一般化線形モデル(GLM)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 一般化線形モデル(GLM)は、被説明変数が0か1か、件数、正の値しかとらない…といった、通常の線形回帰に向かないデータを扱えるよう回帰モデルを拡張したものです。
- 「確率分布」と「リンク関数」を選び、リンク関数で変換した期待値を説明変数の線形結合で表します。
- 代表例がロジットモデルで、デフォルトの有無などの確率を0〜1の範囲で推定できます。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「一般化線形モデル」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (11) 回帰分析(重回帰) |
| 協会の学習ポイント | 一般化線形モデルの概要について理解する。 |
一般化線形モデル(GLM)とは
通常の重回帰モデルは、誤差項が正規分布に従い、被説明変数がどんな値でもとりうることを前提にしています。しかし、「企業がデフォルトしたか(1)しなかったか(0)」のような2値データをそのまま線形回帰すると(線形確率モデル)、予測値が1を超えたりマイナスになったりして、確率として解釈できなくなります。
一般化線形モデルは、次の3つの要素で回帰モデルを広げたものです。
- 確率分布:被説明変数が従う分布(正規分布、二項分布、ポアソン分布など、指数型分布族)
- 線形予測子:β0 + β1x1 + … + βkxk
- リンク関数:被説明変数の期待値を線形予測子と結びつける変換(ロジット、対数など)
正規分布と恒等リンク(変換なし)を選べば通常の線形回帰になるので、線形回帰はGLMの特別な場合といえます。係数は通常、最小二乗法ではなく最尤法で推定します。
ロジットモデルとプロビットモデル
2値データでは、事象が起きる確率pを、ロジスティック関数を使って0〜1の範囲に収めます。これがロジットモデルで、対数オッズ log(p ÷(1−p))が説明変数の線形結合になります。確率の変換に標準正規分布の累積分布関数を使うものがプロビットモデルです。件数データ(例:一定期間の倒産件数)には、ポアソン分布と対数リンクを使うポアソン回帰が使われます。
押さえておきたい公式
| モデル | 分布とリンク関数 |
|---|---|
| 線形回帰 | 正規分布・恒等リンク |
| ロジット | 二項分布(ベルヌーイ)・ロジットリンク |
| プロビット | 二項分布・標準正規累積分布の逆関数 |
| ポアソン回帰 | ポアソン分布・対数リンク |
具体例で確認
財務レバレッジ x を説明変数とするデフォルト確率のロジットモデルが、z = −2 + 0.5x と推定されたとします。
- x = 3 のとき:z = −2 + 1.5 = −0.5、p = 1 ÷(1 + e0.5)≒ 0.378(約37.8%)
- x = 4 のとき:z = 0、p = 0.5
- xが1増えると、オッズは e0.5 ≒ 1.65倍になります(オッズ比)。ただし確率pの増え方は一定ではなく、xの水準によって変わります。
試験で問われやすいポイント
- 2値データに線形回帰を使うと、予測値が0〜1の範囲を外れうるという問題点。
- GLMの構成要素(確率分布・線形予測子・リンク関数)と、線形回帰がその特別な場合であること。
- ロジットモデルの係数は「対数オッズ」への影響で、eβがオッズ比になること。確率への影響(限界効果)は一定でない点。
- 推定は最尤法で行うこと。ロジットとプロビットの違い(ロジスティック分布か正規分布か)。
- 記述式では、zからpを計算させる問題や、係数の意味を文章で説明させる問題に備えましょう。
要点まとめ
- GLMは、分布とリンク関数を選ぶことで、2値・件数などのデータにも回帰の考え方を広げたモデルです。
- ロジットモデルは p = 1 ÷(1+e−z)で確率を0〜1に収めます。
- 係数は対数オッズへの影響で、eβがオッズ比です。
- 信用リスク(デフォルト予測)などへの応用が代表的です。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
