アレのパラドックスとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- アレのパラドックスは、多くの人が選ぶ組み合わせが、期待効用理論の独立性の公理と矛盾することを示した例です。
- 背景には、確実なものを特に重視する確実性効果があります。
- ほかにも、損失局面でのリスク追求(鏡像効果)、共通部分を無視する分離効果、表現で選択が変わるフレーミング効果など、期待効用理論で説明できない行動が知られています。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「期待効用理論で説明できない行動」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (8) 行動ファイナンスの意義と応用 |
| 協会の学習ポイント | 期待効用理論では説明できない実際の個人の選択行動の特性について理解する。 |
アレのパラドックスとは
期待効用理論は、合理的な個人の選択を記述する理論として大きな役割を果たしてきましたが、実験で人の実際の選択を調べると、理論と食い違う行動が繰り返し観察されます。その代表例が、フランスの経済学者アレが示したアレのパラドックスです。
独立性の公理とは
期待効用理論の公理のひとつである独立性の公理は、「2つのくじに共通する部分を同じように入れ替えても、どちらを好むかは変わらない」というものです。期待効用は確率について線形なので、共通部分は比較に影響しないはずだという考え方です。
期待効用理論で説明できない主な行動
- 確実性効果:確実な結果を、ほぼ確実な結果よりも不釣り合いに高く評価する。アレのパラドックスの原因と考えられています。
- 鏡像効果(反射効果):利益の場面ではリスク回避的なのに、損失の場面では同じ構造でもリスク追求的になる。
- 分離効果(孤立効果):選択肢に共通する部分を無視し、異なる部分だけで判断するため、同じ結果でも提示の仕方によって選択が変わる。
- フレーミング効果:「200人が助かる」「400人が亡くなる」のように、同じ内容でも表現の枠組みで選好が逆転する。
これらはいずれも、最終的な富と客観確率だけで判断する期待効用理論では説明が難しく、参照点や確率のゆがみを取り入れたプロスペクト理論の誕生につながりました。
押さえておきたい公式
具体例で確認
単位は万円とします。
| くじ | 内容 | 期待値 |
|---|---|---|
| A | 100%で100 | 100 |
| B | 10%で500、89%で100、1%で0 | 139 |
| C | 11%で100、89%で0 | 11 |
| D | 10%で500、90%で0 | 50 |
実験では、多くの人がAとBではAを、CとDではDを選びます。しかし、AとBは「89%で100」という共通部分を持ち、CとDはそれを「89%で0」に入れ替えただけです。上の公式のとおり、A ≻ B とD ≻ C を同時に満たす効用関数 u は存在しません。つまり、どんな効用関数を持つ人でも、期待効用理論に従う限りこの組み合わせは選ばないはずです。確実に100がもらえるAを特に高く評価する確実性効果が、この矛盾を生んでいると考えられます。
試験で問われやすいポイント
- アレのパラドックスが期待効用理論のどの公理(独立性の公理)と矛盾するかは必ず押さえましょう。
- くじの組み合わせから、A ≻ BとD ≻ Cが両立しないことを式で示させる問題に備えましょう。
- 確実性効果、鏡像効果、分離効果、フレーミング効果の意味と具体例の対応がよく問われます。
- これらの行動がプロスペクト理論(参照点、価値関数、確率ウェイト)でどう説明されるかをつなげて理解しましょう。
- 記述式では、期待効用理論で説明できない行動例を挙げて理由を説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- アレのパラドックスは多くの人の選択が独立性の公理と矛盾することを示す。
- 原因として、確実な結果を特に重視する確実性効果が挙げられる。
- 鏡像効果・分離効果・フレーミング効果も期待効用理論では説明しにくい。
- これらの反例がプロスペクト理論の誕生につながった。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
