ブラック=ショールズ・モデルとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- ブラック=ショールズ(BS)・モデルは、ヨーロピアン・オプションの理論価格を1本の式で表すモデルです。
- 株価が対数正規分布に従って連続的に動き、ボラティリティと無リスク金利が一定、取引コストがないなどの前提を置きます。
- 価格を決めるのは株価・権利行使価格・残存期間・無リスク金利・ボラティリティの5つで、株価の期待収益率は式に出てきません。
この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「ブラック=ショールズ・モデルの概要」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (3) オプション取引の仕組みと評価 |
| 協会の学習ポイント | ブラック=ショールズ・モデルの概要について理解する。 |
ブラック=ショールズ・モデルとは
ブラック=ショールズ・モデルは、1973年にブラックとショールズが発表し、マートンが発展させたオプション評価モデルです。二項モデルで期間を限りなく細かくしていった極限にあたり、株価が時間とともに連続的・ランダムに動くと考えて、ヨーロピアン・オプションの価格を解析的な式で求めます。
モデルの主な前提
BSモデルでは、主に次のような前提を置きます。
- 株価は幾何ブラウン運動に従い、将来の株価は対数正規分布になる(株価の対数収益率が正規分布に従う)
- ボラティリティ(株価変動率の標準偏差)と無リスク金利は、満期まで一定で既知
- オプションの期間中に配当はない(配当を考慮する拡張もある)
- 取引コストや税金がなく、空売りも自由で、連続的に取引できる
- 裁定機会は存在しない。対象はヨーロピアン・オプション
複製とリスク中立評価
BSモデルの核心は、株式と無リスク資産を連続的に組み替えれば、オプションの損益を完全に複製できるという点です。複製できるなら、無裁定の考え方からオプション価格は一意に決まり、投資家のリスク選好や株価の期待収益率は価格に影響しません。そのため、すべての資産の期待収益率が無リスク金利になる「リスク中立の世界」で、満期ペイオフの期待値を無リスク金利で割り引けば価格が求まります。
モデルの限界
現実には、ボラティリティは一定ではなく、株価には急落などの「ジャンプ」もあり、収益率の分布は正規分布より裾が厚い傾向があります。実際、同じ満期でも権利行使価格ごとにインプライド・ボラティリティが異なるボラティリティ・スマイル(スキュー)が観察され、モデルの前提が完全には成り立たないことを示しています。それでも、考え方の明快さから、実務や試験の基本となるモデルです。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| S、ST | 現在の株価、満期Tの株価 |
| K | 権利行使価格 |
| T | 残存期間(年) |
| r | 無リスク金利(連続複利) |
| σ | ボラティリティ(年率) |
| μ | 株価の期待収益率(価格式には出てこない) |
具体例で確認
5つの要因がコール価格にどう効くかを、株価100円、権利行使価格100円、残存1年、無リスク金利5%、ボラティリティ20%(コール約10.45円、プット約5.57円)を基準に確認します。
| 変化 | コール | プット |
|---|---|---|
| ボラティリティ20%→30% | 約14.23円(上昇) | 約9.35円(上昇) |
| 株価100円→110円 | 約17.66円(上昇) | 約2.79円(低下) |
| 残存1年→0.5年 | 約6.89円(低下) | 約4.42円(低下) |
ボラティリティの上昇はコールにもプットにもプラスに働きます。残存期間はヨーロピアン・プットでは例外的にマイナスに効くこともありますが、この例では短くなるとどちらも下がっています。
試験で問われやすいポイント
- 株価が対数正規分布に従う、ボラティリティ・金利が一定、取引コストなし、連続取引可能などの前提が問われやすいです。
- 価格を決める5つの要因と、各要因の影響の方向(例:ボラティリティ上昇はコール・プットともに価格上昇)がよく確認されます。
- 株価の期待収益率μは価格式に登場しない点は、リスク中立評価と結びつけて理解しておきましょう。
- BSモデルは本来ヨーロピアン向けで、途中行使があるアメリカン・プットにはそのまま使えない点がひっかけになりやすいです。
- 記述式では、ボラティリティ・スマイルなどを例にモデルの前提と現実のずれを説明させる形にも備えておくと安心です。
要点まとめ
- BSモデル=ヨーロピアン・オプション価格を解析的に表すモデル
- 前提:対数正規分布、ボラティリティと金利が一定、摩擦なし、連続取引
- 価格の決定要因は株価・行使価格・残存期間・金利・ボラティリティの5つ
- 期待収益率は不要(複製と無裁定によるリスク中立評価)
- 現実とのずれはボラティリティ・スマイルなどに表れる
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
