世代別の資産運用とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 世代別の資産運用とは、若年期・中年期・退職前後・高齢期といった人生の段階ごとに、運用の目的やリスクの取り方を変えていく考え方です。
- 一般に、若年期は人的資本が大きく投資期間も長いためリスクを取りやすく、年齢とともに資産の保全と取崩しの計画が重視されます。
- 年齢だけでなく、収入の安定性、家族構成、資産額、リスク許容度なども合わせて判断することが大切です。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「世代別の資産運用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (5) 個人投資家の資産運用 |
| 協会の学習ポイント | ライフサイクル投資の世代別の資産運用について理解する。 |
世代別の資産運用とは
ライフサイクル投資では、個人の一生をいくつかの段階に分けて、それぞれに適した資産運用を考えます。段階によって、収入と支出のバランス、将来の労働収入(人的資本)の大きさ、残りの投資期間、必要となる資金のタイミングが大きく異なるためです。
若年期(資産形成の初期)
就職して間もない時期は、金融資産は少ない一方で人的資本は最も大きく、投資期間も長く確保できます。短期的な価格変動に耐える時間があるため、株式など期待リターンの高い資産で長期の積立投資を行いやすい時期です。ただし、急な出費に備える生活防衛資金の確保と、死亡・就業不能に備えた保障も欠かせません。
中年期(資産形成の中心期)
収入が増える一方で、住宅取得や子どもの教育費など大きな支出も重なる時期です。目的ごとに必要な時期と金額が異なるため、近い将来に使う資金は安全性を重視し、老後資金のように遠い将来に使う資金はリスク資産で運用するなど、目的別に考える視点が有効です。
退職前後(移行期)
人的資本が小さくなり、金融資産が総資産の大部分を占めるようになります。退職直前・直後の大きな下落は、取り戻す時間が少なく、リターン配列のリスクの影響も大きいため、資産配分を徐々に保守的にしていくことが一般的です。公的年金の受給見込みや退職金を含めて、取崩し計画を具体化する時期でもあります。
高齢期(取崩し期)
資産を取り崩しながら生活する時期です。ただし、老後期間は長期に及ぶ可能性があるため、すべてを安全資産にするとインフレや長生きに対応できません。一定のリスク資産を残しつつ、終身年金などで長生きリスクに備え、資産の承継(相続)も視野に入れます。
整理しておきたいポイント
| 段階 | 特徴 | 運用の考え方 |
|---|---|---|
| 若年期 | 人的資本大・金融資産小・投資期間長 | 積立による長期投資、リスク資産の比率は高めにしやすい |
| 中年期 | 収入増、住宅・教育など支出も多い | 目的別に資金を分け、時期に応じてリスクを調整 |
| 退職前後 | 人的資本が縮小、金融資産が最大 | 配分の保守化、取崩し計画の具体化 |
| 高齢期 | 取崩し中心、長生き・インフレに直面 | 一定のリスク資産を維持、終身年金の活用、資産承継 |
具体例で確認
同じ会社に勤める28歳のAさんと58歳のBさんが、どちらも金融資産1,000万円を持っているとします。
- Aさん:退職まで30年以上あり、人的資本は金融資産の何倍もあります。多少の下落があっても、その後の給与からの積立と時間で回復を待てるため、株式中心の長期分散投資が選択肢になります。
- Bさん:数年後に退職を控え、人的資本は小さくなっています。退職直後に大きく下落すると回復を待つ余裕が少ないため、債券や預金の比率を高めつつ、退職後も長く続く生活に備えて一部はリスク資産で運用を続ける、といった配分が考えられます。
このように、金融資産の額が同じでも、世代によって適切な資産配分は大きく変わります。
試験で問われやすいポイント
- 各段階における人的資本・金融資産・投資期間の特徴と、それが資産配分に与える影響。
- 年齢とともにリスク資産を減らすのが一般的だが、高齢期でもインフレ・長生きに備えて一定のリスク資産を残す考え方。
- 退職前後はリターン配列のリスクの影響が大きい時期であること。
- 年齢だけで機械的に決めるのではなく、収入の性質や家族構成、リスク許容度も考慮すべきこと。
- 2次の記述式では、年齢や家族構成などの設例から、その人に適した資産運用の方針を説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- 世代ごとに人的資本・投資期間・必要資金の時期が違うため、運用方針も変わる。
- 若年期はリスクを取りやすく、中年期は目的別の管理、退職前後は保守化、高齢期は取崩しと長生き対策が中心。
- 高齢期でも、インフレや長生きに備え一定のリスク資産を持つことがある。
- 年齢は目安の一つで、個人の状況に合わせて判断する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
