金額加重収益率と時間加重収益率とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 金額加重収益率は、期中の資金の出し入れ(キャッシュフロー)も含めて計算した内部収益率(IRR)で、投資家自身の資金がどれだけ増えたかを表します。
- 時間加重収益率は、資金の出し入れの影響を取り除き、期間ごとの収益率を掛け合わせて求める収益率で、運用者の腕前を測るのに適しています。
- 資金の出し入れのタイミングを運用者が決められないことが多いため、運用機関の評価には時間加重収益率を使うのが原則です。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「金額加重と時間加重」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示 |
| 協会の学習ポイント | 金額加重収益率と時間加重収益率の概念と算出手法、利用方法について理解する。 |
金額加重収益率と時間加重収益率とは
年金基金や投資信託では、運用期間の途中で掛金の追加や給付のための引き出しなど、資金の出し入れがあるのが普通です。このとき、「収益率」をどう計算するかによって数字が大きく変わることがあります。代表的な方法が金額加重収益率と時間加重収益率です。
金額加重収益率(MWR)
金額加重収益率は、期初の資産額、期中のキャッシュフロー、期末の資産額について、「出ていったお金の現在価値=入ってきたお金の現在価値」となる割引率、つまり内部収益率(IRR)として求めます。資金が多く入っている時期の収益率ほど結果に強く反映されるため、「金額で重みづけされた」収益率と呼ばれます。投資家にとっては、自分の資金全体が実際にどれだけ増えたかを表す指標であり、資金の出し入れを自分で決める投資家自身の成果を見るのに適しています。
時間加重収益率(TWR)
時間加重収益率は、キャッシュフローが発生するたびに期間を区切り、各期間の収益率を計算して、それらを幾何的につなぎ合わせる(掛け合わせる)方法です。資金量に関係なく各期間を同じように扱うため、資金の出し入れのタイミングの影響が取り除かれます。運用機関は通常、顧客の入出金のタイミングを決められないため、運用者の能力の評価には時間加重収益率が適切とされます。
計算上の注意
正確な時間加重収益率を求めるには、キャッシュフローが発生するたびに資産を時価評価する必要があります。日々評価できない場合には、期中のキャッシュフローを発生日で加重して近似する修正ディーツ法などが使われます。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| V0、VT | 期初・期末の資産額 |
| Ct | t時点の資金の追加(+)や引き出し(−) |
| ri | i番目の期間の収益率 |
具体例で確認
期初に1,000万円で運用を始め、1年目の収益率が+20%で1,200万円になりました。2年目の期初に1,000万円を追加して2,200万円となり、2年目の収益率は−10%で、期末の資産は1,980万円でした。
時間加重収益率
- 2年間の累積:1.20 × 0.90 − 1 = 1.08 − 1 = +8%
- 年率:1.081/2 − 1 ≒ +3.92%
金額加重収益率
- 式:1,000 + 1,000 ÷ (1 + r) = 1,980 ÷ (1 + r)2
- x = 1 ÷ (1 + r) とおくと 1,980x2 − 1,000x − 1,000 = 0 → x ≒ 1.0067
- r = 1 ÷ x − 1 ≒ −0.67%
運用成績(時間加重)はプラスなのに、投資家の資金ベース(金額加重)ではマイナスになりました。これは、成績の悪かった2年目に資金が多く入っていたためです。資金追加のタイミングは運用者の責任ではないので、運用者の評価には時間加重収益率の+3.92%を使います。
試験で問われやすいポイント
- 金額加重収益率は内部収益率(IRR)、時間加重収益率は期間ごとの収益率の幾何的なつなぎ合わせという計算方法の違いが問われやすいです。
- 運用者の評価には時間加重収益率を使う理由(キャッシュフローのタイミングを運用者がコントロールできない)を押さえましょう。
- 収益率の高い時期に資金が多く入れば金額加重>時間加重、低い時期に多く入れば金額加重<時間加重という大小関係の方向が狙われます。
- キャッシュフローがなければ両者は一致する点もひっかけになりやすいです。
- 時間加重収益率の計算では、各期間の収益率を足すのではなく掛け合わせることに注意しましょう。
要点まとめ
- 金額加重収益率=キャッシュフローを含めたIRR。投資家自身の資金の成果を表す
- 時間加重収益率=期間ごとの収益率を掛け合わせる。資金の出し入れの影響を除く
- 運用機関の評価には時間加重収益率を使うのが原則
- 資金の多い時期の成績が良いほど金額加重収益率は高くなる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
