重回帰による予測とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 重回帰による予測は、推定した回帰式に説明変数の値を代入して被説明変数の予測値Ŷを求めることです。
- 予測値には誤差があるため、予測の標準誤差とt分布を使った予測区間で幅をもって示すのが基本です。
- データの範囲外への当てはめ(外挿)や、説明変数自体の予測誤差には注意が必要です。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「重回帰による予測」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (11) 回帰分析(重回帰) |
| 協会の学習ポイント | 重回帰モデルを用いて説明変数から被説明変数の予測ができる。 |
重回帰による予測とは
重回帰モデルを推定すると、Ŷ = b0 + b1X1 + … + bkXk という回帰式が得られます。新しい説明変数の値(X10, …, Xk0)が与えられたとき、それを代入して得られる Ŷ0 が予測値です。計算そのものは代入するだけのシンプルなものですが、試験では係数の符号や単位(%か小数か)を正しく扱えるかがポイントになります。
予測には幅がある
実際の値は Y0 = β0 + β1X10 + … + ε0 なので、予測誤差には①係数を推定したことによる誤差と、②将来の誤差項ε0そのものの2つが含まれます。このため、個別の値を予測するときの標準誤差は、回帰の標準誤差sよりも必ず大きくなります。また、説明変数の値がデータの平均から離れるほど①の誤差が大きくなり、予測区間は広がります。
予測区間は、Ŷ0 ± tα/2(n − k − 1) × 予測の標準誤差 で表します。平均的なYの値(条件付き期待値)を推定する場合は②を含まないため、区間はそれより狭くなります。
予測で注意すべき点
第一に、推定に使ったデータの範囲から大きく外れた説明変数の値で予測する外挿は、関係が同じように続く保証がなく危険です。第二に、将来の予測では説明変数の値自体も予測値であることが多く、その誤差も結果に上乗せされます。第三に、構造変化などでモデルの関係が変わると予測は外れやすくなります。当てはまり(R2)が高くても、推定期間外の予測精度が高いとは限らない点にも注意しましょう。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| Xj0 | 予測に使う説明変数の値 |
| bj | 推定された係数 |
| SEf | 予測の標準誤差 |
| tα/2(n − k − 1) | 自由度n − k − 1のt分布の臨界値 |
具体例で確認
n = 30 のデータから、ある資産の翌月リターンY(%)について次の回帰式を推定しました。X1は景気指標の変化(ポイント)、X2は金利の変化(%ポイント)です。
- X1 = 3、X2 = 2 を代入:Ŷ = 1.5 + 0.8 × 3 − 0.4 × 2 = 1.5 + 2.4 − 0.8 = 3.1%
- 予測の標準誤差が1.80%、自由度26のt分布の両側5%臨界値が約2.056とすると、幅は 2.056 × 1.80 ≒ 3.70
- 95%予測区間:3.1 ± 3.70 より、およそ −0.60%〜6.80%
点予測は3.1%でも、実際の値はかなり広い範囲に散らばりうることがわかります。なお、X1だけが1大きい4なら、予測値は係数0.8の分だけ上がって3.9%になります。
試験で問われやすいポイント
- 回帰式への代入による点予測が基本です。係数の符号(マイナス)や単位の取り違えに注意しましょう。
- 個別の値の予測区間は、係数の推定誤差と将来の誤差項の両方を含むため、平均値の推定区間より広くなる点が問われます。
- 説明変数がデータの平均から離れるほど予測区間が広がること、外挿の危険性を説明できるようにしましょう。
- 予測区間では、自由度 n − k − 1 のt分布の臨界値を使います。
- 記述式では、代入の計算過程に加え、予測の限界(説明変数の予測誤差、構造変化)をコメントさせる問題に備えましょう。
要点まとめ
- 予測値は回帰式に説明変数の値を代入して求める
- 予測区間はŶ±t×予測の標準誤差で、平均の推定区間より広い
- 説明変数が平均から離れるほど予測の不確実性は大きくなる
- 外挿、説明変数の予測誤差、構造変化に注意する
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
