ひとことで言うと

  • 景気動向指数は、内閣府が作成する、景気の現状や先行きをつかむための代表的な指標です。先行指数・一致指数・遅行指数の3つがあります。
  • 景気の拡大・後退(景気循環)に合わせて企業業績は変動し、その影響の受けやすさは業種(株式セクター)によって大きく異なります。
  • 景気に敏感な景気敏感株(シクリカル)と、景気の影響を受けにくいディフェンシブ株の区別が基本です。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「景気動向と企業業績・セクター」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/株式分析
大分類 (2) 株式投資と企業のファンダメンタル分析
協会の学習ポイント 景気動向指数による景気の現状把握や、景気循環と企業業績や株式セクターとの関連について理解する。

景気動向指数と景気循環とは

企業の売上や利益は景気に大きく左右されます。そのため、トップダウンで株式を分析するときには、まず「いま景気はどの局面にあるのか」「これからどちらに向かいそうか」を把握することが出発点になります。そのための代表的な道具が、内閣府が毎月公表する景気動向指数です。

先行・一致・遅行の3つの指数

景気動向指数は、生産、雇用、消費、投資、金融などの経済指標(採用系列)を組み合わせて作られ、景気に対する動きのタイミングによって3つに分かれます。

  • 先行指数:景気に先んじて動く指標の集まり。新規求人数や消費者態度指数、株価(東証株価指数)などが含まれ、景気の先行きを予測するのに使います。
  • 一致指数:景気とほぼ同時に動く指標の集まり。鉱工業生産指数や有効求人倍率などが含まれ、景気の現状把握に使います。
  • 遅行指数:景気に遅れて動く指標の集まり。完全失業率や法人税収入などが含まれ、景気の転換点を事後的に確認するのに使います。

CIとDIの違い

景気動向指数には、CI(コンポジット・インデックス)DI(ディフュージョン・インデックス)の2つの作り方があります。CIは採用系列の変化の大きさを合成したもので、景気変動の大きさやテンポ(量感)を測ります。現在はCIが中心に公表されています。一方DIは、採用系列のうち改善している指標の割合を示すもので、景気の方向性や広がり(波及度)を測ります。

景気循環と企業業績・株式セクター

景気が拡大すると需要が増えて売上が伸び、固定費の割合が高い企業ほど利益が大きく伸びます(営業レバレッジ)。逆に景気後退期には利益が大きく落ち込みます。鉄鋼・化学などの素材、機械、自動車、海運などは景気の影響を受けやすい景気敏感株、食品、医薬品、電力・ガスなど生活必需的な業種は景気の影響を受けにくいディフェンシブ株と呼ばれます。また株価は景気の先行きを織り込んで動くため、景気の実際の転換よりも先に動きやすいという特徴があります。

押さえておきたい公式

DI(%)= 拡張系列数 ÷ 採用系列数 × 100拡張系列=3か月前と比べて改善した系列。横ばいは0.5としてカウントします
用語 意味
CI 景気変動の大きさやテンポ(量感)を測る。一致CIが上昇していれば景気拡張局面と判断する目安
DI 改善している系列の割合で、景気の方向性や波及度を測る。一致DIが50%を上回ると景気拡張の目安
先行指数 景気の先行きの予測に使う(株価も含まれる)
一致指数 景気の現状把握に使う
遅行指数 景気の転換点の事後確認に使う

具体例で確認

仮に一致指数の採用系列が10個あり、3か月前と比べて「改善7系列・横ばい1系列・悪化2系列」だったとします。

  • 拡張系列数 = 7 + 1 × 0.5 = 7.5
  • DI = 7.5 ÷ 10 × 100 = 75%

50%を上回っているので、多くの指標が改善しており、景気は拡張方向にあると読み取れます。ただしDIは「改善している指標の割合」なので、改善の大きさまではわかりません。どれくらいの勢いで改善しているかを見るにはCIを使います。このような局面では、一般に景気敏感株の業績が伸びやすいと考えられます。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「景気動向指数による景気の現状把握と景気循環、企業業績・株式セクターとの関連を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 先行・一致・遅行指数の役割と、代表的な採用系列(株価が先行系列、完全失業率が遅行系列など)の組み合わせが問われやすいです。
  • CIは景気の「量感(大きさ・テンポ)」、DIは「方向性・波及度」を測るという違いは混同しやすいポイントです。
  • DIの計算で、横ばいの系列を0.5として数える点がひっかけとして狙われやすいです。
  • 景気敏感株とディフェンシブ株に該当する業種の区別や、固定費の多い企業ほど利益が景気に大きく反応する点も問われやすいです。
  • 株価は景気に先行して動きやすい、という関係にも注意しましょう。

要点まとめ

  • 景気動向指数は先行・一致・遅行の3つ、作成は内閣府
  • CIは景気の量感、DIは方向性と波及度を測る
  • DIは改善系列の割合で、50%超が拡張の目安
  • 景気敏感株は景気の影響を強く受け、ディフェンシブ株は受けにくい

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。