ひとことで言うと

  • 投資政策とは、投資家の目的(リターン目標)とリスク許容度、制約条件を整理し、運用の基本方針として定めたものです。
  • ポートフォリオ・マネジメント・プロセスは、「計画 → 実行 → フィードバック(評価と見直し)」を繰り返す運用の流れです。
  • リスク許容度は、リスクを取る「能力」と「意欲」の両面から判断します。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「投資政策と運用プロセス」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント 投資政策の概要とポートフォリオ・マネジメント・プロセス(リスク許容度等に基づくリスク・リターンの設定)について理解する。

ポートフォリオ・マネジメント・プロセスとは

資産運用は、よさそうな銘柄を思いつきで買うことではありません。まず投資家がどのような目的でお金を運用し、どれだけのリスクなら耐えられるのかを明らかにし、それに合った方針を決めてから運用を始めます。この方針が投資政策で、投資政策にもとづいて運用を計画・実行し、結果を評価して見直していく一連の流れをポートフォリオ・マネジメント・プロセスと呼びます。

計画(プランニング)

最初の段階では、投資家の目的(リターン目標・リスク目標)と制約条件(流動性、投資期間、税制、法規制、個別事情)を把握し、投資政策としてまとめます。そのうえで、各資産クラスの期待リターンやリスクの見通し(資本市場の予測)と組み合わせて、長期的な基本資産配分(戦略的アセット・アロケーション)を決めます。

実行(インプリメンテーション)

決めた資産配分に沿って、実際に銘柄を選び、売買を執行してポートフォリオを構築します。取引コストや市場への影響にも配慮しながら進めます。

フィードバック(モニタリングと評価)

運用開始後は、投資家の状況や市場環境の変化を継続的に監視し、配分が目標からずれればリバランスを行います。パフォーマンスを測定・評価し、必要に応じて投資政策そのものも見直します。このようにプロセスは一度で終わらず、循環的に繰り返されます。

リスク許容度の考え方

リスク許容度は、リスクを取る能力(資産規模、収入の安定性、投資期間の長さ、支出の必要性など客観的な条件)と、リスクを取る意欲(投資家の心理的な姿勢)の両面から判断します。両者が食い違うときは、一般に低い方に合わせて保守的に設定するのが基本です。リスク許容度が低いほど、目標とする期待リターンも抑えざるを得なくなります。

押さえておきたい公式

必要リターン = 年間の支出額 ÷ 運用資産額 + 期待インフレ率支出をまかないながら資産の実質価値を保つための目安(簡便な足し算の形)
必要リターン =(1 + 支出率)×(1 + インフレ率)− 1掛け算で正確に求める形

具体例で確認

運用資産1億円の財団が、毎年400万円を事業に支出し、期待インフレ率は2%と想定しているとします。

  • 支出率:400万円 ÷ 1億円 = 4%
  • 簡便法による必要リターン:4% + 2% = 6%
  • 掛け算による必要リターン:1.04 × 1.02 − 1 = 6.08%

次に、この6%程度のリターンを狙うのに必要なリスクが、財団のリスク許容度の範囲に収まるかを確認します。支出が長期にわたって安定していて投資期間が長ければリスクを取る能力は比較的高いと考えられますが、理事会が値下がりに強い抵抗感を持つなら意欲は低く、目標リターンや支出計画の見直しも含めて検討することになります。

試験で問われやすいポイント

  • プロセスの順序(計画 → 実行 → フィードバック)と、各段階に何が含まれるか。資産配分の決定は計画段階、リバランスや成績評価はフィードバック段階です。
  • リスク許容度は「能力」と「意欲」の両面で判断し、食い違うときは低い方を基準にする考え方。
  • 投資政策は目的(リターン・リスク)と制約条件(流動性・投資期間・税制・法規制・個別事情)で構成される点。
  • 支出率とインフレ率から必要リターンを求める計算。簡便法と掛け算の違いに注意しましょう。
  • プロセスは一度きりではなく、状況の変化に応じて繰り返し見直す循環型である点。

要点まとめ

  • 投資政策は、投資家の目的・リスク許容度・制約条件を整理した運用の基本方針。
  • 運用は計画・実行・フィードバックを繰り返すプロセスとして行う。
  • リスク許容度は能力と意欲の両面から判断する。
  • 必要リターンは支出率とインフレ率から見積もれる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。