リスク調整後パフォーマンス指標とは?試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- リスク調整後パフォーマンス指標は、リターンの高さを、取ったリスクの大きさで調整して比べるための指標です。
- シャープ・レシオは総リスク(標準偏差)あたり、トレーナー・レシオはベータあたりの超過リターン、ジェンセンのアルファはCAPMの理論値を上回った分、インフォメーション・レシオはトラッキングエラーあたりのアクティブ・リターンです。
- 評価対象が投資家の資産の全部か一部か、ベンチマーク運用かによって、使うべき指標が変わります。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「リスク調整後の評価指標」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示 |
| 協会の学習ポイント | リスク調整後パフォーマンス評価指標(シャープ・レシオ、トレーナー・レシオ、ジェンセンのアルファ、インフォメーション・レシオ等)の算出と利用方法について理解する。 |
リスク調整後パフォーマンス指標とは
リターンが高いファンドが、必ずしも優れているとは限りません。大きなリスクを取れば、たまたま高いリターンになることもあるからです。そこで、リターンを取ったリスクの量で調整して比較するのがリスク調整後パフォーマンス指標です。
各指標の特徴と使い分け
シャープ・レシオは、無リスク金利を上回るリターンを標準偏差(総リスク)で割ったものです。評価対象のファンドが投資家の資産のほぼすべてである場合のように、分散されていない固有リスクも含めて評価したいときに適しています。同じ尺度でリスクをそろえたM²(モディリアーニ)は、市場と同じリスク水準に換算したリターンとして表すため、直感的に比べやすくなります。
トレーナー・レシオは、超過リターンをベータ(システマティック・リスク)で割ったものです。評価対象が十分に分散された大きなポートフォリオの一部である場合は、固有リスクは全体で打ち消されるため、ベータで調整するのが適切です。
ジェンセンのアルファは、CAPMから求めた理論上の期待リターンを実際のリターンがどれだけ上回ったかを示します。単位が%なので分かりやすい反面、ベータの異なるファンドの順位付けにはトレーナー・レシオの方が適しているとされます。
インフォメーション・レシオ(IR)は、ベンチマークに対するアクティブ・リターンをトラッキングエラーで割ったもので、ベンチマークを持つアクティブ運用の効率を評価するのに使われます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
無リスク金利1%、市場リターン7%、市場の標準偏差15%とし、2つのファンドを比べます。
| 項目 | ファンドA | ファンドB |
|---|---|---|
| リターン | 10% | 8% |
| 標準偏差 | 20% | 12% |
| ベータ | 1.2 | 0.8 |
| アクティブ・リターン/TE | 3%/6% | 1%/2% |
| シャープ・レシオ | 9 ÷ 20 = 0.45 | 7 ÷ 12 ≒ 0.58 |
| トレーナー・レシオ | 9 ÷ 1.2 = 7.5% | 7 ÷ 0.8 = 8.75% |
| ジェンセンのアルファ | 10 − (1 + 1.2 × 6) = 1.8% | 8 − (1 + 0.8 × 6) = 2.2% |
| IR | 3 ÷ 6 = 0.5 | 1 ÷ 2 = 0.5 |
| M² | 1 + 0.45 × 15 = 7.75% | 1 + 0.583 × 15 ≒ 9.75% |
リターンだけならAが上ですが、シャープ・レシオ、トレーナー・レシオ、アルファ、M²のいずれでもBが上回ります。IRは同じで、ベンチマークに対するアクティブ運用の効率は同程度と読めます。
試験で問われやすいポイント
- 分母の違い:シャープは標準偏差、トレーナーはベータ、IRはトラッキングエラー。
- 使い分け:資産の全部を評価するならシャープ、分散されたポートフォリオの一部ならトレーナーやアルファ、ベンチマーク運用ならIR。
- ジェンセンのアルファの計算で、RM − Rf(市場リスク・プレミアム)にベータを掛け忘れる、Rfを足し忘れるといったミス。
- 指標によって順位が逆転しうることと、その理由の説明。
- 記述式では、複数ファンドの指標を計算して、どの投資家にどのファンドを勧めるかを理由とともに述べる問題に備えましょう。
要点まとめ
- リスク調整後指標は、リターンを取ったリスクで調整して比べる。
- シャープ=総リスクあたり、トレーナー=ベータあたり、アルファ=CAPM超過分、IR=TEあたり。
- 評価対象の位置づけ(全資産か一部か、ベンチマークがあるか)で指標を選ぶ。
- M²はシャープ・レシオを市場リスク水準のリターンに換算したもの。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
