お金の時間価値とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- お金の時間価値とは、「今日の1万円は、将来の1万円より価値が高い」という考え方です。
- 今のお金を将来の価値に直すのが将来価値(FV)、将来のお金を今の価値に直すのが現在価値(PV)です。
- FV=PV×(1+r)n、PV=FV÷(1+r)nという1組の式が、ファイナンスのあらゆる計算の出発点になります。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「お金の時間価値」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (1) お金の時間価値 |
| 協会の学習ポイント | お金の時間価値の概念を理解する。 |
お金の時間価値とは
今日1万円を受け取れば、それを預金や国債で運用して、1年後には1万円より多い金額にできます。逆にいえば、1年後に受け取る1万円は、今日の1万円より価値が低いということです。このように、同じ金額でも受け取る時点によって価値が違うことを「お金の時間価値」といいます。
将来価値(FV)
現在のお金を金利rで複利運用したとき、n年後にいくらになるかを表すのが将来価値です。1年ごとに(1+r)倍になるので、n年後には(1+r)n倍になります。
現在価値(PV)と割引
反対に、n年後に受け取るお金が今いくらの価値にあたるかを表すのが現在価値です。将来価値の計算を逆向きに行い、(1+r)nで割ります。この操作を割引、使う金利を割引率、1÷(1+r)nを割引係数(ディスカウントファクター)といいます。
現在価値が変わる2つの要因
現在価値は、割引率が高いほど、また受け取りが遠い将来であるほど小さくなります。リスクの高いキャッシュフローには高い割引率を使うため、同じ金額でも現在価値は小さく評価されます。債券や株式の価格、投資判断は、この考え方を複数のキャッシュフローに当てはめて計算します。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| PV | 現在価値(Present Value) |
| FV | 将来価値(Future Value) |
| r | 1期あたりの金利(割引率) |
| n | 期間(年数など) |
具体例で確認
例1:将来価値
100万円を年5%の複利で3年間運用すると、100 × 1.053 ≒ 115.76万円になります。
例2:現在価値
3年後に100万円を受け取れる権利の現在価値は、割引率5%なら 100 ÷ 1.053 ≒ 86.38万円です。割引係数は1 ÷ 1.053 ≒ 0.8638です。
例3:割引率と期間の影響
同じ3年後の100万円でも、割引率が3%なら約91.51万円、8%なら約79.38万円になります。また、割引率5%のまま受け取りが5年後になれば約78.35万円です。割引率が高いほど、期間が長いほど現在価値は小さくなります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(この論点の解説動画)。
試験で問われやすいポイント
- FVとPVの式を正しい向きで使えるか(掛けるのか割るのか)が基本として問われます。
- 割引率が上がると現在価値は下がり、期間が長いほど現在価値は小さくなるという方向の関係が問われやすいです。
- 割引係数(ディスカウントファクター)の意味と、それを使った現在価値の計算に慣れておきましょう。
- 単利ではなく複利で割り引くのが原則である点に注意しましょう。
要点まとめ
- 今日のお金は将来の同じ金額より価値が高い
- FV=PV×(1+r)n、PV=FV÷(1+r)n
- 割引率が高いほど、期間が長いほど現在価値は小さい
- 債券・株式・投資判断の評価はすべてこの考え方の応用
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
