ひとことで言うと

  • 平均・分散アプローチは、期待リターン・リスク・相関から効率的な資産配分を求める手法ですが、入力値のわずかな誤差で配分が大きく変わり、極端な配分になりやすいという課題があります。
  • Black=Littermanモデルは、市場均衡から逆算した期待リターンを出発点に、運用者の見通し(ビュー)を確信度に応じて織り込むことで配分を安定させます。
  • リサンプリング法は、入力値を統計的に揺らして何度も最適化し、その平均をとることで推定誤差の影響を和らげます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「平均・分散法の課題と解決法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント 平均・分散アプローチによるアセット・アロケーション手法とその課題や解決法(Black=Littermanモデルやリサンプリング法など)について理解する。

平均・分散アプローチの課題とは

平均・分散アプローチは、マーコウィッツのポートフォリオ理論に基づき、同じリスクなら期待リターンが最も高い(同じ期待リターンならリスクが最も低い)資産配分、つまり効率的フロンティア上のポートフォリオを求める手法です。理論的に明快で、資産配分の標準的な出発点になっています。

主な課題

実務では、次のような問題が知られています。①入力値への感応度が高い:特に期待リターンの見積もりを少し変えるだけで、最適配分が大きく変わります。②極端な配分(コーナー解):一部の資産に集中し、他の資産がゼロになるなど直感に合わない結果が出やすいです。③推定誤差の最大化:最適化は期待リターンを過大評価した資産に多く配分し、過小評価した資産を減らすため、推定誤差をむしろ拡大してしまいます。このため、投資比率の上限・下限などの制約を置く方法も使われますが、制約が結果を決めてしまう面もあります。

Black=Littermanモデル

Black=Littermanモデルは、まず市場ポートフォリオ(時価総額比率)が最適であると仮定し、そこから逆算して各資産の均衡期待リターンを求めます(リバース・オプティマイゼーション)。次に、運用者の見通し(「株式が債券を2%上回る」など)とその確信度を加え、両者を統計的に組み合わせて期待リターンを修正します。ビューがなければ市場ポートフォリオに一致し、確信度が高いビューほど配分に強く反映されます。極端な配分になりにくく、直感的に理解しやすい結果が得られるのが長所です。

リサンプリング法

リサンプリング法は、推定した期待リターンや共分散を前提に、乱数で多数の「ありうる入力値」を作り、それぞれで最適化を行って、得られた配分を平均する方法です。推定誤差を考慮した、なめらかで分散の効いた配分になります。一方、理論的な根拠や計算の負担についての議論もあります。

押さえておきたい公式

Π = λ × Σ × wmkt均衡期待超過リターン(リバース・オプティマイゼーション)
λ = (E[RM] − Rf) ÷ σM2リスク回避係数(市場の超過リターンと分散から求める)
記号 意味
Π 各資産の均衡期待超過リターン
Σ 資産リターンの共分散行列
wmkt 市場ポートフォリオの時価総額比率

具体例で確認

株式(標準偏差18%)と債券(標準偏差5%)の2資産、相関0.2、市場の時価総額比率を株式60%・債券40%、リスク回避係数 λ = 2.5 とします。

  • 株式と債券の共分散:0.2 × 0.18 × 0.05 = 0.0018
  • 株式:Σw = 0.6 × 0.0324 + 0.4 × 0.0018 = 0.02016 → Π = 2.5 × 0.02016 ≒ 5.04%
  • 債券:Σw = 0.6 × 0.0018 + 0.4 × 0.0025 = 0.00208 → Π = 2.5 × 0.00208 = 0.52%

これらが「市場が株式60%・債券40%を保有していることと整合的な」期待超過リターンです。ここに「株式の期待超過リターンは6%」といったビューを確信度とともに加えると、株式の期待リターンが5.04%と6%の間に修正され、株式比率が60%からなだらかに増える配分が得られます。

試験で問われやすいポイント

  • 平均・分散最適化の課題(入力への感応度、コーナー解、推定誤差の最大化)を具体的に説明できるようにしましょう。
  • Black=Littermanモデルの手順(均衡リターンの逆算 → ビューと確信度の反映)と、ビューがない場合は市場ポートフォリオになる点が問われやすいです。
  • Π = λΣw の計算は、共分散の求め方も含めて計算過程を示せるようにしておきましょう。
  • リサンプリング法の考え方(多数回の最適化結果を平均)と、各手法の長所・短所を記述させる形に備えましょう。

要点まとめ

  • 平均・分散アプローチは入力誤差に敏感で、極端な配分になりやすい。
  • Black=Littermanは市場均衡から逆算した期待リターンにビューを織り込む。
  • 確信度の高いビューほど配分に強く反映され、ビューがなければ市場ポートフォリオ。
  • リサンプリング法は入力を揺らした多数の最適化結果を平均して安定化させる。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。