ひとことで言うと

  • 名目GDPはその年の価格で測った金額そのもの、実質GDPは物価の変動を取り除いて数量の変化を表したものです。
  • GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP × 100で、国内で生産されたもの全体の物価水準を表します。
  • 成長率では、名目成長率 ≒ 実質成長率 + デフレーターの変化率という関係が成り立ちます。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「名目GDP・実質GDP・デフレーター」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (3) 国民経済計算の仕組み
協会の学習ポイント 名目GDPと実質GDPの違い、GDPデフレーターについて説明できる。

GDPデフレーターとは

GDPが前年より増えたとしても、それが「たくさん生産したから」なのか「値段が上がったから」なのかは、金額だけではわかりません。そこで、物価の影響を取り除いた実質GDPを計算し、経済の実質的な成長を測ります。

名目GDPと実質GDP

名目GDPは、その年に生産された財・サービスの数量にその年の価格を掛けて合計したものです。実質GDPは、数量に基準年の価格(またはそれに相当する方法で固定した価格)を掛けて合計したものです。価格を固定するので、実質GDPの変化は生産量の変化を表します。なお日本の公表値では、基準年を毎年更新してつなぎ合わせる連鎖方式で実質値が計算されています。

GDPデフレーターの特徴

GDPデフレーターは名目GDPを実質GDPで割って求める物価指数で、統計から直接集めるのではなく計算の結果として得られるため、インプリシット・デフレーターとも呼ばれます。比較時点の数量をウエイトに使うパーシェ型の物価指数にあたり、基準時点の数量をウエイトに使うラスパイレス型の消費者物価指数(CPI)とは性質が異なります。

輸入物価との関係

GDPは国内で生み出された付加価値なので、GDPデフレーターは国内生産品の物価を表します。支出面でGDPを計算するときは輸入を差し引くため、原油などの輸入品の価格が上がっても、国内の販売価格に十分転嫁されなければ、GDPデフレーターはむしろ下がることがあります。輸入品の値上がりをそのまま反映するCPIとは動きが異なる点に注意が必要です。

押さえておきたい公式

GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP × 100基準年は100
実質GDP = 名目GDP ÷ (GDPデフレーター ÷ 100)
名目成長率 ≒ 実質成長率 + GDPデフレーターの変化率変化率が小さいときの近似式。正確には (1 + 名目成長率) = (1 + 実質成長率) × (1 + デフレーター変化率)

具体例で確認

基準年(前年)の名目GDPと実質GDPがともに500兆円、今年の名目GDPが530兆円、実質GDPが515兆円だったとします。

  1. 今年のGDPデフレーター:530 ÷ 515 × 100 ≒ 102.9
  2. 名目成長率:530 ÷ 500 − 1 = 6.0%
  3. 実質成長率:515 ÷ 500 − 1 = 3.0%
  4. デフレーターの変化率:102.9 ÷ 100 − 1 ≒ 2.9%

近似式では 6.0% ≒ 3.0% + 2.9% となり、ほぼ一致します(正確には 1.03 × 1.029 ≒ 1.06)。名目成長6%のうち、約3%が数量の増加、約3%が物価の上昇によるものだとわかります。

試験で問われやすいポイント

  • デフレーターの計算式は名目 ÷ 実質です。分子と分母を逆にするミスに注意しましょう。
  • 名目・実質・デフレーターのうち2つから残り1つを求める計算がよく問われます。
  • デフレーターが前年より下がる(変化率がマイナスの)状態は、物価の下落(デフレ)を示します。名目成長率<実質成長率となる「名実逆転」もあわせて押さえましょう。
  • GDPデフレーターはパーシェ型、CPIはラスパイレス型という違いが問われやすいです。
  • 輸入物価の上昇はGDPデフレーターを押し下げる要因になりうる点が、CPIとの違いとして狙われます。

要点まとめ

  • 名目GDP=その年の価格、実質GDP=物価変動を除いた数量ベース
  • GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP×100(パーシェ型)
  • 名目成長率≒実質成長率+デフレーター変化率
  • 国内生産品の物価を表すため、輸入物価の上昇は押し下げ要因になる

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。