)となり、P(A∩B)=P(A)×P(B)と単純な掛け算になります。
全確率の定理
標本空間を、重なりがなく全体をもれなく覆う事象B1, B2, …, Bn(たとえば「好況」「不況」)に分けたとします。このとき、ある事象Aの確率は、それぞれの場合にAが起こる確率P(A|Bi)にその場合の確率P(Bi)を掛け、すべて足し合わせれば求められます。乗法定理で「BiかつA」の確率を計算し、排反なので足し算できる、という2つの性質を組み合わせたものです。
全確率の定理は、シナリオ分析や、後に学ぶベイズの定理の分母の計算でそのまま使われる重要な定理です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
加法定理と乗法定理:ある企業群で、増益になる確率P(A)=0.5、増益のもとで増配する確率P(B|A)=0.4、増配する確率P(B)=0.3とします。
- 増益かつ増配:P(A∩B)=0.5×0.4=0.2
- 増益または増配:P(A∪B)=0.5+0.3−0.2=0.6
全確率の定理:来年が好況になる確率は0.4、不況になる確率は0.6です。好況なら株価が上がる確率は0.7、不況なら0.3とします。
- 好況かつ上昇:0.4×0.7=0.28
- 不況かつ上昇:0.6×0.3=0.18
- 株価が上がる確率:0.28+0.18=0.46
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「結合確率・条件付き確率・独立を理解し、簡単な事例で計算できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 加法定理で重なりP(A∩B)を引き忘れないこと。排反のときだけ単純な足し算になります。
- 乗法定理はP(A)×P(B|A)。独立のときだけP(A)×P(B)になる点。
- 全確率の定理では、場合分けが「重なりがなく、全体をもれなく覆う」必要があること。
- シナリオ別の確率を掛けて足す計算手順と、ベイズの定理の分母とのつながり。
要点まとめ
- 加法定理:P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)。
- 乗法定理:P(A∩B)=P(A)×P(B|A)。
- 全確率の定理:場合分けして「条件付き確率×その場合の確率」を合計する。
- 排反・独立のときは式が簡単になる(ただし両者は別の概念)。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
