ひとことで言うと

  • SWOT分析は、自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と、外部環境の機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つを整理して戦略を考える手法です。
  • 強み・弱みは内部要因(自社でコントロールできるもの)、機会・脅威は外部要因(自社ではコントロールできないもの)です。
  • 4つを掛け合わせて打ち手を考えるクロスSWOTにつなげることで、戦略立案に役立ちます。

この記事では、証券アナリスト1次「コーポレート・ファイナンス」の学習ポイントのひとつ「SWOT分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/コーポレート・ファイナンス
大分類 (2) 企業の事業・競争戦略
協会の学習ポイント SWOT分析を用いた経営戦略分析について理解する。

SWOT分析とは

SWOT分析は、企業が置かれている状況を「内部」と「外部」、「プラス」と「マイナス」の2つの軸で整理するフレームワークです。頭文字をとってSWOTと呼ばれ、経営戦略の立案や、アナリストが企業の競争力を評価する場面で広く使われています。

強み(S)と弱み(W)は、技術力、ブランド、人材、コスト構造、財務体質など、自社の経営資源や能力に関するものです。これらは経営資源アプローチで重視される要素と重なります。一方、機会(O)と脅威(T)は、市場の成長、規制の変化、技術革新、競合の動き、為替や景気など、自社の外側で起きる変化です。業界構造分析(ファイブ・フォース)やマクロ環境分析の結果は、主にこの外部要因の整理に活かされます。

分析して終わりにしない:クロスSWOT

SWOT分析は4つの箱を埋めるだけでは戦略になりません。内部要因と外部要因を掛け合わせて、「強みを活かして機会をつかむ」「弱みを補って機会を逃さない」「強みで脅威をかわす」「弱みと脅威が重なる最悪の事態を避ける」といった具体的な方針を導く使い方を、クロスSWOT分析(TOWSマトリクス)と呼びます。

SWOT分析の注意点

同じ事実でも、見方によって強みにも弱みにもなり得ます。たとえば大規模な工場は規模の経済という強みですが、需要が落ち込むと固定費負担という弱みにもなります。また、分類が主観的になりやすく、項目を並べただけで優先順位がつかないことも多いです。そのため、競合他社との比較や、数値(財務指標や市場データ)による裏づけとあわせて使うことが大切です。

整理しておきたいポイント

区分 プラス要因 マイナス要因
内部要因(自社) 強み(S):技術力、ブランド、低コスト体質など 弱み(W):高い固定費、人材不足、販路の弱さなど
外部要因(環境) 機会(O):市場の拡大、規制緩和、新技術の普及など 脅威(T):新規参入、代替品、原材料高、規制強化など
組み合わせ 考え方 戦略の方向
S×O 強みを活かして機会をつかむ 積極的な拡大・投資
W×O 弱みを克服して機会を活かす 提携・補強・改善
S×T 強みで脅威に対抗する 差別化・防衛
W×T 最悪の事態を避ける 縮小・撤退・リスク回避

具体例で確認

国内で高いシェアを持つ食品メーカーX社を考えてみます。

  • 強み(S):長年のブランド力、全国のスーパーへの販売網
  • 弱み(W):海外売上が小さい、生産設備が老朽化している
  • 機会(O):アジアでの日本食人気の高まり、健康志向の拡大
  • 脅威(T):国内人口の減少、原材料価格の上昇、小売のプライベートブランドとの競争

クロスSWOTで考えると、S×Oでは「ブランド力を活かして健康志向の新商品を投入する」、W×Oでは「海外の販売網を持つ企業と提携してアジアへ進出する」、S×Tでは「ブランド力を背景に値上げを通しやすくする」、W×Tでは「採算の悪い老朽工場を集約する」といった方針が考えられます。アナリストとしては、こうした方針が売上成長率や利益率、設備投資額にどう表れるかを見ていくことになります。

試験で問われやすいポイント

  • S・W・O・Tのそれぞれの意味と、どれが内部要因でどれが外部要因かが基本として問われやすいです。
  • 具体的な事象(規制緩和、技術力、競合の参入など)が4つのどれに当たるかを判断させる形に注意しましょう。自社でコントロールできるかどうかが判断の目安です。
  • SWOT分析とファイブ・フォース分析・経営資源アプローチとの関係(外部分析と内部分析の役割分担)が問われることがあります。
  • 4要素を掛け合わせるクロスSWOTの組み合わせと戦略の方向が混同しやすいポイントです。
  • 「分類が主観的になりやすい」「列挙だけでは戦略にならない」といった限界も押さえておきましょう。

要点まとめ

  • SWOT=強み・弱み(内部要因)と機会・脅威(外部要因)の整理
  • 外部要因は業界構造分析やマクロ環境分析、内部要因は経営資源の分析と対応する
  • クロスSWOTで4つを掛け合わせて具体的な戦略の方向を導く
  • 主観的になりやすいため、競合比較や数値による裏づけが大切

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。