投資期間とデュレーションとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- 金利が変わると、債券の価格と、受け取ったクーポンの再投資収益は逆方向に動きます。
- 投資期間をマコーレー・デュレーションに合わせると、この2つの影響がおおむね打ち消し合い、所有期間利回りが購入時の最終利回りに近い水準で安定します。
- これがイミュニゼーション(免疫化)の基本的な考え方です。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「投資期間・所有期間利回り・デュレーション」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 債券のリターンと金利リスクの分析 |
| 協会の学習ポイント | 債券の投資期間、所有期間利回り、デュレーションの関係を理解する。 |
投資期間とデュレーションの関係とは
債券を買ってから売却(または満期)するまでの期間を投資期間、その間に実際に得られた収益率を所有期間利回りといいます。購入時の最終利回りは「クーポンを同じ利回りで再投資でき、満期まで持つ」という前提の数字なので、途中で金利が動くと、実際の所有期間利回りは最終利回りとずれていきます。
2つのリスクは逆向きに働く
金利が変わったとき、所有期間利回りには2つの影響があります。
- 価格リスク:金利が上がると債券価格が下がり、途中売却時の売却額が減ります。
- 再投資リスク:金利が上がると、受け取ったクーポンをより高い利回りで再投資できるので、再投資収益は増えます。
金利が下がる場合はその逆です。つまり価格の影響と再投資の影響は常に反対方向に動きます。
投資期間が短いとき・長いとき
投資期間が短いと、再投資の期間が短いため価格リスクが優勢になります。金利上昇は所有期間利回りを下げます。逆に投資期間が満期まで長いと、途中売却がないので価格リスクはなく、再投資リスクが優勢になり、金利上昇は所有期間利回りを上げます。
その中間、投資期間がマコーレー・デュレーションと一致する点では、2つの影響がほぼ相殺されます。そのため、購入直後に金利が一度だけ変化する場合、所有期間利回りは購入時の最終利回りにほぼ等しくなります。この性質を利用して、将来の負債の支払い時期にデュレーションを合わせる運用をイミュニゼーション(免疫化)といいます。
押さえておきたい公式
| 投資期間 < デュレーション | 価格リスクが優勢(金利上昇で所有期間利回り低下) |
|---|---|
| 投資期間 = デュレーション | 2つの影響がほぼ相殺(利回りが安定) |
| 投資期間 > デュレーション | 再投資リスクが優勢(金利上昇で所有期間利回り上昇) |
具体例で確認
残存3年、クーポン5%(年1回払い)、最終利回り5%、価格100円の債券を買ったとします。この債券のマコーレー・デュレーションは約2.86年です。購入直後に金利が6%へ上昇し、その後は変わらないとします。
| 投資期間 | 期間末の価値 | 所有期間利回り(年率) |
|---|---|---|
| 1年 | 約103.17円 | 約3.17% |
| 約2.86年(=デュレーション) | 約114.97円 | 約5.00% |
| 3年(満期) | 約115.92円 | 約5.05% |
1年で売ると価格下落の影響が大きく、利回りは5%を下回ります。満期まで持つと再投資収益の増加で5%を上回ります。デュレーションと同じ期間なら、ほぼ当初の5%が確保されています。金利が4%に低下した場合も、デュレーションの期間では約5.00%となり、同じ結論になります。
試験で問われやすいポイント
- 金利上昇時、価格は下がり再投資収益は増える、という逆方向の関係。
- 投資期間がデュレーションより短いか長いかで、どちらのリスクが優勢になるか。
- 投資期間=マコーレー・デュレーションのとき所有期間利回りが当初の利回りに近くなる点(修正デュレーションではない点に注意)。
- この性質は「購入直後に1回だけ、利回り曲線が平行移動する」前提での話で、金利が何度も変わるとデュレーションがずれるため、リバランスが必要になる点。
- 所有期間利回りの計算で、売却価格とクーポン再投資収益の両方を入れること。
要点まとめ
- 金利変化に対して、価格リスクと再投資リスクは逆方向に働く。
- 短い投資期間では価格リスク、長い投資期間では再投資リスクが優勢。
- 投資期間をマコーレー・デュレーションに合わせると、所有期間利回りがほぼ固定される。
- これがイミュニゼーションの基本原理だが、前提は単純化されている。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
