ひとことで言うと

  • 効用関数は、富(資産額)やリターンから投資家が得る「満足度(効用)」を数式で表したものです。
  • 富が増えるほど効用は増えますが、増え方がだんだん小さくなる(限界効用が逓減する)形が、リスク回避的な投資家を表します。
  • 効用関数の形によって、リスク回避・リスク中立・リスク愛好の3タイプに分けられます。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「効用関数」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (1) 現代ポートフォリオ理論
協会の学習ポイント 投資家の効用関数について理解する。

効用関数とは

投資家が「どの投資を選ぶか」を理論的に考えるには、それぞれの結果に対する満足度を比べる物差しが必要です。この満足度を効用といい、富Wと効用Uの関係を表したものを効用関数 U(W) といいます。

ふつう、富は多いほどうれしいので、効用関数は右上がり(富が増えれば効用も増える)と考えます。ポイントは増え方の形です。富が少ないときの1万円と、富が多いときの1万円では、うれしさが違うと考えるのが自然です。富が増えるにつれて、追加の1単位から得られる効用(限界効用)が小さくなることを限界効用逓減といいます。

効用関数の形とリスクへの態度

限界効用が逓減する効用関数は、グラフにすると上に膨らんだ曲線(凹関数)になります。このような投資家は、期待値が同じなら不確実な結果よりも確実な結果を好むため、リスク回避的といいます。代表例は、対数効用 U(W) = lnW や、平方根の効用 U(W) = √W です。

効用関数が直線ならリスク中立的で、期待値だけで判断します。下に膨らんだ曲線(凸関数)ならリスク愛好的で、同じ期待値ならばくちのような不確実な結果を好みます。ポートフォリオ理論では、通常、投資家はリスク回避的であると仮定します。

確実性等価とリスク・プレミアム

不確実な投資と同じ効用をもたらす確実な金額を確実性等価といいます。リスク回避的な投資家では、確実性等価は期待値より小さくなり、その差が「リスクを負うことの代償として求める上乗せ分」(リスク・プレミアム)にあたります。

整理しておきたいポイント

タイプ 効用関数の形 特徴
リスク回避的 凹関数(上に膨らむ)、限界効用が逓減 確実性等価 < 期待値。リスクに見合う上乗せを求める
リスク中立的 直線、限界効用が一定 確実性等価 = 期待値。期待値だけで判断
リスク愛好的 凸関数(下に膨らむ)、限界効用が逓増 確実性等価 > 期待値。不確実さを好む

具体例で確認

効用関数を U(W) = √W とする投資家が、次の投資を考えるとします。

  • 50%の確率で富が100、50%の確率で富が400になる投資

期待値:0.5 × 100 + 0.5 × 400 = 250

期待効用:0.5 × √100 + 0.5 × √400 = 0.5 × 10 + 0.5 × 20 = 15

確実性等価:√CE = 15 となる金額なので、CE = 152225

つまりこの投資家にとって、この不確実な投資は「確実にもらえる225」と同じ価値しかありません。確実な250の効用は √250 ≒ 15.81 で、投資の期待効用15より大きいので、同じ期待値なら確実な250を選びます。期待値250と確実性等価225の差25が、この投資家のリスク・プレミアムです。

試験で問われやすいポイント

  • 効用関数の形(凹・直線・凸)と、リスク回避・中立・愛好の対応関係。
  • リスク回避的な投資家では、限界効用が逓減し、確実性等価が期待値より小さくなる点。
  • 確実性等価とリスク・プレミアム(期待値 − 確実性等価)の計算手順。
  • 「期待値の効用」と「効用の期待値(期待効用)」を取り違えない。リスク回避的なら前者のほうが大きくなります。
  • ポートフォリオ理論では通常、投資家はリスク回避的であると仮定していること。

要点まとめ

  • 効用関数は富やリターンと満足度の関係を表す。
  • 限界効用が逓減する凹関数がリスク回避的な投資家を表す。
  • リスク回避的なら確実性等価は期待値より小さく、その差がリスク・プレミアム。
  • 直線ならリスク中立、凸関数ならリスク愛好。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。