持分法とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・財務分析
ひとことで言うと
- 持分法は、関連会社などの損益のうち自社の持分割合に相当する額を、投資勘定と持分法による投資損益の1行で反映する方法です(「一行連結」とも呼ばれます)。
- 売上高や資産・負債は合算されないため、連結する場合と比べて売上高や総資産は小さく表示されますが、親会社株主に帰属する当期純利益や純資産への影響は、原則として連結した場合と同じになります。
この記事では、証券アナリスト2次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「持分法の適用による影響」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 コーポレート・ファイナンスと企業分析/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (8) 企業結合会計 |
| 協会の学習ポイント | 持分法の適用による影響を理解する。 |
持分法の適用による影響とは
持分法は、主に関連会社(議決権の20%以上を保有している場合など、財務・営業の方針に重要な影響を与えることができる会社)や、連結の範囲に含めない非連結子会社に適用される会計処理です。子会社のように資産・負債や収益・費用を1行ずつ合算するのではなく、投資勘定の金額を持分に応じて増減させます。
持分法の基本的な処理
- 取得時:投資額で投資勘定を計上します。投資額と、被投資会社の時価純資産のうち自社持分との差額(のれん相当額)は投資勘定に含め、日本基準では規則的に償却します。
- 利益の計上:被投資会社の当期純利益×持分割合を投資勘定に加え、同額を「持分法による投資利益」として計上します。のれん相当額の償却額は、この投資利益から差し引かれます。
- 配当の受取:受け取った配当金は、すでに利益として取り込んだ分の払い戻しと考え、投資勘定を減らします(受取配当金として収益計上しません)。
- 未実現利益:関連会社との取引で生じた未実現利益は、持分相当額を消去します。
財務分析への影響
持分法投資損益は日本基準では営業外損益に表示されるため、営業利益には含まれず、経常利益以下に影響します。売上高や総資産、有利子負債は取り込まれないので、同じ利益水準でも、連結子会社として取り込む場合と比べて売上高利益率やROAの見え方が変わります。関連会社が多額の借入れをしていても、その負債は親会社の連結貸借対照表には表れない点にも注意が必要です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
A社がB社株式の30%を900で取得し、B社を関連会社としました。取得時のB社の時価純資産は2,500、のれん相当額は10年で均等償却します。当期のB社の当期純利益は400、配当総額は100でした。
- 持分相当額:2,500 × 30% = 750 → のれん相当額:900 − 750 = 150(年15を償却)
- 持分法による投資利益:400 × 30% − 15 = 105
- 受取配当金:100 × 30% = 30(投資勘定を減額)
- 期末投資勘定:900 + 105 − 30 = 975
A社の連結損益計算書では、B社の売上高や費用は一切表れず、営業外収益に105が計上されるだけです。A社の経常利益は増えますが、営業利益や売上高には影響しません。
試験で問われやすいポイント
- 持分法投資損益、期末投資勘定の計算手順(持分利益の取込み、のれん相当額の償却、配当による減額)は典型的な計算問題です。
- 受取配当金を収益に計上せず投資勘定を減らす点は、ひっかけになりやすいです。
- 連結と持分法で、売上高・総資産・負債は異なるが、親会社株主に帰属する当期純利益・純資産は原則同じになるという比較が問われやすいです。
- 持分法投資損益は日本基準では営業外損益のため、営業利益に影響しない点を押さえましょう。
- 記述式では、持分法適用会社の比重が大きい企業のROAや負債比率を分析する際の注意点を説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- 持分法は、被投資会社の損益を持分割合に応じて投資勘定と持分法投資損益の1行で反映する。
- 配当受取は投資勘定の減少、のれん相当額は投資損益から償却する。
- 売上高・資産・負債は取り込まれず、営業外損益を通じて経常利益以下に影響する。
- 関連会社の負債が連結貸借対照表に表れない点に注意して分析する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
