ひとことで言うと

  • モンテカルロ・シミュレーションは、乱数を使って将来の市場の動きを何千・何万通りも発生させ、資産配分案の結果の分布(ばらつき)を調べる手法です。
  • シナリオ分析は、「景気後退」「インフレ加速」など特定の将来像を想定し、そのとき資産配分案がどうなるかを確かめる手法です。
  • どちらも、平均・分散だけでは見えにくい下振れリスクや配分案の弱点を把握するために使われます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「モンテカルロとシナリオ分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント アセット・アロケーション策定プロセスにおけるモンテカルロシミュレーションやシナリオ分析手法について理解する。

モンテカルロ・シミュレーションとシナリオ分析とは

平均・分散アプローチでは、各資産の期待リターン・リスク・相関から、1期間のポートフォリオの期待リターンと標準偏差を求めます。しかし実際の運用は多期間にわたり、途中で掛金の拠出や給付の支払い、リバランスが行われます。また、「10年後に積立不足になる確率は何%か」「最悪の場合どこまで悪化するか」といった問いには、1期間の平均と分散だけでは答えにくいです。そこで使われるのがモンテカルロ・シミュレーションとシナリオ分析です。

モンテカルロ・シミュレーション

各資産のリターンの確率分布(期待リターン、標準偏差、相関など)を仮定し、乱数を使って将来のリターンの経路を大量に発生させます。各経路について、キャッシュフローやリバランスのルールを反映させながら資産や積立比率の推移を計算し、その結果を集計します。これにより、将来の資産額の分布、目標を下回る確率(ショートフォール確率)、下位5%の水準などがわかります。経路に依存する効果や複雑なルールも扱える点が長所です。一方で、結果は仮定した分布やパラメータに左右されるため、入力が誤っていれば結果も誤ります。

シナリオ分析

シナリオ分析では、経済や市場の具体的な将来像をいくつか設定し、それぞれの下での資産配分案の結果を計算します。各シナリオに確率を割り当てて期待値を求めることもあります。ストーリーとして理解しやすく、特定の状況(急激な金利上昇など)に弱い配分案を見つけやすい一方、どのシナリオを選ぶかに分析者の主観が入り、想定外の事態は評価できません。

押さえておきたい公式

シナリオに基づく期待リターン = Σ ps × Rsps:シナリオ s の生起確率、Rs:そのシナリオでのリターン
ショートフォール確率 = 目標を下回った試行の数 ÷ 全試行数モンテカルロ・シミュレーションでの推定

具体例で確認

ある資産配分案について、次の3つのシナリオを想定します。

シナリオ 確率 1年後のリターン
景気後退 25% −15%
標準 50% +5%
景気拡大 25% +12%

期待リターンは 0.25 ×(−15)+ 0.5 × 5 + 0.25 × 12 = 1.75% です。期待値はプラスでも、4回に1回は−15%という大きな損失が起こりうることがわかります。

比較として、リターンが期待値4%・標準偏差10%の正規分布に従うと仮定すると、1年で−10%を下回る確率は z =(−10 − 4)÷ 10 = −1.4 より約8.1%です。モンテカルロ法では、このような確率を、キャッシュフローや多期間の効果を含めて乱数で数多く試行して推定します。

試験で問われやすいポイント

  • モンテカルロ法とシナリオ分析の長所・短所を比較して説明できるようにしましょう。
  • モンテカルロ法は多期間、キャッシュフロー、リバランス、経路依存性を扱える点が、平均・分散アプローチとの違いとして問われやすいです。
  • 「シミュレーション結果は入力の仮定に依存する」という限界を記述で述べられるようにしておきましょう。
  • シナリオ確率とリターンから期待値を計算させる問題では、計算過程を示せるようにしましょう。

要点まとめ

  • モンテカルロ法は乱数で多数の経路を作り、結果の分布や目標未達の確率を調べる。
  • シナリオ分析は特定の将来像での結果を確かめ、配分案の弱点を探す。
  • どちらも平均・分散だけでは見えない下振れリスクの把握に役立つ。
  • 結果は仮定やシナリオの選び方に依存する点に注意する。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。