ひとことで言うと

  • 先渡・先物は「将来、決めた価格で売買する義務」、オプションは「決めた価格で買う(コール)・売る(プット)権利」の取引です。
  • スワップは「将来のキャッシュフローを交換する約束」、クレジット・デリバティブは「企業などの信用リスクを移転する取引」です。
  • 先物は損益が対称、オプションの買い手は損失がプレミアムに限られる非対称な損益になる点が大きな違いです。

この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「主要なデリバティブの概要」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析
大分類 (1) デリバティブの種類と機能
協会の学習ポイント 先渡や先物、オプション(コールとプット)、スワップ、クレジット・デリバティブの概要と特徴を理解する。

先渡・先物・オプション・スワップとは

先渡(フォワード)と先物(フューチャーズ)

先渡・先物は、将来の特定の日(満期)に、あらかじめ決めた価格で原資産を売買することを約束する取引です。買い手(ロング)は原資産が値上がりすれば得をし、売り手(ショート)は値下がりすれば得をします。双方が義務を負うので、契約時には原則としてお金のやり取りは発生しません(先物では証拠金を差し入れます)。相対で結ぶのが先渡、取引所で標準化されたものが先物です。

オプション

オプションは、決められた価格(権利行使価格)で原資産を買う権利(コール・オプション)または売る権利(プット・オプション)の取引です。買い手は売り手にプレミアム(オプション料)を支払って権利を手に入れ、有利なときだけ権利を行使します。不利なら権利を放棄すればよいので、買い手の最大損失はプレミアムに限られます。反対に売り手はプレミアムを受け取る代わりに、買い手が行使したら応じる義務を負います。満期日にだけ行使できるものをヨーロピアン型、満期までいつでも行使できるものをアメリカン型と呼びます。

スワップ

スワップは、将来の一定期間にわたり、あらかじめ決めたルールでキャッシュフローを交換する取引です。代表的な金利スワップでは、同じ通貨の固定金利と変動金利の支払いを交換します。通貨スワップでは異なる通貨の元本と金利を交換します。スワップは、将来の複数時点の先渡取引を束ねたものと考えることもできます。

クレジット・デリバティブ

クレジット・デリバティブは、企業や国の信用リスク(デフォルトのリスク)を取引するデリバティブです。代表的なクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)では、プロテクションの買い手が売り手に定期的に保証料(プレミアム)を支払い、参照企業にデフォルトなどの信用事由が起きたら、売り手から損失分の補償を受けます。社債を持つ投資家が、社債を売らずに信用リスクだけを移転できます。

押さえておきたい公式

先物(先渡)買いの満期損益 = ST − F売りの損益はF − ST(買いと売りで符号が逆)
コールの満期価値 = max(ST − K, 0)買い手の損益はここからプレミアムを差し引く
プットの満期価値 = max(K − ST, 0)買い手の損益はここからプレミアムを差し引く
記号 意味
ST 満期時点の原資産価格
F 契約時に決めた先物(先渡)価格
K オプションの権利行使価格

具体例で確認

原資産の現在の価格が1,000円で、次の3つの取引を考えます。先物価格F=1,000円の先物買い、行使価格K=1,000円・プレミアム30円のコール買い、行使価格K=1,000円・プレミアム25円のプット買いです。

取引 満期に1,100円の場合 満期に900円の場合
先物買い 1,100 − 1,000 = +100円 900 − 1,000 = −100円
コール買い (1,100 − 1,000) − 30 = +70円 権利放棄で −30円
プット買い 権利放棄で −25円 (1,000 − 900) − 25 = +75円

先物は上がっても下がっても同じ幅で損益が動く対称な形です。一方、オプションの買い手は、不利な方向では損失がプレミアムで止まる非対称な形になっています。

試験で問われやすいポイント

  • 先渡・先物は双方が義務、オプションは買い手が権利・売り手が義務という違いが問われやすいです。
  • コールは「買う権利」、プットは「売る権利」。コールの売りプットの買いを混同しないよう注意しましょう。
  • コールの満期価値max(ST−K, 0)、プットの満期価値max(K−ST, 0)を使った損益計算は頻出の基本です。
  • オプションの買い手の最大損失はプレミアム、売り手の損失は(コールの売りでは)理論上無限になりうる点が狙われます。
  • CDSではプロテクションの買い手が信用リスクを売り手に移転する、という方向を確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 先渡・先物=将来決めた価格で売買する義務(損益は対称)
  • オプション=プレミアムを払って得る売買の権利(買い手の損失はプレミアムまで)
  • スワップ=将来のキャッシュフローの交換(金利スワップ・通貨スワップ)
  • クレジット・デリバティブ=CDSなどで信用リスクを移転する取引

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。